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/tachiha/ - たちは板κ

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26f93527 No.4082

05675320 No.4086

「クソッ、どいつもこいつも、しつこい!」
暗闇の中、俺――世界を股にかける怪盗クロウは、不格好な走りで警察署の廊下を駆け抜けていた。
手には、厳重なセキュリティを掻い潜って手に入れた極秘ファイルが握られている。
(計算外だ。まさか、あの新型センサーが起動しているとは!)
サイレンが鳴り響く。
怒号が飛び交う。
逃げ道を完全に塞がれた。
俺は絶体絶命の窮地に立たされていた。
(どこだ、どこか逃げ込める場所は……)
焦る俺の目に飛び込んできたのは、一つのドア。
『女子トイレ』
「……背に腹は代えられん!」
俺はためらうことなくドアを開け、中に飛び込んだ。

「キャッ!?」
女子トイレに入った瞬間、目の前に一人の婦人警官が立っていた。
彼女は驚きのあまり声を上げた。
「しまっ……!」
考えるより先に体が動いた。俺は彼女の背後に回り込み、首筋に手刀を打ち込む。
「うぐっ……」
彼女は力なく崩れ落ちた。
俺は彼女をキャッチし、個室へと運び込む。
「すまねえ。だが、こうするしかなかったんだ」
俺は彼女の体を見つめる。
端正な顔立ち、線の細い体躯。
この警察署に勤める、交通課の美人婦警だ。
(こいつに……変装するしかない)
俺が持っている『禁断の能力』――それは、接触した人物の姿形を完全にコピーできるというものだ。
ただし、そのためには相手の『全て』を奪う必要がある。
「……悪いな」
俺は躊躇なく彼女の制服に手をかけた。
ボタンを外し、ジッパーを下ろす。
一枚、また一枚と、彼女を包む衣服が剥がされていく。
現れたのは、白く透き通るような肌。
「……っ」
俺は、彼女が身に着けていた下着に手を伸ばした。
(人肌の……ぬくもり……)
まだ彼女の体温が残る、温かい下着。
それを手にした瞬間、俺の体に電流が走った。
(これが……女の温かさか……)
俺は、彼女の下着を、そして制服を、一つ一つ身に着けていく。
下着が俺の体に密着する。
人肌の温もりが、俺の皮膚を通して全身に広がっていく。
(心地いい……なんて……心地いいんだ……)
俺の体は、次第に熱を帯びていく。
骨がきしみ、筋肉が収縮し、皮膚が変化していく。
身長が縮み、胸が膨らみ、声が、顔が、完全に彼女のものへと変わっていく。
「……これが、私?」
俺は鏡を見つめた。
そこに映っていたのは、紛れもなく、さっきまで俺の前に立っていた美人婦警だった。
(完璧だ、声も、匂いも、全て彼女のものだ……)
俺は、彼女の制服を整え、スカートの裾を直す。
「これで、完璧な変装の出来上がりだ」
俺は不敵な笑みを浮かべ、トイレのドアを開けた。


「おい、お前!こんなところで何をしている!」
トイレから出た瞬間、男性警官に見つかった。
彼は、俺の姿を見て不審な表情を浮かべる。
「あ……えっと……」
俺は焦った。
まだ、この体に慣れていない。
声が、上手く出ない。
「……交通課の、佐藤です」
俺は、彼女の名札を思い出し、とっさに嘘をついた。
「佐藤?……ああ、そうか。お前、交通課だったな」
男性警官は、俺の制服を見て納得したように頷く。
「……で、ここで何を?」
「……えっと、その……」
俺は、言葉に詰まった。
「……忘れ物を、取りに……」
「忘れ物?……まあ、いい。今は、怪盗クロウが侵入しているんだ。お前も、注意しろよ」
男性警官は、そう言うと去っていった。
「……ふう」
俺は胸をなでおろした。
どうやら、バレずに済んだようだ。
(完璧な変装。これなら、この警察署から脱出できるかもしれない)
俺は、交通課の美人婦警として、警察署内を歩き始めた。
(それにしても、この制服……スカートが短い)
俺は、スカートの裾を気にした。
今まで、男として生きてきた俺にとって、スカートは未知の領域だ。
(それに、この人肌の温もり。まだ、下着に残っている……)
俺は、彼女の体温を、そして彼女の匂いを、全身で感じていた。
それは、怪盗としての俺にとって、初めての経験だった。
(この美人婦警。もしかして、私……)
俺は、鏡に映った自分の姿を見つめ、何かが目覚めるのを感じた。

a32da292 No.4091

(ふう。なんとか、しのげたか)
トイレの鏡に映る『佐藤』の顔は、冷や汗ひとつかいていない。
完璧なポーカーフェイスだ。
禁断の変身能力は、外見だけでなく、声帯や微細な癖までをも完全にコピーする。
だが、中身は怪盗クロウだ。
一刻も早くこの警察署から脱出せねばならない。
俺は盗み出した機密ファイルを、佐藤の制服の懐に深く隠した。
人肌の温もりが残る下着と、その上の制服が、俺の体を締め付ける。
この窮屈さが、逆に心地よい緊張感を与えてくれる。
「よし、行くか……」
佐藤の、少し高めで鈴を転がすような優しい声を真似て、俺は独り言をつぶやいた。
歩き方も、男のガサツなものではなく、歩幅を狭く、しとやかに。
廊下に出ると、まだ署内は騒然としていたが、婦警の姿(しかも交通課の制服)の俺に不審な視線を向ける者はいない。
(このまま裏口から……)
そう思った瞬間、背後から元気な声が掛かった。
「あ、佐藤先輩!探しましたよー!」
振り返ると、小柄でショートカットの、いかにも『元気印』といった風情の若い婦警が駆け寄ってきた。
(誰だ?こいつ)
俺の脳内データベースに、この婦警の情報はない。
だが、彼女は親しげに俺の腕を掴んできた。
「もう、トイレ長かったですよ。課長が、今日の巡回、佐藤先輩と私で行ってこいって」
「巡回?」
俺は内心で舌を打ちながらも、佐藤の優しい微笑みを浮かべた。
「ええ、そうね。ごめんなさい、ちょっと体調が優れなくて……」
「えっ、大丈夫ですか?顔色、悪くないですか?」
若い婦警が、心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。
(くそ、鋭いな。だが、ここで引くわけにはいかない)
「大丈夫よ、ちょっと座れば治るわ。それより、行きましょうか」
俺は、彼女の手を優しく握り返し、歩き出した。
「はい!あ、今日のパトカー、私が運転しますね!」
彼女は嬉しそうに鍵をジャラジャラと鳴らし、駐車場へと向かった。
パトカーに乗り込むと、彼女は手慣れた様子でエンジンをかけた。
「佐藤先輩、今日のコースは、駅前の方でしたよね?」
「ええ、そうね。駅前は、最近、違法駐輪が多いから、注意しないとね」
幸い、怪盗として街の地理や交通事情には詳しかったのが幸いした。
パトカーが走り出すと、彼女は嬉しそうに話し始めた。
「佐藤先輩、最近、彼氏とはどうなんですか?」
「えっ……彼氏?」
俺は一瞬、言葉を失った。
(佐藤には、彼氏がいるのか?)
これは、計算外だった。
「あ、えっと……その……」
俺は、どう答えるべきか迷った。
「……内緒よ」
俺は、佐藤の優しい口調で、悪戯っぽく微笑んだ。
「えー、冷たいなー。教えてくださいよー」
彼女は不満そうに唇を尖らせたが、それ以上は追及してこなかった。
(危なかった。まさか、恋バナを振られるとは)
俺は、冷や汗が背中を伝わるのを感じた。
「でも、佐藤先輩、最近、ますます綺麗になりましたよね」
彼女は、運転しながら、俺の方をチラリと見た。
「えっ?」
「何ていうか、雰囲気が、柔らかくなったっていうか……。以前は、もっと、キリッとしてた気がするんですけど」
(マズイ。性格の違いが、雰囲気に出ているのか?)
俺は、必死に佐藤の『優しさ』を演じようとした。
「そうかしら?自分では、よく分からないわ」
「ええ、本当ですよ。私も、佐藤先輩みたいに、優しくて綺麗な婦警になりたいなー」
彼女は、憧れの眼差しで俺を見つめた。
(怪盗に憧れる婦警か。皮肉なもんだな)
俺は、内心で苦笑しながらも、彼女の憧れに応えるように、優しく微笑んだ。
「ありがとう。あなたも、きっと素敵な婦警になれるわよ」
俺の声は、自分でも驚くほど、佐藤の優しい声に似ていた。
パトカーは、駅前に到着した。
「よし、じゃあ、巡回を始めましょうか」
俺は、パトカーから降り、彼女と共に歩き出した。
(さて、この『完璧な変装』、どこまで通用するか)
俺は、佐藤として、そして怪盗クロウとして、駅前の雑踏へと踏み出した。

