[ futaba / tachiha / aiba / honba / aoba ] [ main / recent post ]

/tachiha/ - たちは板κ

リレー小説用
Name
Options
Subject
Comment
File
Password (For file deletion.)

File: 1785626351595.webp (932.3 KB, 768x1280, 98ba.webp)

524beb62 No.4014

524beb62 No.4015

「〜〜♪」
カラオケボックスの重い扉を振動させる大音量。
デンモクを握りしめた俺——いや、今の俺は、絶妙なカールがかかったボブカットを揺らすピチピチの女子高校生、本田詩織だ。
画面に映る歌詞に合わせて声を張れば、喉からは自分でも少し耳痒くなるような、可憐で高めの歌声が飛び出す。
「詩織、まじ歌うまくなってない!? てかその曲、最近リリースされたやつじゃん!」
「やば〜い! 詩織めっちゃ乗ってる〜〜!」
タンバリンをシャカシャカ鳴らしながら盛り上がってくれるのは、詩織のクラスメイトである女子二人組。
俺はマイクを片手に、ウインクひとつ飛ばしてみせる。
「ふふん、昨日めっちゃ練習したからね〜! 次の曲、誰入れる?」
完璧だ。
鏡を見なくてもわかる。今の俺はどこからどう見ても、仕草から声のトーン、さらには「どの歌が好きか」という細かい記憶に至るまで、100%本田詩織そのものだった。


思い返せば、今日の仕事の始まりは早朝の公園だった。
薄暗い女子トイレの前。
約束の時間の五分前、サングラスをかけて周囲をビクビクと警戒していた本物の詩織が、俺を見つけて息を呑んだ。
『あ、あなたが……なりすまし屋さん……?』
『そうだよ、詩織ちゃん。本当に大丈夫だから、落ち着いて』
あらかじめ別の女の子の姿に変身していた俺は、優しく微笑んで見せた。
彼女の依頼理由はシンプル。「大好きな彼氏と日帰り旅行に行きたいけれど、親や友達の目が厳しくてアリバイが欲しい」というもの。
数ある依頼の中から俺がこれを選んだのは、単純に日程が合ったことと、『女子高生として放課後カラオケを楽しむ』というのがなかなか面白そうだったからだ。
お金をもらえて、放課後もエンジョイできる。一石二鳥にも程がある。
『じゃあ……お願い、します……っ』
詩織ちゃんが覚悟を決めて目を閉じる。
俺は彼女の細い肩を引き寄せ、唇を重ねた——ディープキス。
(粘膜と粘膜の接触により、完全擬態発動。さらに自分の粘膜同士を接触させ、記憶のコピー完了)
脳内に一気に流れ込む、詩織ちゃんの記憶。
友人関係、カラオケで歌う曲のリスト、彼氏への甘い想い、そして制服の畳み方に至るまで。
直後、個室トイレで二人で服を脱ぎ交わした。
制服どころか、今俺が身につけている下着のサイズや肌触りまで、すべて彼女から直接借り受けた本物だ。
『じゃ、行ってくるね! 本当にありがとう!』
私服に着替え、サングラスをかけ直した本物の詩織ちゃんは、彼氏の待つ駅へと疾走していった。そして俺は、彼女になり代わって登校し、無事に学校生活をクリア。
——で、今に至るというわけだ。
女子高生のカラオケは戦場(と癒やし)である
「ねえ詩織〜、ドリンクおかわり行ってこようよ!」
「あ、行く行く! パフェも頼んじゃおうかな〜」
カラオケの薄暗い室内。
ポテトをつまみながら、女子特有の甲高い声で盛り上がる。
(いや〜なりすまし屋のバイト、最高だな)
体型も声も完全に詩織ちゃんだから、自分の本来の性別なんて完全に忘れてしまいそうだ。
下着のフィット感にもすっかり慣れてしまった。
記憶をコピーしているおかげで、二人が振ってくる「この前のテストさ〜」なんてローカルネタにも完璧に追従できる。
「詩織ってさ、最近なんか可愛くなったよね? 恋でもしてんの〜?」
「えっ、な、なんでよ〜! してないし!」
わざとらしく頬を赤らめて見せると、二人は「怪しい〜〜!」と大爆笑。
完璧なアリバイ作り。
依頼人の詩織ちゃんは今頃、彼氏と最高の時間を過ごしているだろう。
そして俺は、彼女の友達と最高に楽しい放課後を過ごし、後でしっかり報酬をもらう。
「よしっ、次はみんなでアニソン歌うよ〜! 予約入れちゃうね!」
デンモクを操作しながら、俺は心の中でフフッと笑った。
なりすまし屋キヨヒコ、今日の任務も大成功——まだまだカラオケの時間は終わらない!

