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「へえ。これが俺か、、、。」
俺は手鏡をのぞき込んでつぶやく。
「何つーか、すごい美人さんだ。」
「せやで。清美ちゃんは、ちゃんとお化粧すれば美人さんなんや。」
双葉ちゃんが餌関西弁で力説する。
「せっかくの美人さんなんやから、お肌の手入れとかにきぃ使わんと、、、。」
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双葉の声は、まるで遠くから聞こえてくるようだった。
鏡の中の少女は、俺が口を動かせば同じように唇を動かし、俺が瞬きをすれば同じように目を閉じる。
けれど、その動き一つ一つが、俺が知っているはずの無骨な動きとは、根本的に違っていた。
何というか、こう……いちいち絵になるのだ。
「清美ちゃん? 聞いとる? 自分の顔に見惚れるんは分かるけど、その角度はちょっとナルシストすぎるわぁ」
ニヤニヤと笑う双葉の声に、俺はハッと我に返った。
いかん、いかん。中身は俺なんだぞ。
この顔に惑わされてどうする。
「あー、いや、その……ちょっと、な」
俺は慌てて鏡を持つ手を下ろそうとしたが、双葉が後ろから俺の手を掴んだ。
「待って! その角度、今の光の当たり方! 完璧や!」
双葉は自分のスマートフォンを構え、俺の顔を狙った。
「せ、せや! 今の鏡越しの清美ちゃん、めっちゃ可愛いから撮らせて! この金髪のゆるふわな感じと、制服のリボンが……あかん、これ、永久保存版やん!」
双葉は興奮気味に、シャッターを連打した。
鏡の中の少女は、少しだけ照れたように、そして困ったように眉を下げていた。
その表情も、写真の中ではきっと、完璧な『美少女の照れ顔』として記録されてしまうのだろう。
(俺、この生活、本当に続けていけるんだろうか……?)
鏡の中の自分の瞳に、俺は一抹の不安を覚えた。
けれど、その不安さえも、双葉にとっては「完璧な構図」の一部でしかないようだった。