a32da292 No.4092

(それにしても、驚くほどピッタリだな)
助手席で制服の裾を整えながら、俺は密かに胸元へ意識を集中させる。
佐藤の身体は、俺が盗み見た通りの美しいプロポーションをしていた。
下着のサイズは寸分の狂いもなく俺の身体――いや、今の『佐藤』の身体に完璧にフィットしている。
豊満なバストをしっかりと支えるブラジャーのワイヤーが、肌に微かな圧迫感を与える。
一方で、レースのあしらわれたショーツは、小ぶりで引き締まったお尻を優しく包み込んでいた。
借り物の下着だというのに、妙なしっくり感がある。
(人肌の温もりが残っていたからか? いや、それだけじゃない)
先ほどまでの「追われる怪盗」という極限の緊張感が、この身体のフィット感によって不意に解けていく。
包み込まれるような心地よさと、完璧に成り代われているという絶対的な安心感。
「佐藤先輩? どうかしました?」
ハンドルを握る若い婦警が、チラリとこちらを見て首をかしげた。
「ふふ、なんでもないわよ。ちょっと制服の位置を直していただけ」
俺は佐藤の柔らかい笑顔を浮かべ、しとやかに答える。
(この身体の感覚、悪くない)
下着越しに伝わる微かな体温とフィット感を噛み締めながら、俺は交通課の『佐藤』として、更なる潜伏の機会を伺っていた。

bf369bad No.4103

『ジジッ……こちら本部。怪盗クロウの目撃情報あり。各局、警備を強化せよ――』
ダッシュボードの無線機から、ノイズ混じりの荒々しい声が響き渡る。車内に漂う緊迫感とは裏腹に、俺の胸の奥には冷静な計算が走っていた。
「うわぁ、署内は大騒ぎですね……。怪盗クロウ、まさかこんな近くにいるわけないですよね?」
運転席の若い婦警が、少し怯えたようにハンドルを握り直す。
「ふふ、大丈夫よ。私たちがしっかり目を光らせていれば、怪盗だっておいそれと動けないわ」
俺は佐藤の柔らかい声で、彼女を安心させるように優しく語りかけた。
(ふん、まさかその怪盗が、お前の隣でしれっと助手席に座っているとも知らずに)
本物の佐藤は、まだ女子トイレの個室で眠っているはずだ。
発見されるのは時間の問題だが、無線を聞く限り、まだ手配は回っていない。
(佐藤の姿でいられるのも、そう長くはないか)
下着越しに伝わる佐藤の体温と、胸を支えるブラの適度な圧迫感が、妙に身体に馴染んできたところだった。
だが、潮時だ。
この完璧なフィット感に名残惜しさを感じつつも、俺は思考を切り替える。
「ねえ、長瀬ちゃん」
名札を横目で盗み見ながら、佐藤の親しげな口調で問いかける。
「はい? なんですか、佐藤先輩?」
「次の巡回ポイント、どこだっけ? 人通りの多いところ……そうね、例えば大きな商業施設とか、混雑するエリアに行きたいのだけれど」
「あ、それなら次は駅前のショッピングモール付近ですね! ちょうど人出も増える時間帯ですし」
「そう。じゃあ、そこへ向かいましょうか」
「了解です!」
元気に返事をしてアクセルを踏み込む彼女の横顔を見ながら、俺は次の獲物――いや、『次の身体』を探す算段を立てる。
(警察署を離れ、人の多い場所へ移動する。そこなら、警察の目を盗んで新しいターゲットを気絶させ、姿を奪うチャンスはいくらでもある)
「佐藤先輩? なんだか今日、すごく頼もしいです。いつもより落ち着いてて、なんだかカッコいいっていうか……」
「あら、そう? ふふ、後輩の前だもの、しっかりしないとね」
俺は優しく微笑みながら、心の中で不敵に呟いた。
(惜しいな、本物の佐藤。お前のこの身体、もう少し楽しんでいたかったが……次はどんな『着ぐるみ』に着替えるとしようか)

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パトカーを商業施設の駐車場に止め、俺たちは賑わう駅前モールへと足を踏み入れた。
休日ということもあり、家族連れやカップルでごった返している。
絶好の紛れ込み日和だ。
「よし、到着しましたね! 佐藤先輩、まずは1階の広場付近から見て回りますか?」
元気いっぱいに周囲を見渡す後輩婦警。
このまま一緒に行動されては、次の『着替え』どころではない。
俺は佐藤の柔らかい笑顔を浮かべ、少し困ったような、それでいて包容力のある口調で語りかけた。
「そうね……でも、今日は人がかなり多いわ。効率よく回るために、二手に分かれない?」
「えっ? 二手にですか? でも、巡回は基本二人一組って決められてますし……」
「大丈夫よ。怪盗の手掛かりを探すにも、別々の方が広範囲をカバーできるでしょう? 何かあったら、すぐ無線か携帯で連絡し合いましょう。ね?」
そう言って、俺は彼女の肩に優しく手を置いた。
佐藤のあの親しみやすい微笑みとトーンを完璧に再現する。
「う……佐藤先輩にそう言われると、拒否できないです。わかりました! じゃあ私、2階のヤングファッションフロアを中心に見てきますね!」
「ええ、気をつけてね。頼りにしているわ」
「はいっ! 佐藤先輩も無理しないでくださいね!」
素直な後輩は疑問も持たずに階段へと走っていった。
その背中を見送り、俺は密かに息を吐く。
(よし、これで一人だ)
胸を突っぱねるようなブラの感触と、制服の下で揺れるスカートの裾を気にしながら、俺は通行人の観察を始めた。
佐藤の身体も悪くはない。
豊満な胸と絶妙なフィッティングの下着の感触は実に心地いいが、いつまでも警察の制服を着ているのはリスクが高すぎる。
警察署で本物の佐藤が目を覚ませば、一発で指名手配だ。
(さて……次のターゲットは……)
人混みの中を目で走らせる。
「いたな」
俺の目に留まったのは、白のニットブラウスに淡いピンクの花柄フレアスカートを纏った、見るからに清楚で可愛らしい雰囲気の若い女性だった。
大きなショッピングバッグを持ち、少し困った顔で案内板を見上げている。
(あの清楚系か……悪くない。俺好みのスタイルだ)
俺は佐藤の優しい笑みを絶やさないまま、すっと彼女の元へ歩み寄った。
「こんにちは。何かお探しですか? 警察の者ですが、よろしければご案内しますよ」
「あ、警察官の方! すみません、実はこの館内のATMを探していて……」
安心したように胸を撫で下ろす彼女。
警察官(しかも美人婦警)という肩書は、これ以上ない信用を生む。
「ATMですね。それなら……少し分かりにくい場所にあるんです。よろしければ、私が近くまでご案内しましょうか?」
「本当ですか!? 助かります!」
「ふふ、いいのよ。こちらへどうぞ」
俺は彼女を安心させるように優しい声で誘導しながら、混雑する中央広場を避け、人の行き来が少ない奥の通路へと自然な足取りで連れて行く。
目指すは、防犯カメラの死角になりやすく、防音性も高い『多目的トイレ』だ。
(警察官の制服を着て、可愛い女の子を多目的トイレに連れ込む怪盗か。皮肉なシチュエーションだな)
下着越しに伝わる佐藤のぬくもりを全身で感じながら、俺は次の『完璧な着替え』に向けて、優しく、そして静かにターゲットを罠へと誘い込んでいった。