60496429 No.4018

「ねえねえ、次これやろうよ! ポッキーゲーム!」
「きゃー! やばっ、マジで言ってる!?」
テーブルの上にバンッと置かれたのは、極細タイプのポッキー。
友達の一人がイタズラっぽく目を輝かせ、俺——いや、詩織の顔前に箱を突きつけてくる。
(うおっ!距離近ッ!? 女子高生のノリってこんな密着度高めなの!?)
「ほら詩織! 最初はウチと詩織ね! 負けた方が彼氏のノリで胸キュンセリフね!」
「えっ、ちょっと待ってよ〜! なんで私からなの〜!?」
嫌がるフリをして声を高く張るものの、身体は一瞬で距離を詰められる。
ふわりと鼻をくすぐる、友達のシャンプーの甘い匂い。膝と膝がぴったりくっついていて、吐息がかかる距離だ。
(やばい、心の準備が! 体は完全に詩織ちゃんだから違和感ないはずだけど、元が野郎の俺としてはこのゼロ距離は心臓に悪いって!)
「はい、くわえてくわえて! カウント行くよ〜、3、2、1……すたーと!」
「んぐ……っ!」
ポリッ、ポリッ、と音を立てて互いにポッキーを縮めていく。
どんどん近づいてくる友達の顔。
長いまつ毛までハッキリ見える。
(うわ近っ! これ、どこまで攻めるのが女子高生として正解なんだ!? 記憶の中の詩織ちゃんなら……ここはノリよくギリギリまで攻めるタイプ!)
サクッ、と最後の数ミリ。
唇が触れるか触れないかの超至近距離で、俺はわざと「きゃーっ!」と叫んでポッキーを噛みちぎった。
「あははは! 詩織の負け〜〜! 唇触れたじゃん!」
「触れてないってば〜! ギリギリセーフだよ〜!」
「ダ〜メ、負けは負け! ほら、罰ゲーム! 最近の彼氏とのキュンとした話、話すこと!」
一気にヒートアップする室内の空気。二人が両側から俺の腕に絡みついてきて、左右から抱きつかれるような形になる。
柔らかい感触と体温がダイレクトに伝わってきて、頭がどうにかなりそうだ。
(ぐわあああ! 左右からの挟み撃ち!? 女子同士のスキンシップ、遠慮なさすぎるだろ! 嬉しい悲鳴だけど、なりすまし屋の理性が試されている!)
「ほらほら〜! 詩織ってば彼氏とどこまで行ったの〜? こないだのデートでなんかあったでしょ!」
「な、なに言ってるのよ〜! 別にフツーだよ、フツー!」
「嘘だ〜! ほら、顔赤くなってる! 吐け〜! 吐くんだ〜!」
キャッキャと体を揺すられ、俺は詩織ちゃんの記憶を高速で検索する。
彼氏との甘い思い出、手を繋いだ時の感覚、車内で囁かれたセリフ。
(よし、詩織ちゃんの記憶から一番甘酸っぱいやつをピックアップして、ちょっと盛って話してやるか!)
「もー、分かったわよ! 話せばいいんでしょ、話せば!」
俺はわざとらしく溜め息をつき、髪を耳にかけながら、恥ずかしそうに視線を落としてみせた。
「あのね……こないだ二人で帰ってる時、急に手引っ張られてさ……『お前のこと、友達に見せるの勿体ないくらい可愛い』って……耳元で言われたの……っ」
「ギャーーーーーッ!!」
「やばい! 激甘すぎる!! 身悶える!!」
カラオケルームに響き渡る女子たちの悲鳴。二人はクッションを抱えてバタバタと悶絶している。
(ふふん、完璧な演技だろ。詩織ちゃんの彼氏、なかなかクサいセリフ吐く奴で助かったぜ)
「詩織最高〜〜! もう一回ポッキーゲームやろ! 次はもっと攻めるからね!」
「ちょっと〜! もう勘弁してよ〜!」
ワイワイと盛り上がる室内で、俺はジュースのストローをすいながら、心の中で大きく息を吐く。
(女子高生の放課後、想像以上にハードで、想像以上に刺激的だ!)

