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「本当に、効くんだな……これ」
放課後の男子トイレの個室。
僕は姿見用の小さなミラーをのぞき込み、息をのんだ。
そこに映っていたのは、冴えない男子高校生である僕――結城ソラの姿ではなかった。
桜色の髪飾りが良く映える栗色のツインテール、透き通るような肌、そして華奢で可憐な少女の姿。
試しに軽く足を上げてみると、男子だった頃の体が嘘のように柔らかく、まるで重力がないみたいにすっと上空へ伸びた。
目的はひとつ。
新体操部の絶対的エースであり、学園のアイドルでもある三島先輩に近づくこと。
男子生徒としては遠くから眺めることしかできなかった雲の上の存在。
だけど、この怪しげな同好会の先輩から譲り受けた「性別逆転薬」があれば話は別だ。女子として新体操部へ見学に行けば、彼女と自然に接点を持てるかもしれない。
「よし……大丈夫、声もちゃんとかわいくなってる」
喉を鳴らして自分の声を確認すると、緊張で高鳴る胸を抑えながら個室の扉を開けた。
タイムリミットは薬の効果が切れるまでの数時間。
憧れの先輩に近づくための、僕の大胆な作戦が幕を開ける。