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「あら、大変。スカートの後ろに少し汚れがついているみたい。ちょっと確認しましょうか」
「えっ!? 本当ですか!?」
「ええ。ちょうどここに多目的トイレがあるから、中の大きな鏡で見るといいわ」
俺は佐藤の穏やかで心配そうな声を完璧に作り上げ、清楚な女子大生をまんまと多目的トイレへと誘導した。
彼女が慌てた様子で中に入った瞬間、俺は素早くドアを閉めて鍵をかける。
「えっと、どの辺りですか?」
背を向けた彼女の首筋に、俺は手刀を静かに、だが確実に振り下ろした。
「あ……」
短い吐息とともに、彼女の体が崩れ落ちる。
俺はそれをしっかりと抱き止め、冷たい床にそっと寝かせた。
「悪いな。少しの間、その姿を借りるぜ」
俺は彼女の華奢な頬に手を触れ、能力を解放する。
瞬間、全身を熱い奔流が駆け巡った。
(来る……)
骨格が軋み、筋肉と脂肪の付き方が劇的に変化していく。
まず気づいたのは、体の『軽さ』だった。
佐藤の体に宿っていた、あの豊満で重みのある肉感が急速に削ぎ落とされていく。
「……うおっ」
変化が収まり、俺は自分の体を見下ろして思わず声を漏らした。
さっきまではち切れんばかりに体を締め付けていた交通課の制服が、今はまるで借り物の大きなコートのようにダボダボになっているのだ。
「なるほど。佐藤の奴、服の上からじゃ分かりにくかったが、完全に『グラビアアイドル体型』だったってわけか」
俺は苦笑しながら、制服のボタンを外し、スカートを下ろした。
現れたのは、悲しいほどにサイズの合わなくなった下着姿だ。
佐藤の大きな胸をしっかりと支えていたブラジャーは、今やスカスカに浮いており、カップの中に拳が入ってしまいそうだ。
小ぶりながらも肉感的だったお尻を包み込んでいたショーツも、ウエスト周りが緩み、ずり落ちそうになっている。
俺はそのブカブカになった下着を脱ぎ捨て、洗面台の大きな鏡の前に立った。
そこに映っていたのは、さっきまでのグラマラスな婦警とは対照的な、息を呑むほどに洗練されたプロポーションだった。
無駄な肉が一切ない、引き締まったウエスト。スラリと伸びた手足。
胸は佐藤に比べれば控えめだが、それでも形良くツンと上を向いている。
(こいつは見事なスレンダー、いや、完全に『モデル体型』だな)
俺は自分の新しい腹筋や、細く長い脚のラインを撫でながら、その完璧な造形に感心した。同じ女の体でも、こうも違うものか。
「さてと、お着替えの時間だ」
俺は気絶している女子大生を素早く、かつ丁寧に脱がせにかかった。

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彼女が身につけていたのは、淡い水色に白いレースがあしらわれた、清楚で可憐な下着だった。
まずはショーツから足を通す。
スレンダーな腰回りを引き上げるように履くと、布地が吸い付くようにピタリと収まった。佐藤の時の肉感的な締め付けとは違う、軽やかで肌に馴染む心地よいフィット感だ。
続いてブラジャー。
背中でホックを留め、カップの中に控えめな胸を収めると、これまた寸分の狂いもなくジャストフィットした。
ワイヤーが肋骨に優しく添い、華奢な上半身を綺麗に整えてくれる。
「やっぱり、自分のサイズに合った下着ってのは落ち着くもんだな」
俺は鏡の前で軽くポーズをとり、ブラとショーツの感触を確かめる。
次はアウターだ。
白のニットブラウスに腕を通し、頭から被る。柔らかいニット素材が、スレンダーな肩のラインと、引き締まったウエストのくびれを美しく際立たせる。
佐藤の体ではきっと胸が強調されすぎて下品になっていただろうが、このモデル体型が着ると、清楚さと洗練された上品さが同居する見事な着こなしになる。
最後に、淡いピンクの花柄フレアスカートを穿く。
サイドのファスナーを上げると、細い腰にしっかりと固定された。
少し動くだけで、柔らかなシフォン素材の裾がフワリと揺れ、長く細い脚のラインをチラチラと見え隠れさせる。
「完璧だ……」
仕上げに彼女のローヒールのパンプスを履き、バッグを肩にかける。
鏡に映る俺は、どこからどう見ても、これからショッピングを楽しむ清楚な女子大生そのものだった。
「さて、婦警さんの服は、とりあえずこのバッグの中に隠しておくか。外には元気な後輩ちゃんがウロチョロしてるからな」
俺は佐藤の制服と、あの大きくて温かかった下着を素早く折りたたみ、女子大生のバッグの底に押し込んだ。
(これでよし。怪盗クロウの鮮やかな逃走劇、第2幕の開演といくか)
俺は可憐な微笑みを唇に貼り付け、多目的トイレのドアをゆっくりと開けた。

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トイレのドアを少しだけ開き、外に気配がないことを確認してから、俺は完全に外へ出る前にバッグの中身を改めることにした。
新しい身体のアイデンティティを完全に自分のものにしておくためだ。
バッグから財布を取り出し、カードケースを開く。
(名前は……橘 結衣。大学2年生か)
運転免許証や学生証に写っている顔は、紛れもなく今俺が纏っている顔そのものだった。
住所や学籍番号、定期券の区間までしっかりと頭に叩き込む。
声だけでなく、身分証の裏付けもあって初めて完璧な「変身」と言える。
財布をバッグに戻そうとしたその時、モールの吹き抜けの通路を、慌ただしく駆け抜けていく人影が目に入った。
(ん……?)
あれは、さっきまで一緒にパトカーに乗っていた、あの元気な後輩婦警だ。
トランシーバーを片手に、血相を変えて周囲を見回しながら走っている。
(おいおい、あんなに急いで……。もしかして、もう本物の佐藤が目覚めたのか?)
佐藤の服が消え、女子トイレの個室で気絶している本人が発見されたのだろう。
後輩ちゃんは今頃、「佐藤先輩が消えた」「偽物に入れ替わられたかもしれない」と気づき、必死に追跡しているに違いなかった。
(俺と一緒に巡回していたはずの佐藤が偽物だったと気づいたなら、このエリア全体の警戒が厳しくなるな……)
そして、ふと考える。
もし後輩ちゃんが「佐藤と一緒にいたはずの怪盗が、周囲に紛れ込んでいる」と踏んでいるなら、同じエリアにいる他の人間にも目を光らせているかもしれない。
今、この清楚な女子大生の姿をしている俺も、いつ怪しまれるか分からない。
(この清楚な女子大生の体も、長くはこのままいられないかもしれないな……)
だが、ここで慌てて逃げ出すのは悪手だ。かえって怪しまれる。
俺はタネも仕掛けもない無邪気な女子大生のフリを装い、フワリとスカートの裾を揺らしながら、何食わぬ顔で反対側の通路へと歩き出した。
(とりあえず、この姿のまま駅に向かおう。改札を抜けてしまえば、こっちのものだ)
緊張感と、微かなスリルを心地よく感じながら、俺は人混みの中に溶け込んでいくのだった。

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スマホの画面を親指でスクロールさせ、流行りの音楽配信アプリのジャケットを適当になぞりながら、俺――いや、橘結衣として歩を進める。
(画面の明るさは半分、視線はやや斜め下。スマホに夢中な女子大生なら、周囲の物音や緊迫した空気には気づかないはずだ。完璧だな)
すれ違う通行人に怪しまれないよう、歩幅や姿勢まで完全に女子大生になりきる。
このスレンダーなモデル体型の身体は、少し歩くだけでシフォン素材のスカートが軽やかに揺れ、まるで日常のひとコマそのものを演出してくれているようだ。
(それにしても、さっきの後輩ちゃんの慌てぶりは面白かったな。俺が消えたあと、本物の佐藤が目を覚まして大パニックってところか。あの真面目な顔が青ざめる瞬間を想像するだけで、ゾクゾクするぜ)
背筋をぞくぞくさせるようなスリルと、それを涼しい顔で切り抜けているという強烈な優越感が、心地よいアドレナリンとなって全身を駆け巡る。
追う者と追われる者のゲームは、まだ始まったばかりだ。
やがて、目的地である駅のロータリーが見えてきた。
(おっと)
足を一歩踏み入れた瞬間、視界の端で反射的に状況を分析する。
駅のコンコースや改札の周辺には、ピリついた空気をまとった制服警官や捜査員たちが大勢配置されていた。
おそらく、駅構内を封鎖して徹底的な検問を行っているのだろう。
(見事に網を張られたもんだ。あんなに大勢で待ち構えられたら、普通の人間なら足がすくむか、顔が引きつるに違いない)
心臓が高鳴る。
だが、それは恐怖や焦りによるものではない。
極限の状況下で、敵の網の目をすり抜けていく快感――これぞ怪盗クロウの醍醐味だった。
(顔に出すな。今の私は、ただ今日を楽しみにしていた大学生だ。彼らにとって、私はただの「すれ違う一般人」にすぎない)
俺はわざとため息をつき、スマホのチャット画面を適当にフリックしながら、わざとらしく少し気だるげな表情を作った。
警察官たちの視線が横切るが、誰一人として足を止める者はいない。
この清楚な花柄スカートと、無防備な女子大生のオーラが最高のカモフラージュになっている。
ピッ、とスマートにICカードをタッチし、何食わぬ顔で改札口を通過する。
(よし、まずは第一関門突破だ)
ホームに降り立つと、ちょうどタイミングよく、数分後に発車するローカル線が滑り込んできた。
自動ドアが開き、涼しい冷気がホームへと流れ込んでくる。
俺は車内に足を踏み入れ、入り口付近の吊り革に手を伸ばした。
車内は比較的空いており、乗客たちはそれぞれの世界に没頭している。
電車の扉が閉まり、ゴトゴトと重い音を立てて車体が動き出す。
窓の外で、駅のプラットホームや警戒にあたる警察官たちの姿が徐々に遠ざかっていくのを見送りながら、俺はふうっと小さく息を吐いた。
(警察署から始まった今日のドタバタも、これで一段落ってところか)
電車の揺れに合わせて、シフォン素材のスカートがふわりと揺れる。
足元を包むパンプスの感触、そしてスレンダーな体を優しく支える下着のフィット感を改めて意識しながら、これからの身の振りを頭の中で組み立てた。
(佐藤の制服と下着はバッグの中にしっかり隠してある。この橘結衣の身体は、当面の間は安全な隠れ蓑になるが……いつまでもこのままでいるわけにはいかない。どこかのタイミングで、また別の安全な場所に移って、別の姿に乗り換える必要があるな)
窓ガラスに映る自分の顔を見る。整った目鼻立ちをした、可憐な女子大生の顔。
(さて、この可愛い顔と身体で、次はどこへ繰り出そうか。極秘ファイルも手に入ったことだし、一度ゆっくりと中身を吟味させてもらうとしよう――次の獲物が見つかるまでは、この『お嬢さん』の人生を存分に楽しんでやるさ)
電車はガタンゴトンと心地よいリズムを刻みながら、次の街へとスピードを上げていくのだった。