56d9e6a3 No.4023

「詩織〜! こっちこっち! このアニメTシャツ超可愛くない!?」
「あ、本当だ〜! それ、今めっちゃバズってるやつじゃん!」
カラオケボックスを後にした俺たちは、そのまま駅ビル内のユニクロへと向かった。
本物の詩織ちゃんとの合流時間までは、まだふたつの時間がたっぷり残っている。
ここで「じゃあね」と別れても良かったんだが……女子高生の放課後フルコースを最後まで満喫したくなった俺は、二人のショッピングに付き合うことにしたのだ。
店内をブラブラしながら、友達が目当てのキャラTシャツをあてがってキャッキャと盛り上がる。
(ふぅ、カラオケの超至近距離スキンシップを乗り越えた俺に、もう恐れるものはないぜ)
なんて余裕をぶっこいていた、その直後だった。
「あ、ちょっと下着も見ちゃお〜! 新しい色出てないかな」
「あ、いいね〜! 行こう行こう!」
二人に腕を引っ張られるまま足を踏み入れたのは——インナー・下着コーナー。
そこに広がっていたのは、シンプルだけどカラフルで洗練された、色とりどりのシームレスパンツやブラトップがずらりと並ぶ、まさに「よりどりみどり」の圧巻の光景だった。
(うおっ! ここ、男の身としては一番足を踏み入れちゃいけない聖域(サンクチュアリ)!)
一瞬、元・野郎としての本能が警報を鳴らして足がすくみかける。
だが、すぐに頭を振った。
(落ち着け自分! 今の俺はどこからどう見ても、可愛いボブカットの女子高生・本田詩織! パンツの棚の前に立っていても一切の不審感はない!……ない、はず!)
「ねえ詩織〜、このくすみピンク可愛くない? 詩織こういうの似合いそう!」
「えっ!? あ、あぁ〜……本当だ、絶妙な色味で可愛いね……?」
友達がフツーのテンションで、手に取ったショーツを俺の身体にあてがってくる。
(近っ! ていうか布地の質感を指先で確かめるな! 詩織ちゃんの体で感じちゃってるから、謎の背徳感がすごいのよ!)
「詩織ってさ、今日履いてる下着もシンプル系だっけ? 今日の制服、スカート短めだからライン出ないやつ重宝するよね〜」
「あ、うん! まさにシームレスのやつ履いてるよ! すごい動きやすくて重宝してるっていうか……あはは……」
(やばい、今まさに俺が身につけている詩織ちゃんから借りた下着のリアルな履き心地を思い出してしまった。フィット感抜群です、とは口が裂けても言えねぇ!)
「あー! このミントグリーンも捨てがたいなぁ! 3枚買うと安くなるし、詩織も1枚買わない? 色違いでおそろにしよーよ!」
「えっ、おそろ!? う、うん、いいね! じゃあ私、このネイビーにしようかな……!」
手に取ったのは、ツルツルとした手触りのシンプルなショーツ。
(待てよ……これ買ったら、今日のバイト代から引かれるのか? いや、詩織ちゃんへのお土産(?)としてプレゼントしてあげるのもアリか? って、俺が女子高生のパンツ選んで買おうとしてる構図、冷静に考えたら狂気すぎるだろ!)
「決まり〜! じゃあTシャツとパンツ持ってレジ行こ! 詩織、買い物終わったらタピオカ飲んで帰ろーね!」
「オッケー! レジ、あっちだね〜!」
カゴにカラフルなパンツを放り込み、レジへ向かう二人の後ろ姿を追いかける。
(なりすまし屋の仕事。カラオケだけじゃなくて、買い物までこんなに刺激的だとは聞いてないぞ! でもまあ、女子高生の日常を100%楽しむって意味じゃ、最高の体験だな!)
胸の鼓動をどうにか落ち着かせつつ、俺はカゴの中のネイビーのショーツをチラッと見て、心の中でフッと苦笑したのだった。

