「……ロビーで騒ぎを起こすわけにもいかん。裏の部屋へ来い」
隻眼のギルドマスター・ガルドの低くしわがれた声に従い、俺たちはギルドの奥にある重厚な扉の向こう、ギルド長室へと通された。
エリスとクロエは不満げに眉をひそめていたが、俺が「すぐに戻るから、ここで待っててくれ」となだめ、どうにか二人をロビーに残して部屋へ入る。
広々とした室内の、年季の入った革張りの椅子にガルドがドカリと腰を下ろす。
「で、だ。小娘……いや、ルナリアだったか。お前のステータスについて詳しく聞かせてもらおうか」
ガルドが鋭い隻眼で俺を射抜く。
(やべえ、いかにも場数を踏んできた歴戦の猛者って目で見られてる……! 下手に暴れたら面倒なことになるぞ!)
コンコン、と控えめなノックの音がして、先ほどの猫人族の受付嬢ではなく、きちっとした制服に眼鏡をかけた人族の女性が部屋に入ってきた。
彼女はすらりとした長身で、知的な雰囲気を漂わせている。この支部で副ギルド長を務める女性のようだ。
「失礼します、ギルドマスター。……それと、お客様」
副ギルド長が両手で丁寧に持っていたのは、先ほどロビーで使われたものとは明らかに違う、純白の台座に嵌め込まれた一回り大きな水晶だった。
魔力の脈動がかすかに目視できるほどで、いかにも高級そうな、一級品の鑑定具である。
「ロビーの水晶は、量産型の古い型ゆえに魔力の波長を誤認してエラーを起こすことがあります。ですが、こちらの『真理の鏡石』ならば、いかなる個体のステータスであれ正確に測定できるはずです」
副ギルド長はふわりと上品な笑みを浮かべ、それを机の上に置いた。
(おいおい、マジかよ! あんなガチっぽい高級水晶を出されたら、さっきの適当な誤魔化しじゃ一発でバレるぞ!)
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