[ futaba / tachiha / aiba / honba / aoba / b ] [ main / recent post ]

/tachiha/ - たちは板κ

リレー小説用
Name
Options
Subject
Comment
File
Password (For file deletion.)

File: 1736821358310.jpg (537.22 KB, 1536x2048, 20250114_112204.jpg)

57770500 No.1632

49303833 No.1921

File: 1739859455693.jpg (527.77 KB, 1536x2048, 1736929895939.jpg)

ファンタジー異世界の深夜、王国一の大魔法使いと言われる20歳のとても美しい魔法使いタチーハは深夜に、たくさんの魔導書や魔法の本が積み重なっている自分の魔法の研究室の窓から外を眺める。
「今も私に…オデになってしまった彼=彼女はかつての私のように野山を駆けているのでしょうか?」
王からの勅令による仕事を今日の昼にようやく終えて明日の朝には自宅兼研究室を発つ。
オークだった自分が何も知らずあの日たまたま拾った超古代文明の遺物を持ったまま獲物を追って人里に近づき過ぎた当時の私=オデ。
たまたま新種の魔法植物の生息地の調査で来ていた本物の私だったタチーハ。
発動した帰還魔法中に激突したことで帰還魔法の暴走、
暴走した帰還魔法の影響で発動した超古代文明の遺物により入れ替わった大魔法使いタチーハとオークだった私。
その状態で王都のタチーハの研究室に帰還してしまったオークの私。
大魔法使いの私の頭脳、知識を徐々に理解し状況を理解したが完璧に本来の私と同レベルに魔法を使えるようになるまで1ヶ月、
そのタイミングで王からの勅令に忙殺された事、
入れ替わった原因の超古代文明の遺物のメカニズム解析と使用方法の研究をようやく今日終えた事。
私達が入れ替わって半年が経過していた。
私になって知識を得た事で、人間から見た本来の私=オデは野蛮なオークであった事がわかる。
私が大魔法使いタチーハに馴染み私になったように、本物のタチーハもオークの身体に馴染み知性を失ってしまったかもしれない。
正直、大魔法使いタチーハになった私が野蛮なオークに戻る事に何も感じていないワケではないが
やはり私は本物のタチーハに私のこの身体を返したい。
「待ってて、本物のタチーハ。必ず見つけて貴女にこの身体を返すから」
私が住んでいた辺境の森まで3週間。
タチーハになった元オーク、個体名称キヨヒコの冒険が始まる。

49303833 No.1922

キヨヒコ(身体はタチーハ)は王都の宮殿で王様に謁見する機会を得た。
彼女は王様の前で一礼し、落ち着いた声で話し始めた。

「やはり行くのか。大魔法使いタチーハよ」
王様の言葉は理解と心配が混じったものだった。
王様はキヨヒコがタチーハの身体を使っていること、そして入れ替わった事実を知る数少ない一人だった。
「はい。大魔法使いタチーハの身体と名はやはり本物のタチーハ様にお返ししたいのです」

キヨヒコは自分の決意をはっきりと述べた。
彼女の目には、強い意志とタチーハへの敬意が見て取れた。

王様はしばらく考え込んだ後、ゆっくりと頷いた。
「わかった。だが、辺境の森は危険だ。以前のタチーハがオークの王として君臨していると知れれば混乱を招くかもしれない。
慎重に進め、そして彼女があなたを認識できるように何か証拠となるものを持っていきなさい。」
王様はそう言って部屋の片隅にあった小さな箱を手に取りキヨヒコに渡した。
それはタチーハが大魔法使いとして認定された時に受け取った魔法の結晶が入ったペンダントだった。
「これはタチーハが持っていたものだ。彼女なら、きっとこれを見てあなたのことを、自分の事を思い出し信じるだろう。」

宰相と騎士団長もこの場に同席しており二人は互いに視線を交わした。
「我々もタチーハ殿の安否を確認するために、密かに軍から偵察隊を出してます。1週間前ですが最終的に確認したのは辺境の森のこの位置です。
しかし彼女がオークの社会に溶け込んでいるなら無用な戦闘は避けてください。貴女の無事を第一に考えてください。」
宰相が忠告した。
騎士団長も言葉を添えた。
「タチーハ殿は我々に多くの恩義があります。その恩に報いるためにも彼女を無事に連れ戻してください。大魔法使いタチーハよ、どうかお気をつけて」

49303833 No.1923

キヨヒコは深く頭を下げ、感謝の意を表した。
「ありがとうございます。王様、宰相様、騎士団長様。
必ずタチーハ様を見つけ出し、彼女の身体を返すことをお約束します」
彼女はタチーハの身体で、タチーハの知識と魔法を駆使して辺境の森へと旅立つ準備を整えた。
ペンダントを胸に抱き彼女(キヨヒコ)は心の中でタチーハに語りかけた。
「待っていてタチーハ。必ずあなたの元へ行くから」
キヨヒコ(タチーハ)は王都を離れ、危険と未知が待つ辺境の森へと向かった。
彼女の旅はただの身体の返却だけでなく友情や理解、そして真の魔法の力を試される冒険の始まりだった。