a1edbc59 No.4024

「じゃあね詩織〜! 今日超楽しかった! またカラオケ行こーね!」
「うん! また遊ぼうね〜、気をつけて帰ってね〜!」
二人と手を振り合い、駅前で別れた俺は、ずっしりと重いユニクロの紙袋を手に持ち直した。
中には、友達とお揃いで買ったネイビーのパンツが入っている。
夕暮れ時の街を抜け、朝と同じ公園へと足を向ける。
木々の隙間から見えたベンチには、すでに私服姿の詩織ちゃんが座っていた。
サングラスを外し、スマホをチラチラと気にしながら、どこかソワソワした様子だ。
「あ、詩織ちゃん」
「あっ……なりすまし屋さん! お帰りなさい!」
俺の姿——自分自身の姿を見つけると、彼女はほっと胸を撫でおろした。
「デート、楽しかった?」
「はい! もう、本当に最高でした! あの、学校の方は大丈夫でしたか……?」
「うん、全然問題なし。テスト範囲のノートも取っておいたし、放課後は友達二人とカラオケに行って、帰り際にユニクロで買い物してきたよ。変な疑いは一切持たれてないから安心して」
余計な雑談——例えばポッキーゲームで唇が急接近したことや、彼氏との甘いセリフを暴露してキャッキャと身悶えしていたことなどは、プロの配慮として綺麗サッパリ省いて報告する。
必要最小限の引き継ぎこそが「なりすまし屋」の流儀だ。
「よかったぁ! 本当にありがとうございます!」
詩織ちゃんは心底嬉しそうに微笑むと、バッグから封筒を取り出して俺に手渡した。
今日の報酬だ。
「それと、これ……お洋服です。公園のトイレで着替えてきますね」
二人で再び公衆トイレへと向かい、手早く着替えを済ませる。
俺は自分の本来の服装に戻り、詩織ちゃんも見慣れた制服姿へと戻った。
「あの、制服と一緒に……その、今朝お貸しした下着もお返ししますね」
「あ、それなんですけど……下着は返してもらわなくて大丈夫です! なんか……他人が履いたものって、ちょっと抵抗があって。よかったらそのまま処分するか、貰ってください」
「あ、そう? じゃあこっちで適切に処分しておきますね」
(まあ、そりゃそうだよな。一回誰かに履かれた下着なんて、女の子なら普通はいらないか)
ユニクロの紙袋の底に、朝履かせてもらったシームレスショーツをそっと収める。これで今日買った分と合わせて、手元には彼女のパンツと新品のパンツが揃ったことになる。
なんだこの状況。
「それじゃあ、私行きますね! 本当に助かりました、なりすまし屋さん!」
手を振って笑顔で走り去っていく詩織ちゃんの背中を、俺は見送った。
(ふぅ……今日も無事に仕事完了、と)
ポケットの中で報酬の封筒を確かめながら、俺はふと、去っていく彼女の姿を見て思ってしまった。
(それにしても……詩織ちゃんは俺のことを『なりすましの特殊能力を持った女の子』だと完全に思い込んでいるわけだけど……)
もし、彼女が知ったらどうなるだろう。
今日一日、自分の身代わりになって友達とカラオケで盛り上がり、ゼロ距離でポッキーゲームをし、恋バナで盛り上がり、下着コーナーでパンツを選び、そして今朝まで自分の制服と下着を完璧に着こなしていた「なりすまし屋」の正体が、男子大学生だったという事実を。
(うん、絶対言えないな。ショックで卒倒するどころじゃ済まないわ)
俺は苦笑いしながら頭をかき、夕闇が迫る公園を後にした。
さあ、手に入れた報酬で今夜は何を食べようか。
なりすまし屋の完璧な一日は、こうして幕を閉じたのだった。

0ec60f92 No.4209

次回は主人公 (男子大学生) 視点でのプロローグをお願いします。

2e67897c No.4226

「お客様、そちらのC70とD65、それからこちらのB75もお会計でよろしいでしょうか……?」
「あ、はい! あとそっちのA70も追加でお願いします!」
高級下着ショップのレジ前。
店員さんが「この綺麗なお姉さん、一体何者……?」と言いたげな、実に味わい深い眼差しを俺に注いでいる。
無理もない。
一回の買い物で、あからさまにカップもアンダーもバラバラな下着をまとめ買いしているのだから。