b84abdd1 No.4248

ガタン、ゴトン。
数駅を過ぎるうちに、ローカル線は帰宅ラッシュの波に飲み込まれ、いつの間にか満員電車に近い状態になっていた。
押し寄せる乗客の圧で、吊り革につかまる俺の体も周囲の人間に挟まれるように固定されていく。
(ん?)
背後から、不自然な気配を感じた。
怪盗としての鋭い感覚が、背後に陣取った男の異質さを告げている。
電車の揺れに合わせて、男の体がわざとらしく俺の背中や腰に密着してくる。
荒い息遣いと、整髪料の混じったような嫌な匂いが鼻を突いた。
(なるほど、痴漢ってやつか)
普通の女子大生なら恐怖で声も出ない場面だろう。
だが、中身は百戦錬磨の怪盗だ。
恐怖など微塵もない。むしろ、俺の脳裏にはある好奇心が頭をもたげていた。
(この橘結衣のスレンダーな体、一体どこまで『感じる』んだろうな? 試しにこのまま触らせてみて、女の体の感度ってやつを確かめてみるのも……一興かもしれないな)
密着してくる男の体温を感じながら、俺はあえて身をよじらせず、静かに状況を楽しもうとした。
借り物の体で味わう未知の感覚への、純粋な興味だ。
だが――数秒後、俺の頭に冷や水がぶっかけられたように、冷徹な思考が戻ってきた。
(いや、待て。ここで変に事態を静観して、もし周りの乗客が気づいたらどうなる?)
最近はSNSの普及もあり、正義感に燃える『お節介な男』がどこに潜んでいるか分からない。「おいアンタ、何してんだ!」「お嬢さん、大丈夫ですか!」などと急に腕を掴まれでもしたら、一気に騒ぎが大きくなる。
(駅員に通報され、最悪の場合はそのまま警察沙汰だ。警察が駆けつければ、事情聴取は免れない。……冗談じゃない。俺のバッグの中には、さっき盗み出したばかりの警察の極秘ファイルと、佐藤の制服が入ってるんだぞ)
もし持ち物検査なんてことになれば、一発でジ・エンドだ。
おまけに駅周辺にはまだ俺を探している警官が山ほどいる。
(却下だ。好奇心で首を絞めるほど、俺は素人じゃない)
スリルは楽しむが、無用なリスクは徹底的に排除する。
それが怪盗クロウの流儀だ。
俺は冷たい目で背後の男を一度だけ見やると、わざと大きく体勢を崩すフリをして男から離れた。
「すみません、降ります」
か細い、少し怯えたような女子大生の声色を作り、人混みを縫うようにして隣の車両へと移動を開始する。
怪盗の身のこなしをもってすれば、満員電車の人波をすり抜けるなど造作もないことだ。
連結部分のドアを抜け、隣の車両へ足を踏み入れる。
窓に貼られたピンク色のステッカーが目に入った。
『女性専用車両』
(ここは安全牌(あんぱい)を切るに限るな)
車両に入った瞬間、空気がガラリと変わった。
むさ苦しいスーツの男たちの匂いは消え、代わりにシャンプーや柔軟剤、ほのかな香水の香りが漂っている。
周囲を見渡せば、乗客は当然ながら女性ばかりだ。
俺は車両の隅に陣取り、乱れたニットブラウスの襟元と、フレアスカートの裾を軽く整えた。
(見渡す限り、女、女、女……。まさかこの平和な花園に、警察から追われている男の怪盗が紛れ込んでいるとは、誰も夢にも思わないだろうな)
絶対的な安全圏に身を置き、俺は心の中で皮肉な笑いを漏らす。
痴漢のピンチすらも冷静な計算で回避し、この可憐な女子大生の姿を完璧に利用しきっている自分に、たまらない快感と優越感を覚えていた。
(次の駅で降りて、身を隠せるホテルでも探すか。それとも、この可愛い姿のまま、少し夜の街を歩いてみるのも悪くない……)
電車の窓ガラスに映る結衣の顔は、誰もが騙されるような、あどけなく清楚な微笑みを浮かべていた。

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隣の車両との連結部の窓を振り返ると、ガラス越しに地獄のような光景が見えた。
サラリーマンや学生たちが息苦しそうに肩を寄せ合い、顔を顰めながらすし詰め状態になっている。
一方、俺が足を踏み入れた『女性専用車両』は、まるで別世界だった。
(なんだ、この天国と地獄の差は……)
もちろん立っている乗客もいるが、ギュウギュウ詰めには程遠い。
それどころか、見渡せばポツポツとシートに空席すらあるではないか。
車両全体に漂うのは、汗と整髪料の入り混じったむさ苦しい匂いではなく、シャンプーやフローラル系の香水、そして化粧品の甘い香りだ。
男という『外敵』が完全に排除された空間特有の、どこか気が緩んだような、無防備で穏やかな空気が満ちている。
(男の視点から見りゃ、ここは絶対に入れない秘密の花園ってやつだ。そこに、警察から追われている男の怪盗が、こんな可愛いツラして堂々と紛れ込んでるんだからな。傑作だぜ)
俺は内心でほくそ笑みながら、空いていたシートの一つに腰を下ろした。
隣に座っているのは、少し疲れた顔でスマホを眺めている、タイトスカートを穿いた若いOLだ。
俺が座ったことで、お互いの肩や太ももが触れ合いそうなほど近い距離になる。
もし俺が本来の男の姿であったなら、間違いなく嫌な顔をされて距離を置かれるか、警戒してバッグを胸の前に抱え込まれるような距離感だ。
しかし、隣のOLはチラリとこちらを一瞥しただけで、微塵も嫌がる素振りを見せなかった。
それどころか、俺の清楚で華奢な女子大生の風貌を見て無意識に安心したのか、再びスマホの画面へと視線を戻し、わずかに体の力を抜いて俺側に少しだけ体重を預けるような姿勢にすらなった。
(なるほどな。これが『同性』に対する安心感ってやつか)
男であれば絶対に許されないパーソナルスペースへの侵入が、今の俺にはいとも簡単に、そして無条件に許されている。
この橘結衣という可憐で無害な容姿が、周囲の女たちの警戒心を完全にゼロにしているのだ。
(この体、本当に便利すぎる。男の目は惹きつけるくせに、女のテリトリーには顔パスで入り放題ときたもんだ)
柔らかなシートの感触と、隣のOLから伝わる微かな温もり、そしてスレンダーな体を包み込む自分の下着の心地よいフィット感。
俺は目を細め、深く息を吐いた。
先ほどの痴漢騒ぎの緊張感もすっかり消え去り、女性専用車両という絶対的な安全圏が、逃亡中の身である俺にこの上ない安らぎを与えてくれる。
(さて、この特等席で少し休ませてもらうとするか。この『女子大生の日常』、最高に悪くないぜ)