61e959aa No.1958

File: 1740080837706.jpg (260.02 KB, 800x1200, fotor_1740080802336.jpg)

王都の石畳を静かに離れ辺境の森へと続く花々が咲き乱れる小道を進むタチーハ—
いや、正確にはタチーハの身体と人格に完全に移行したキヨヒコの足音が、春の陽光に包まれた森に優雅に響いていた。
彼女の意識は超古代文明の遺物による入れ替わりの結果、タチーハの洗練された女性の心と知識に完全に馴染んでいた。
タチーハの姿は驚くほど美しいものだった。
長い金髪が二つに分かれた大きな三つ編みにまとめられ、森の柔らかな光を浴びて黄金色に輝く。
白を基調とした豪華なローブが風に靡きながら青い縁取りと金の刺繍で飾られ、
魔法使いとしての威厳と優雅さを放つ。
大きな白い魔法使いの帽子——青いリボンと黒い先端の装飾が施されたその形は彼女の高い地位を象徴的に際立たせていた。
青いフレームのメガネ越しに見る青い目は知性と穏やかな温かさを湛え、女性らしい柔らかさと決意が混ざり合っていた。
手に持つ青い表紙の巨大な魔導書は彼女の知識の深さを示し、ページをめくる指先には繊細な動きが宿っていた。
もう一方の手には木製の魔法のスタッフ——先端に赤い宝石が埋め込まれたもの——を軽やかに握り、微かな魔法の光が森の花々と青い空を背景に幻想的な輝きを放つ。
白いブーツを踏みしめるたび足元の花々が揺れ、彼女の歩みに自然が寄り添うようだった。
「…この森も、静かで美しいわね」
タチーハ——いや、彼女の身体と人格に完全に融合したキヨヒコ——は、女性らしい柔らかな声で呟いた。
入れ替わりの半年間、彼女はタチーハの知識と人格に完全に適応し、女性としての振る舞いや思考が自然と染み付いていた。
オークとしての粗野な記憶は遠くに霞む影のように感じられるだけだった。

61e959aa No.1960

File: 1740083260872.jpg (116.16 KB, 500x707, dd991bcedda4f93c3707b73406….jpg)

その時、遠くから狼の遠吠えと村人たちの悲鳴が聞こえてきた。
タチーハ(キヨヒコ)の青い目が一瞬、鋭く光り彼女は優雅な動作で魔導書を閉じ、スタッフを構えた。
「…困っている人々がいるみたいね。助けに行かなくちゃ」
と穏やかながらも決意に満ちた声で呟き、森の奥へと軽やかに歩みを進めた。
村に到着すると灰色の毛並みと鋭い牙を持つ魔狼の群れが木造の家々を襲い畑を荒らしていた。
巨大な黒い魔狼——アルファ・ルナウルフ——がリーダーとして吠え、村人たちを恐怖に陥れていた。

彼女は魔導書を開き呪文を読み上げた。
「Luminos fulgur, expelle tenebras!」

青白い雷の光がスタッフから放たれ魔狼の群れに降り注ぐ!
魔狼たちは悲鳴を上げ、動きが鈍くなった!
その動きは流れるような優雅さと魔法の力強さを兼ね備えていた。
しかしアルファ・ルナウルフが猛然と飛びかかってきた。
タチーハは軽やかにステップを踏み、スタッフを振るう。
赤い宝石が放つ金色の衝撃波で魔狼を吹き飛ばした。

「…闇の力を、浄化の光で浄めるわ」
と静かに呟きながら彼女の青い目は冷静に次の動きを予測していた。
村人たちは呆然としながらも魔法使いの姿に希望を見いだした。
タチーハ(キヨヒコ)の姿に気付いた村長が震えながら近づき
「お願いです!私たちの村を救ってください!」
と懇願する。

タチーハ——キヨヒコ——は穏やかに微笑み帽子を軽く直しながら答えた。
「心配しないで。私の魔法で必ず村を救ってみせるわ」
女性らしい優しさと自信が彼女の言葉に溢れ、村人たちに安心感を与えた。

最終的に魔狼の群れは光と雷の魔法で駆逐され、アルファ・ルナウルフもキヨヒコの力強い一撃で森の奥に叩き込まれた。
魔狼の群れは完全に駆逐され、村は平穏を取り戻した。
村人たちは歓喜しながらも魔法使いの美しさに魅了され感謝の言葉を捧げた。
村人たちの歓声が響き渡る中、タチーハ(キヨヒコ)は白いローブを整え長い金髪を風に揺らしながら微笑んだ。
「これで旅の途中に少しでも人の役に立てたわ。タチーハ…いや、私自身が目指す場所に向かってまた歩みましょう」
彼女は魔導書を閉じスタッフを手に取り森の小道を再び進んだ。
白と青のローブが花々の間で優雅に舞い、メガネ越しの青い目は辺境の森でオーク王となったタチーハ
(かつての自分の身体に宿る彼女)との再会を静かに見据えていた。



[Return][Go to top] Catalog [Post a Reply]
Delete Post [ ]
[ futaba / tachiha / aiba / honba / aoba / b ] [ main / recent post ]