改めまして、俺はキヨヒコ。
どこにでもいるフツーの男子大学生——というのは世仮の姿。
俺には、ちょっと特殊すぎる能力がある。
相手の粘膜に触れると、その姿や声、体型を100%完全擬態できる。
さらに、自分の粘膜同士を接触させることで、相手の記憶までコピーできるという代物だ。
この能力を活かし、俺は裏で『なりすまし屋』として金を稼いでいる。
アリバイ作り、行きたくない集まりの代役、その他諸々。
完全無欠の変身術と記憶コピーのおかげで、依頼達成率は100%だ。
で、今の俺はというと——
(髪をサラッと耳にかける)
清楚なロングヘアに、上品なニットとロングスカート。どこからどう見ても『架空の女子大学に通う、文学部の清楚系美人お姉さん』だ。
今回は誰かの擬態ではなく、過去にストックしたパーツを組み合わせて作ったオリジナルの女子大生姿。
なぜこんな格好をして、休日の郊外アウトレットモールを歩き回っているのかというと……。
(前回の「本田詩織ちゃん依頼」を思い出す)
そう、前回の依頼で痛感したのだ。
依頼主から制服や服を借りるのはいい。
だが、下着の貸し借りは色々と問題が多すぎる!!
返されても困るし、かといって毎回新品を依頼主に買わせるのも不躾だ。
ならばどうするか?
答えは簡単。
『なりすまし屋として、あらゆる体型に対応できる下着のバリエーションを自前でストックしておくこと』! これぞプロの業務改善である。

2e67897c No.4227

「よし、次はあっちのリーズナブル系のお店行ってみよう!」
鏡に映る文学部美人の姿で優雅に歩きながら、俺は次の獲物(下着)を求めてアウトレットモールを闊歩する。
まず一軒目は、海外のレースをふんだんに使った高級ランジェリーショップ。
一着で数万円もするような勝負下着エリアだ。
ここでは、大人っぽいお姉さん系やリッチな依頼主(あるいはターゲット)になりすます時のための高級ラインを確保。
そして二軒目は、ティーンに大人気のカラフルでリーズナブルなカジュアルショップ。
「いらっしゃいませ〜! 本日ブラショーツセットが3点で3,900円ですよ〜!」
明るい店員の声に誘われ、ワゴンの中に手を伸ばす。
(小柄な高校生用の70Aから、標準的な65C、ちょっと豊満なタイプの75Dまで。よし、このへんを網羅しておけば大抵の依頼には対応できるはず!)
真剣な目つきでサイズタグを確認し、カゴに次々とパンツとブラを放り込んでいく。
外見が「文学部の清楚系美人」だからこそ、周りの客も最初は「オシャレなお姉さんが買い物してるな」くらいにしか思わない。
しかし、レジに持って行った瞬間、ドラマが生まれる。
「あ、あの……お客様? こちら、サイズがかなりバラバラですが……お友達へのプレゼントでしょうか……?」
若い店員さんが、困惑と好奇心が混ざった目で見つめてくる。
「あ、ええ! そうなんです! サークルの後輩たちにサプライズでプレゼントしようと思って! みんなサイズが違ってて大変で〜!」
俺は速攻で「文学部美人の爽やかな微笑み」を浮かべ、完璧な女子トーンで嘘をついた。
「さ、サークルの後輩に下着のプレゼントですか!? す、すごい太っ腹な先輩ですね!」
(よし、押し通せた! さすが俺の完璧な演技力!)
会計を済ませ、紙袋を両手に下げて店を出る。
高級店のシックな紙袋と、ファストファッション店の可愛らしい紙袋が両手にずっしり。
中身はすべて、様々なサイズのブラとショーツだ。
(これでどんな体型の女の子になりすます依頼が来ても、即座に自前の下着で対応できるぞ)
ベンチに腰掛け、冷たいカフェラテを一口すいーっと飲む。
自分の姿は相変わらず、通りすがる男たちが思わず二度見していくレベルの文学部美人だ。
男子大学生としての俺なら絶対に入れない領域を堂々と制覇し、最高のコレクションを完成させた達成感が胸に広がる。
(さて、下着の準備も万全になったことだし、そろそろ次の『なりすまし』の依頼をチェックするか)
スマホを取り出し、裏の依頼用アドレスを開く。
完璧な準備を整えた俺に、次は一体どんな刺激的な日常が待っているのやら——
俺は怪しく口元をほころばせるのだった。

f858f6ee No.4230

File: 1788431993522.webp (1.07 MB, 768x1280, 56ea8.webp)




[Return][Go to top] Catalog [Post a Reply]
Delete Post [ ]
[ futaba / tachiha / aiba / honba / aoba ] [ main / recent post ]