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4dfb171e No.4266

電車に揺られること数十分。
心地よい疲労感と、女性専用車両特有の甘い匂いに包まれて微睡みかけていた頃、車内アナウンスが目的地の駅を告げた。
降車客の波に混じり、隣のOLと一緒にホームへ降り立つ。
改札を抜けると、駅前は夕暮れ時に差し掛かり、帰路を急ぐ人々で賑わっていた。
(よし、ここならあの騒ぎの中心地から十分に離れている。警察の網もここまで広がっちゃいないだろう)
駅舎から出ると、少しひんやりとした夕風が吹き抜けた。
シフォン素材のフレアスカートがひらひらと揺れる。
露出した素足のふくらはぎを撫でる風の感覚が、なんとも言えず心許ないが、同時に妙な解放感があった。
歩くたびに、すれ違う男たちの視線がチラチラと俺の――いや、橘結衣の顔や脚に向けられるのを感じる。
(ふっ、見ている見ている。中身が警察から逃げおおせた天下の大泥棒とも知らずに、どいつもこいつもだらしなく鼻の下を伸ばしやがって)
男たちの欲望を含んだ視線を一方的に浴びるという経験。
それは、男として生きてきた俺にとってはなれない感覚だったが、この完璧な美貌とスタイルという武器を試されているようで、まったく悪い気はしなかった。
むしろ、全員を完全に騙し切っているという圧倒的な優越感が、背筋をゾクゾクさせる。
(さて、まずは安全な隠れ家の確保だな)
俺は駅前の喧騒から少し離れた路地裏に入り、目に付いた自動精算式のビジネスホテルへ向かった。
対面受付のないこういったホテルは身分証の提示も不要で、俺のようなワケありの人間にはうってつけだ。
タッチパネルで適当な偽名を入力し、出てきたカードキーを抜き取る。
誰にも怪しまれることなく、一人の女子大生としてエレベーターに乗り込む。
部屋のドアを開けて中に入り、オートロックがカチャリと閉まる音を聞いて――俺はようやく、全身の力を抜いた。
「ふぅっ、長かったぜ」
女子大生の可憐な声帯から、わざとらしく男っぽい、ぶっきらぼうなため息を吐き出す。
このアンバランスさがまた面白い。俺はバッグをベッドに放り投げ、少し窮屈だったパンプスを脱ぎ捨てた。
「さてと、本日のメインイベントといくか」
俺はバッグを開け、底の方にギュウギュウに押し込んでいた佐藤の制服と下着を掻き分けた。そして、一番奥に隠していた黒いファイルを取り出す。
警察の厳重なセキュリティの奥底に眠っていた『極秘』の文字が印字されたファイル。
これを手に入れるために、婦警になりすまし、女子大生を気絶させ、ずいぶんと綱渡りを楽しませてもらった。
「苦労した分、しっかり報いさせてもらうぜ」
ベッドに腰掛け、ファイルをめくる。
静かな部屋の中、紙をめくる音だけが響く。
華奢で白魚のような美しい指が、国家の機密を次々と撫でていく。
(なるほど、そういうことか。警察の上層部も、裏ではずいぶんと汚いマネをしてるじゃねえか)
ファイルの中身を流し読みしながら、俺は口角を上げた。
この情報なら、裏社会のブローカーに持ち込めば相当な額で取引できる。
いや、いっそ警察組織を直接脅す材料にしても面白いかもしれない。
(これで今回のミッションはコンプリートだ。あとはほとぼりが冷めるまで、この姿で「普通の女子大生」のバカンスを楽しませてもらうとしよう)
ファイルを閉じ、ふと部屋の全身鏡に目をやる。
そこには、少し乱れたニットブラウスに、ベッドに腰掛ける清楚なスレンダー美人の姿があった。
「大仕事の後は、シャワーでも浴びてさっぱりしたいところだな」
自分の細く滑らかな太ももを撫でながら、俺は鏡の中の自分に向かってニヤリと妖艶に笑いかけた。
このモデル体型、服の上からでも十分に楽しめたが、まだ隅々まで確認したわけじゃない。
(せっかく手に入れた新しい『着ぐるみ』だ。この体の隅々まで、どんな風に感じて、どんな声を出すのか……俺自身の手で、じっくりと堪能させてもらうとしようか)
極秘ファイルという最高のお宝を手に入れた高揚感と、新しい体への探求心が、怪盗の心を甘く、そして淫らに刺激していた。

88991723 No.4274

極秘ファイルをサイドテーブルに置き、俺はゆっくりと立ち上がって部屋の全身鏡の前に立った。
「さて、せっかくの極上な体だ。じっくりと堪能させてもらうとするか」
誰の目もない密室。
俺は橘結衣の可憐な声で妖しく呟きながら、白のニットブラウスの裾に手をかけた。
ゆっくりと上へ引き抜き、頭から脱ぎ捨てる。続いて、フレアスカートのサイドファスナーを下ろし、足元へと落とした。
鏡の中に現れたのは、淡い水色と白のレースがあしらわれたブラジャーとショーツに身を包んだ、息を呑むほど美しいスレンダーな肢体だった。
無駄な肉のない引き締まったウエストから、なだらかな曲線を描いて下へと伸びる腰のライン。
俺は自分自身の姿に見惚れながら、ゆっくりと両手を胸元へと伸ばした。
佐藤の時のように、両手からこぼれ落ちるような圧倒的な質量はない。
だが、手のひらにすっぽりと収まるその控えめなふくらみは、信じられないほど形が良く、上を向いていた。
ブラのレース越しに、指先でそっと柔らかな膨らみをなぞってみる。
――その瞬間だった。
「っぁ、あっ」
自分の口から漏れた、甘くかすれた声に俺自身が一番驚愕した。
(な、なんだこの感度は!?)
佐藤の体もそれなりに敏感だったが、この女子大生の体は桁違いだった。
指先が少し触れただけで、背筋を電流が駆け抜けるような鋭い快感が全身を突き抜ける。
胸の先端が、下着の裏地で擦れるたびに、頭の中が真っ白になりそうなほどの甘い痺れが押し寄せてきた。
「はぁっ、はぁっ、すげえ、ちょっと触っただけで、こんなにっ」
俺は荒い息を吐きながら、今度はもう片方の手を、くびれたウエストからお尻のラインへと滑らせた。
ショーツに包まれた小ぶりなヒップ。
手のひらでそっと包み込むと、マシュマロのように柔らかく、それでいて吸い付くような極上の滑らかさだった。
指先でその柔らかなカーブを揉みほぐすように撫でるだけで、下腹部の奥の方から、じわじわと熱いものが込み上げてくるのがわかる。
「んんっ……ああっ……これ、たまんねえな♪」
胸を撫でる手と、お尻を愛撫する手。
自分の手で自分を触っているだけだというのに、怪盗としての冷静な思考が、女の体が放つ強烈な快感と熱情にドロドロに溶かされていく。
(この体……外見は清楚なお嬢様なのに、中身はとんでもなく淫らじゃねえか……)
鏡の中の結衣は、顔を紅潮させ、潤んだ瞳でこちらを見つめ返している。
その無防備で欲情した表情が、俺の中のサディスティックな支配欲と、女としての被虐的な快感を同時に刺激した。
俺はたまらずベッドに崩れ込むように腰を下ろし、シーツの上に身を投げ出した。
「ふふっ、いいぜ、結衣ちゃん。今日は朝までたっぷり、お前の体の隅々まで『俺』が可愛がってやるよ」
誰にも邪魔されないホテルの密室で、俺は女子大生の柔らかな肌の感触と、次々と押し寄せる未知の快感に溺れながら、甘く淫らな夜の底へと堕ちていった――。

88991723 No.4275

ベッドの柔らかいシーツに、スレンダーな背中を深く沈み込ませる。
天井のぼんやりとした明かりを見つめながら、俺は熱を帯びた息を大きく吐き出した。
「はぁっ……んっ……」
口から無意識に漏れた吐息が、すでに甘ったるい響きを帯びている。
(おいおい、まだ本格的に触ってもいないのに……どんだけ感じやすい体なんだよ、結衣ちゃんは)
俺は、左手を淡い水色のブラジャーの縁へと滑り込ませた。
薄いレースを押し除け、直接、手のひらにすっぽり収まる膨らみを鷲掴みにする。
「あ、あっ……んんっ!」
指先で、すでに硬く尖り始めている乳首をそっと摘まみ、コリコリと転がすように刺激してみた。
「ひゃあっ!?……く、これ……やばい……っ」
左手から伝わる快感が、背髄を突き抜けて脳天を直接揺さぶってくる。
ただ胸の先を弄っているだけだというのに、下腹部の奥がきゅんきゅんと激しく疼き、熱いものが滲み出してくるのがはっきりと分かった。
(くそっ、男の時の快感とは、まるで別物だ。頭が、真っ白に溶けそうだ)
俺はたまらず、右手をショーツのクロッチ部分――股間へと這わせた。
「んぁっ……あ、はぁっ……」
薄い布越しに触れただけで分かる。
すでに彼女の――いや、今の『俺』のそこは、自分の放つ熱と快感でたっぷりと蜜を吐き出し、ぐっしょりと濡れそぼっていた。
「ふふっ……清楚な顔して、こんなに濡らして、ほんと、エロい体だな」
怪盗としての、男としての優越感を保とうと、わざと意地悪な口調で呟いてみる。
だが、俺の口から紡がれる声はどうしようもなく甘く、快感に震えていた。
俺は右手の指先で、ショーツ越しに一番敏感な場所を探り当て、ゆっくりと擦り上げた。
「あっ! あぁっ! い、いいっ……それ、すごい……っ!」
ビクンッ、と華奢な体が大きく跳ねる。
「あ、んっ! はあっ、はあっ……だめ、これ、気持ちよすぎ……っ!」
左手で乳首を小刻みに弾き、引っ張りながら、右手で股間を執拗に責め立てる。
上下から同時に押し寄せる波のような快感に、俺の理性の防波堤はあっさりと決壊しかかっていた。
「もっと……っ、もっとぉっ……ああっ!」
自分の体なのに、自分じゃコントロールが効かない。
ただひたすらに、もっと強い刺激を求めて両手が勝手に動きを早めてしまう。
可憐な女子大生の可愛い喘ぎ声が、ホテルの密室に淫らに響き渡る。
「んっ、あ、あぁぁっ!……すげえ、女のオナニーって、こんなに……こんなに気持ちいいのかよ……っ!」
快感の波が、どんどん高く、激しくなっていくのが分かる。
腹の底から突き上げるような熱いしびれが、限界点に向かって急速に膨れ上がっていく。
「ああっ、くるっ、い、いくっ……!」
(このままじゃ、俺……この結衣の体で、完全にイッちまう!)
「あ、あっ、あぁぁぁーーっ!」
抗うことなどできるはずもなく、俺はシーツを強く握りしめながら、ひときわ甘く高い嬌声を上げて、大きく身をよじらせた。

