[ futaba / tachiha / aiba / honba / aoba ] [ main / recent post ]

/tachiha/ - たちは板κ

リレー小説用
Name
Options
Subject
Comment
File
Password (For file deletion.)

File: 1784975400044.jpg (214.28 KB, 768x1280, 52jj1~2.jpg)

1d6fa5c3 No.3964

817a53a9 No.4236

夏の盛り、セミの鳴き声がアスファルトの熱気と混ざり合う午後の街で、俺はベンチに座っていた。
年齢は四十代半ば、うだつの上がらないサラリーマン。
くたびれたスーツのポケットに突っ込んだ右手には、いつの間にか握りしめていた「それ」の感触がある。
意識の同期
俺の脳髄の奥底で、かつて研究所の底で組み上げられた量子プログラムが静かに起動音を鳴らしていた。
目の前にいる人間に触れ、意識を流し込む。ただそれだけで、俺の思考、記憶、そしてこの退屈な人生の重みが丸ごと他者の肉体へと上書きされる。
ターゲットは、数メートル先のベンチの端でスマホをいじりながらアイスを食べている女子高生だ。
金髪をゆるく巻いた派手なルックスに、小麦色の肌、制服のシャツの胸元ははじけ飛ぶんじゃないかというほど豊満な膨らみを作っている。
世間一般の基準で言えば、眩しすぎるほどの美人ギャルだった。
彼女が退屈そうに足を組み替えるたび、周囲の空気がわずかに揺れる。
俺は立ち上がり、すっと彼女の背後へと近づいた。
心臓がうるさいほどに鳴り響く。
倫理観という名のブレーキは、とうの昔に日々の満員電車と理不尽な上司への怒りですり減って消え失せていた。
「おい、ちょっと落としたぞ」
声をかけ、振り返った彼女の驚愕に満ちた瞳を捉えた瞬間、俺は迷うことなくその滑らかな肩へと指先を触れさせた。
ペーストの実行
『対象の生体認証を完了。メモリ領域へのアクセスを開始します』
脳内に冷徹な電子音響が響いた直後、世界が真っ白に塗り替わった。
俺の意識が液状化し、指先を伝って彼女の肉体という名の巨大な容器へと流れ込んでいく。
新しい視界
自分の足が地面から離れ、視線が急激に高く、そして鮮やかになった。
世界を彩る色彩の解像度が跳ね上がり、肌を撫でる風の感触が生々しく脳を直撃する。
そして何より、呼吸をするたびに胸元を圧迫する圧倒的な質量と、若い肉体特有の底知れぬエネルギーが全身を駆け巡った。
「……え、なにこれ……?」
声帯から漏れたのは、見知らぬ、しかし確かにこの少女のものである甘やかな声だった。
俺の意識の海が、彼女の脳内で波紋を広げ、やがて完全に融合していく。
中年男の諦念と、女子高生の生々しい体温が一つに混ざり合う瞬間、世界が音を立てて書き換わった。



[Return][Go to top] Catalog [Post a Reply]
Delete Post [ ]
[ futaba / tachiha / aiba / honba / aoba ] [ main / recent post ]