お前が必死に張り巡らせているその甘い蜘蛛の巣も、レイコ社長という己のプライドも、その全ては俺(キヨヒコ)という男の掌の上で転がされているに過ぎない。
お前が見ている「アヤカ」という少女は、本物の人間の肉体から剥ぎ取った精巧な『皮』であり、中身は獲物の財布を狙う冷徹な男なのだから。
相手が男だろうと女だろうと、己の欲望のために金を惜しまない奴らは、俺にとって最高の飼い犬だ。
「レイコさん……私、こんなに良くしてもらったの、生まれて初めてです……」
私はカップを置き、両手を胸の前でキュッと握りしめ、感動に打ち震えるような声を絞り出した。
「お洋服も、こんなにたくさん……私、どうやってお返ししたらいいのか……」
「お返しなんて気にしなくていいのよ、アヤカちゃん。あなたが私に見せてくれる笑顔と、その可憐な姿だけで、私は十分に満たされているんだから」
レイコは愛おしそうに私の頬に手を伸ばし、親指で優しく撫でた。
その手つきには、隠しきれない独占欲と、これからこの少女をどう料理してやろうかという暗い欲望が宿っていた。
「でもね……もし本当に感謝してくれるなら、また私のサロンに来てちょうだし? 次はもっと素敵なジュエリーや、あなたのための特別なお部屋も用意してあげるわ」
「えっ……お部屋まで……!? そんな、悪いです……!」
「いいのよ。私はあなたに、最高の贅沢を知ってほしいの」
(ほう……ジュエリーに、専用の部屋、か。予想以上に太い客になりそうだな)
レイコの熱い視線を受け止めながら、俺は困惑と歓喜が入り混じったような完璧な表情を作り上げた。
この女社長が毒牙を剥こうと仕掛けてくるその瞬間まで、俺は無知で可憐な美少女を演じ続けてやる。
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