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一度目の絶頂の余韻が冷めやらないまま、俺は荒い息を吐きながらベッドに横たわっていた。
「はぁっ……はぁっ……嘘だろ……」
一度イッたはずなのに、体の奥底にある熱は全く収まる気配がない。
それどころか、まだ足りないとばかりにもっと強い刺激を求めて疼き続けている。
女の体の底知れなさに、俺は戦慄すら覚えた。
俺はショーツをずらし、直接その奥へと指を滑り込ませた。
「んっ……あ、あっ……」
そして、探り当てるように指先を進め……体の奥深くにある、ひときわ敏感な場所を、ぐっと押し上げるように刺激した。
「ひゃあっ!!? あ、あ、あああっ!」
先ほどとは比べ物にならない、脳天を直接ぶち抜かれるような強烈な快感が全身を跳ねさせた。
「あ、い、いいっ! そこ、すごいっ!」
最初は漏れるような可愛らしい喘ぎ声だった。
だが、指を動かすたびに押し寄せる快感の濁流に、もはや声を抑えることなどできない。
「あっ、あぁっ! も、もっとっ! あぁぁぁっ!」
自分でも信じられないほど大きな、そして淫らな嬌声が部屋に響き渡る。
ホテルで良かった、壁が薄ければ完全に外に筒抜けだっただろう。
だが、今の俺にそんなことを気にする余裕など微塵も残されていなかった。
「だめっ、また、くるっ! あ、ああっ、あぁぁぁぁーーっ!!」
弓なりに体を反らせ、俺は二度目の、そして先ほどよりも遥かに強烈な絶頂を迎え、シーツの上に力なく崩れ落ちた。



「ふぅ……」
熱いシャワーを頭から浴びながら、俺は大きく息を吐き出した。
浴室の鏡に映る結衣の体はまだほんのりと上気しているが、先ほどまでの異常なまでの発情は、シャワーの湯と共にすっかり流れ落ちていた。
「危ないところだった。女の体の快感に、本気で呑み込まれるところだったぜ」
怪盗クロウとしての冷徹な思考が、ようやく頭の中に戻ってくる。
ボディソープで華奢な体を洗いながら、俺は今後の算段を立て始めた。
(極秘ファイルは手に入れた。だが、警察は今頃、血眼になって俺を……いや、姿を消した『佐藤』を探しているはずだ)
そして、この橘結衣という体についても考えなければならない。
(この子には家族もいれば、大学の友人もいるだろう。無断外泊でもしようものなら、すぐに捜索願が出されるかもしれない。それに、駅の防犯カメラにこの姿がバッチリ映っている可能性も高い)
今は安全な隠れ蓑だが、時間が経てば経つほど、この女子大生の姿は目立ちすぎるリスクに変わる。いくらモデル体型で着心地が良くても、いつまでも長居はできない。
「惜しいけどな。この結衣の体でいられるのも、ここらが限界だろう」
俺はシャワーを止め、バスタオルで濡れた髪と体を素早く拭き上げた。
(夜が明けたら、ここを出る。そして、誰にも怪しまれない『次の隠れ蓑』を探さなきゃな……)
まだほんのりと女の快感の記憶が残る体をバスタオルで包みながら、鏡に映る怪盗の瞳には再び、獲物を狙う鋭い光が宿っていた。

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ホテルの備え付けのガウンを羽織り、ベッドの端に腰掛ける。
(さて、どう動くか……)
俺が持つ『禁断の能力』は、一度別の姿に変身してしまうと、前の姿をストックしておくことはできない。
つまり、結衣の姿を捨てて別の姿になるためには、必ず「新しいターゲット」に直接触れ、その場で姿を奪う必要があるのだ。
(とはいえ、この結衣の姿でホテルの外に出るのはリスクが高すぎる。警察の検問がまだ続いているかもしれないし、万が一、結衣の知り合いにでも遭遇したら目も当てられない。動くとしたら、人目の少ない深夜か?)
だが、深夜に出歩く若い女というのも、それはそれでパトロール中の警官から職務質問を受ける格好の的だ。
八方塞がりの状況に、俺は苛立たしく舌打ちをした。
コン、コン。
唐突に、部屋のドアがノックされた。
ビクッとして、俺の体が強張る。
(警察か!? いや、それにしてはノックの音が控えめすぎる)
息を殺し、足音を忍ばせてドアへと近づく。
ゆっくりとドアスコープから外を覗き込んだ。
そこに立っていたのは、制服姿の警官ではなかった。
20代後半くらいだろうか。少しラフな部屋着姿で、髪を軽くまとめた女性だった。
手ぶらで、警察官やホテルの従業員にはとても見えない。
おそらく、隣か向かいの部屋の宿泊客だろう。
(一般客? いったい何の用だ?)
少し迷ったが、居留守を使って騒ぎにされても困る。
俺はチェーンをかけたまま、ガチャリと少しだけドアを開けた。
「……はい? なんでしょうか?」
結衣の可憐な声で、少し不安げに問いかける。
ドアの隙間からこちらを見た女性は、少し気まずそうな、それでいて呆れたような表情を浮かべていた。
「あ、あの……突然ごめんなさい。私、隣の部屋に泊まっている者なんですけど」
「隣の……? は、はい」
「あのね、ちょっと言いにくいんだけど……さっき、その、すっごい声が聞こえてきて……」
「えっ……?」
女性の言葉に、俺は思考が数秒フリーズした。
「壁が薄いのか分からないけど、まる聞こえだったのよ。だから……これからの時間、少し気をつけてくれませんか? こっちもちょっと、休まらなくて……」
(――――っ!!)
顔から火が出るかと思った。
さっきの、限界突破して声を張り上げてしまったオナニーの喘ぎ声が、隣の部屋に筒抜けだったのだ。
「あ、あわわっ! す、すみません! ごめんなさい!!」
俺は真っ赤になった顔を手で覆い、女子大生としての恥じらいを全開にして平謝りした。
演技半分、マジの羞恥心半分だ。

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「えっと、その、彼氏と、電話で……その、変なことになって……ほんとに、ほんとにごめんなさい! もう絶対に静かにしますから!」
しどろもどろに言い訳をする結衣(俺)の姿を見て、女性も少し毒気を抜かれたようだった。
「あー……うん、まあ、若いから色々とあるんでしょうけど。一人で泊まってるのよね? ほどほどにしときなさいよ」
「は、はい……申し訳ありません……」
女性がため息をつき、自室へ戻ろうと踵を返しかけた、その瞬間。
俺の脳内に、悪魔的な閃きが走った。
(待てよ? こいつ、隣の部屋の客。年齢は20代後半、身なりもごく普通の一般人だ)
深夜に危険を冒して外へ出なくても、ここに「完璧な次の隠れ蓑」がいるじゃないか。
(この女の姿を奪えば、結衣の姿(リスク)をこの部屋に置き去りにできる。しかも隣の部屋の鍵さえ奪えば、朝までゆっくり休めるし、明日の朝、何食わぬ顔でチェックアウトできる!)
クレームを言いに来た隣人を罠にかけるなど、怪盗の美学からは少し外れるかもしれないが、背に腹は代えられない。
「あ、あのっ! お姉さん!」
俺はドアの隙間から、立ち去ろうとする女性に慌てて声をかけた。
「ん? なに?」
「あの、本当にご迷惑をおかけしたので……お詫びと言ってはなんですが、これ、もらっていただけませんか?」
俺はドアのチェーンを外し、ガウンの胸元を少しはだけさせたまま、女性に向かって一歩、廊下へと足を踏み出した。
(さあ、もう少しだ。あと一歩近づいてくれれば、俺の手が届く――)
可憐で無害な女子大生の仮面の下で、俺は獲物を狙う蜘蛛のように、甘い罠を張り巡らせていた。

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「これ……実家から送られてきた地元の銘菓なんですけど、すごく美味しいんですよ。もしよかったら、お詫びに……」
俺は架空の『地元の銘菓』を渡すフリをして、手元をモゾモゾと探る素振りを見せた。
「え、いいのよ、そんなの。別に怒ってるわけじゃ……」
「いえ、本当に恥ずかしくて、申し訳なくて……あっ、あれ? バッグの中に入れたはずなのに」
俺はわざと困ったように眉を下げ、ウルウルとした上目遣いで女性を見つめる。
「もしかしたら、ベッドのほうに置きっぱなしにしちゃったかも。お姉さん、ほんの少しだけ待っててもらえませんか? すぐ持ってくるので!」
「えっ? あ、うん……」
「あ、でも廊下で立たせておくのも申し訳ないから……よかったら、お姉さんの部屋で待っててもいいですか? すぐ戻ってくるので!」
「え? 私の部屋で?」
「はい! 私、恥ずかしすぎて、これ以上廊下にいると死んじゃいそうで……お願いします!」
少し強引ではあったが、泣きそうな女子大生の勢いに押され、女性は戸惑いながらも自分の部屋のドアを開けた。
「ま、まあ……いいけど。散らかってるからね」
「ありがとうございます!」
女性が先に部屋に入った瞬間――俺は背後から音もなく忍び寄り、その首筋に手刀を振り下ろした。
「え……?」
女性はくぐもった声を漏らし、そのまま糸が切れたように崩れ落ちた。
俺は咄嗟に体を支え、音を立てないようにベッドへと寝かせる。
「悪いな。お詫びの品はないけど、その体、しばらく借りるぜ」
俺は気絶した彼女の頬に手を触れ、能力を発動させた。
再び全身を包む熱。骨格が組み替わり、筋肉のつき方が変わっていく。
(……ほう)
変化が完了し、俺は自分の体をまじまじと見下ろした。
結衣のガウンは少し丈が短くなり、胸元が窮屈に感じられた。
どうやら、この女性は結衣よりも身長が少し高く、そして……全体的に肉付きが良いようだ。
俺は邪魔になったガウンを脱ぎ捨て、全裸のまま部屋の全身鏡の前に立った。
そこに映っていたのは、結衣の『モデル体型』とは全く違う、大人の女の魅力に溢れた『わがままボディ』だった。
「なるほど。こいつは当たりだな」
20代後半ならではの、少しだけ重力に逆らいきれなくなった、柔らかく豊かなバスト。
結衣のようにツンと上を向いているわけではないが、その分、手のひらからこぼれ落ちそうなほどのボリュームと重量感がある。
俺は両手でその豊かな双丘を下から持ち上げるように揉みしだいた。
「んっ……」
それだけで、甘い吐息が漏れる。
指先が乳首を掠めると、ビクッと体が跳ね、下腹部に熱が灯るのがわかった。
「感度も悪くない。むしろ、結衣とは違う、もっと成熟した快感がありそうだ」
続いて、ふくよかなヒップラインに手を這わせる。
結衣の小ぶりなお尻とは違い、肉厚で、指が沈み込むような極上の柔らかさだ。
撫でるだけでも、ゾクゾクとするような快感が腰のあたりに広がっていく。
(じっくり堪能したいところだが、今はまだその時じゃない)
俺は押し寄せる女の快感を強引に抑え込み、鏡から視線を外した。
「まずは、結衣の部屋に置きっぱなしにしてある極秘ファイルと、佐藤の制服たちを回収しなきゃな」
俺は部屋の隅に置かれていた女性の旅行用ボストンバッグを開けた。
中には、明日の着替えらしき服が何着か入っている。
「よし、これにするか」
俺は、落ち着いたネイビーのスキニーデニムと、少しゆったりとした白いVネックのサマーニットを選んだ。
下着は、彼女が予備として持ってきていた、少し大人びた黒のレースのものを身に着ける。
(ふむ、少し胸元がキツい気もするが……まあ、悪くない)
着替えを終え、大人の女性らしい落ち着いた装いになった俺は、女性の部屋のカードキーをポケットに突っ込み、自分の(結衣の)部屋へと向かうためにそっとドアを開けた。

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廊下に人の気配がないことを確認し、俺は音もなく自分の部屋――先ほどまで『橘結衣』として過ごしていた部屋のドアを開けた。
中は、数分前まで俺が情欲に身を浸していた空間そのものだった。
ベッドの上には乱れたシーツが残り、かすかに甘い香水の香りが漂っている。
「さて、忘れ物を取りに戻ったってわけだ」
俺はベッドの脇に放置していたバッグを手に取り、中身を確認する。
警察から盗み出した『極秘ファイル』。そして、その下に押し込んであった佐藤の制服と下着。
それらがしっかりと収まっていることを確認し、ボストンバッグのジッパーをしっかりと閉めた。
もし、この部屋の掃除や点検が入れば、ここに残された証拠から大騒動になるだろう。
しかし、俺がこの姿のままこの部屋に戻ってくることはもうない。
すべて回収した今、この部屋はただの「過去の隠れ家」だ。
「よし、完璧だ」
俺はボストンバッグをしっかりと抱え、自分の部屋のドアを静かに閉めた。
そのまま廊下を数歩歩き、隣の部屋――今や俺の新しい拠点となっている女性の部屋へと戻る。
カードキーをかざし、カチャリと音を立てて中に滑り込んだ。
オートロックが閉まるのを確認し、ふうっと息をつく。
「さてと……。新しい体を完全に我が物にするために、まずはこの女のプロフィールを確認しておくとしようか」
俺はベッドに腰掛け、女性のハンドバッグから財布や身分証明書を取り出した。
免許証の表面に視線を落とす。
(名前は……桐島 葵。年齢は28歳か)
住所の欄には、都内のマンション名が記されている。
職業についての直接的な記載はないが、名刺入れには大手IT企業のマーケティング部という肩書が並んでいた。
(桐島葵、か……。バリバリのキャリアウーマンってわけだ。どうりで、ただの一般客にしてはやけに肝が据わっていると思ったぜ)
財布の中身には、十分に余裕のあるクレジットカードの数々と、それなりの額の現金が入っている。これなら、当面の生活費や移動費に困ることはなさそうだった。
俺は免許証の顔写真と、室内の全身鏡に映る自分の姿を交互に見比べる。
すっきりとまとめた髪型、少し大人びた落ち着いた目元、そして先ほど確認した豊満な「わがままボディ」。
(結衣の清楚な女子大生スタイルも悪くなかったが、この葵の成熟した大人の色気も捨てがたい。警察の追っ手から逃れるための『カモフラージュ』としては、こっちの方がより自然に街に溶け込めるな)
極秘ファイルを手に入れ、さらに完璧な新しい身分と肉体までを手に入れた。
すべては計画通り、いや、それ以上の好転だ。
俺はボストンバッグの奥底に極秘ファイルを隠し直すと、ネイビーのスキニーデニムの上から、心地よい疲労感を覚える自分の豊かなヒップを軽く撫でた。
「さて、明日からは大人の女性『桐島葵』として、この街を優雅に歩かせてもらうとしようか……」
窓の外に広がる深夜の街の明かりを見下ろしながら、怪盗クロウは不敵で美しい笑みを浮かべた。

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ベッドの横の床には、気絶したままの『本物の桐島葵』が無防備に横たわっている。
俺――いや、今の桐島葵は、シャワーを浴びてさっぱりした体に適当な部屋着を纏い、ホテルのベッドに腰掛けてコーヒーをすすっていた。
(ふう、やれやれ。これで一段落、明日の朝のチェックアウトまでゆっくり休めるとするか……)
そう思った矢先だった。
コン、コン、コン。
規則正しい、しかし逃げ場のない硬質なノックの音が部屋に響いた。
(……っ!?)
瞬間、背筋に冷たいものが走る。
心臓がドクリと大きな音を立てた。
ドアスコープから外を覗くと、そこには制服姿の警察官が数名、険しい顔で立っていた。
(くそっ! まだこのフロアをしらみつぶしに捜索しているのか!?)
一瞬、居留守を使おうかという考えが頭をよぎる。
しかし、ホテルの一室で電気がついていながら出ないのは、かえって不自然すぎる。
それに、隣の部屋(結衣の部屋)で騒動を起こした直後だ。
ここで怪しまれたら、一巻の終わりだった。
(落ち着け。今の俺は、指名手配されている怪盗クロウでも、追われている女子大生でもない。しがない会社員の桐島葵だ。化けの皮が剥がれるわけがない)
俺は冷や汗をぐっと飲み込み、顔の表情筋を「迷惑そうな一般客」のそれに整えた。
深呼吸を一つし、ゆっくりとドアの鍵を開けて、チェーンをかけたまま少しだけ扉を開ける。
「……はい、どちら様ですか?」
少し不機嫌そうな、しかし怯えてはいない大人の女性の声色で問いかける。
ドアの前に立っていた若い警官は、俺の顔を見るなり、少し表情を和らげつつも、真剣なトーンで切り出した。
「夜分遅くに申し訳ありません。警察の者です。実は、このホテルの同じフロアにお泊まりの方にお尋ねなんですが」
「警察……? あの、何かあったんですか?」
「ええ、実はですね……この隣の部屋に宿泊されている若い女性――橘結衣さんという方なんですけど、ご存知ありませんか?」
(っ! 結衣の名前が出た……!)
心臓が跳ね上がったが、表情には微塵も出さない。俺は少し怪訝そうな顔を作って首を横に振った。

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「結衣さん……? いえ、私は知りませんけど。隣の方ですか?」
「はい。実は、その方を探していまして……。先ほど、彼女が利用していた部屋を確認したんですが、本人が見当たらなくてですね。ただ、その……部屋の状況からして、何者かに連れ去られたか、あるいは自分で姿を消した可能性があるんです」
警官の言葉に、俺は内心で冷や汗をかきながらも、頭をフル回転させる。
(なるほど。警察は、結衣が「何者かに連れ去られた」か「自ら逃げた」と踏んでいるわけか。俺がトイレで気絶させて、バッグに服を詰めて逃げたことまではまだバレていないらしい)
「はあ……そんなことがあったんですか。知りませんでしたけど、物音とかは特に……あ、でも、さっきまで隣から変な声が聞こえてうるさかったくらいですけど……」
俺がそう言うと、警官は少し気まずそうな顔をした。
「あ、その件についても、他の部屋の方から苦情が入りまして……。もしかしたら、その行方不明になっている橘さんに関係があるかもしれないと、このフロアの宿泊者の方々にお話を伺っているところなんです」
警官はそう言うと、鋭い視線を少しだけ俺の部屋の奥へと向けた。
ベッドの横の床には、気絶した本物の葵が転がっている。もしこの隙に踏み込まれたら、一発でゲームオーバーだ。
俺は自然な動きでドアの隙間を少し塞ぎ、大人の女性らしい呆れたようなため息をついた。
「そうですか……。大変なんですね。でも、私は夜遅くで寝ていたところですし、これ以上はちょっと……協力できませんけど」
「あ、いえ、ご協力ありがとうございます。もし、その橘結衣さんらしき人物を見かけたり、何かご存じのことがあれば、すぐにフロントか私たちに通報してください」
「はい、わかりました。お疲れ様です」
ガチャリ。
警官が頭を下げたのを確認し、俺は静かにドアを閉め、そして素早くチェーンをかけた。
背中を伝う冷たい汗を拭いながら、俺はふうっと長いため息をつく。
(危なかった……。一歩間違えれば、あの警官たちに本物の葵の姿を見つかるところだった)
警察は今、「消えた女子大生(結衣)」を探している。
だが、その結衣の姿をした怪盗クロウは、今や全く別の人間――「桐島葵」として、彼らの目の前で悠然と息をしているのだ。
(これぞ、完全犯罪ってやつだな)
俺はベッドに戻り、冷めかけたコーヒーを一口飲むと、再び不敵な笑みを浮かべた。
追う者たちの鼻先を華麗にすり抜けながら、俺は明日からの新しい生活に思いを馳せるのだった。

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部屋に警官が来たことで、このホテルも絶対の安全圏ではないと痛感した。
とはいえ、明日の朝までここで息を潜めるのがベストな選択だ。
本物の葵を気絶させたまま連れ歩くわけにもいかないし、無闇に動けば警戒網に引っかかる。
だが、一つだけ、今すぐ済ませておかなければならないことがあった。
『極秘ファイル』の処理だ。
(こんな危ない代物、いつまでも手元に置いておくわけにはいかない。早急に手放して、金に換える算段をつけなきゃな)
俺はベッドに置いたボストンバッグを開け、中から分厚い極秘ファイルを取り出した。
あらかじめ用意してあった、中身の透けない厚手のレターパックにファイルを滑り込ませる。宛先は、俺が昔から情報提供の取引に使っている、裏社会にも顔が利くゴシップ雑誌のフリー記者だ。
「よし、これをポストにぶち込めば、この厄介な荷物ともおさらばだ」
俺は結衣の姿の時に買っておいたレターパックを大きめのトートバッグに隠し、部屋の鍵(カードキー)をポケットに入れた。
気絶している本物の葵を一瞥し、目覚める気配がないことを確認してから、俺は静かに部屋を出た。
深夜2時過ぎ。
ホテルの廊下は静まり返っており、先ほどの警官たちの姿もすでになかった。
エレベーターで一階に降り、ロビーを足早に通り抜けて外へ出る。
深夜の冷たい風が、薄手のカーディガン越しに桐島葵の豊かな体を撫でた。
目的地は、ホテルから歩いて5分ほどの場所にある、大きなポストが設置されている24時間営業のコンビニエンスストアだ。
歩道を歩きながら、俺は警戒を怠らず周囲に目を配る。
時折、パトカーのサイレンが遠くで鳴り響き、街全体がまだ薄気味悪い緊張感に包まれているのがわかる。
(警察はまだ『結衣』の姿を探しているはずだ。この『桐島葵』の姿なら、職務質問されるリスクは極めて低いが……油断は禁物だ)
やがて、コンビニの煌々とした明かりが見えてきた。
店の前にある赤いポストに近づき、周囲に人がいないことを確認して、トートバッグからレターパックを取り出す。
コトン。
重い音を立てて、国家の機密がポストの底へと落ちていった。
これで、俺が怪盗クロウとして警察署に侵入した最大の目的は達成された。
あとは、ほとぼりが冷めるまでこの葵の姿でやり過ごすだけだ。

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だが、その「やり過ごす」という言葉が、俺の心の中に小さな波紋を広げた。
(この葵の体、確かに極上だが、いつまでも借りておくわけにはいかないよな)
ホテルに置き去りにしている本物の葵が目覚めれば、すぐに警察を呼ばれる。
そうすれば、今度は『桐島葵』が手配の対象になる。
俺が自由に行動し続けるためには、常に「次の隠れ蓑」を用意しておかなければならない。
俺はポストから離れ、コンビニの中へと足を踏み入れた。
深夜のコンビニは、人もまばらだ。店員はレジの奥で退屈そうに品出しをしている。
缶コーヒーでも買おうとドリンクコーナーへ向かいながら、俺の視線は自然と、店内にいる数少ない『女性客』たちへと向けられていた。
(さて、次はどんな体がいいかな……?)
雑誌コーナーで立ち読みをしている、金髪ショートヘアのギャル風の女。
少し派手だが、夜の街に紛れるにはちょうどいいかもしれない。
スイーツの棚をじっと見つめている、メガネをかけた地味めなスーツ姿のOL。
目立たないという点では、隠れ蓑として完璧だ。
あるいは、レジでおでんを頼んでいる、少しふくよかな中年女性。
あそこまで年齢が離れれば、誰も怪盗クロウの変装だとは疑うまい。
(いや、どれもピンとこないな)
様々な女性の体つきや雰囲気を値踏みしながら、俺は怪盗としての冷静な計算と、男としての純粋な好みを交差させていた。
結衣のモデル体型も、葵のわがままボディも、それぞれに極上の『着心地』と快感があった。一度その味を知ってしまうと、ただ隠れるためだけの妥協した体には、どうにも食指が動かない。
「……贅沢な悩みだな」
俺は自嘲気味に笑い、無難にブラックの缶コーヒーを手に取った。
レジで会計を済ませ、店を出る。
(まあいい。葵の体でいられる時間はまだ少しある。
明日の朝、ホテルを出るまでに、ゆっくりと「極上のターゲット」を探すとしよう)
缶コーヒーの温もりを手のひらに感じながら、俺は再び深夜の闇の中を、ホテルへと歩き出した。
桐島葵としての、静かで、そしてスリリングな夜は、まだ終わらない。



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