1505cfd3 No.3567
「……はぁ、マジでやることねぇな」
タワーマンションの28階。高級ソファに深く腰掛け、太郎は天井を仰いだ。
40歳でFIRE(経済的自立と早期退職)を達成した時は、人生の勝者になった気分だった。しかし、待っていたのは絶望的なまでの「退屈」だ。趣味の海外旅行もゴルフも行き尽くし、今はただ、有り余る時間を消費するためだけにネットの海を漂う日々。
画面をスクロールしていた太郎の指が、ふと止まった。
『魂の転送・他者への憑依薬。あなたの意識を、望む相手に宿らせます』
「なんだこれ、詐欺サイトか?」
胡散臭さ100%の怪しい漢方薬のようなパッケージ。普通なら鼻で笑ってブラウザを閉じるところだが、今の太郎にはその「異常な怪しさ」すら暇つぶしのエンタメに見えた。
「ま、数万円だしな。騙されたと思ってポチってみるか」
数日後、届いたのは琥珀色の液体が入った小さなガラス瓶だった。説明書には『一口飲み、目を閉じて強く対象をイメージせよ』とだけ書かれている。
「よしよし、じゃあ一丁騙されてやりますか」
太郎は冷やかし半分で液体を口に含んだ。喉が焼けるように熱くなり、急激な睡魔が襲う。
意識が遠のく中、太郎の脳裏に浮かんだのは、同じマンションのEVで時々すれ違う「あの美女」の姿だった。
(確か、彼女は20階で降りてたな……)
次の瞬間、太郎の身体はふわりと宙に浮いていた。
いや、肉体はベッドに横たわったままだ。ガラスに映る自分は、半透明の光の球のようになっている。
「うおっ!? まじかよ、本当に幽体離脱してんのか!?」
興奮を抑えきれず、太郎は壁をすり抜けて20階へと急降下した。
20階のフロアに降り立ち、1軒目の部屋を覗く。老夫婦の世帯だ。違う。
続いて2軒目の部屋のドアをすり抜ける。
「……あ、いた」
そこは白を基調とした洗練されたリビングだった。
部屋の主である彼女は、部屋着姿でソファに座り、テレビを眺めている。間違いなく、いつも見とれていたあの美女だ。一人暮らしのようで、周囲に人の気配はない。
「よし……いってみるか!」
太郎は意を決して、彼女の背後からその身体へと飛び込んだ。
カチリ、と頭の中でパズルのピースがハマるような感覚。
「え……?」
自分の口から出たのは、鈴を転がすような、柔らかく美しいソプラノの声だった。
太郎は恐る恐る自分の手を目の前にかざした。細く、白く、綺麗に手入れされた爪。視線を下げると、いつもとは明らかに違う、しなやかな女性の身体がそこにある。
「すごい……本当に憑依できた。俺、今、彼女になってる……!」
立ち上がろうとした瞬間、頭の中に濁流のように「彼女の情報」が流れ込んできた。
(名前は……明日香(あすか)。26歳、アパレル会社経営。実家は京都。明日の予定は……)
「なるほど、脳の記憶領域までリンクしてるのか」
太郎は明日香の記憶を検索してみた。彼女の話し方の癖、声のトーン、友人関係まで、まるで自分の記憶のように手に取るようにわかる。これなら、彼女の振る舞いを完璧に模倣して「なりすます」ことも造作もない。
ピコン、とローテーブルの上のスマートフォンが鳴った。
画面を見ると、友人らしき人物からメッセンジャーが届いている。
『明日香、明日のランチの場所、どこにする?』
太郎は明日香の手を動かし、フリック入力で返信を打ち込んだ。
『いつものカフェがいいな。予約入れとくね!』
「完璧だ……」
明日香の脳が持つ「いつものカフェ」の映像を読み取り、彼女がいつも使う絵文字を添えて送信する。相手からの疑う様子は一切ない。
太郎の口元が、明日香の美しい顔のまま、歪に釣り上がった。
「退屈な日々よ、さらばだ。これからは……誰にだってなれるんだからな」
極上の玩具を手に入れた男の、危険な火遊びが始まろうとしていた。
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「……信じられない。本当に、本物の女の体になってる……」
太郎は明日香の細い指先を動かし、恐る恐る自分の胸元へと手を伸ばした。
明日香の脳内記憶が、瞬時にスペックを弾き出す。
(サイズは……Eカップ。嘘だろ、そんなにあったのか)
服とナイトブラ越しに、その膨らみを両手で包み込むように掴んでみる。
手のひらから伝わってきたのは、想像を絶する柔らかさと、得も言われぬ弾力だった。
「うわ、柔らかっ……! なんだこれ、モチモチじゃん……」
太郎は思わず声を漏らした。男の時代、金に飽かせて夜の街で何十人もの女性の体を触ってきた。だが、それはあくまで「触る側」の快感だ。
「そうか、今度は『揉まれている側』の感覚も、ダイレクトに脳に響いてくるんだな……!」
自分で揉んでいるのに、まるで誰かから愛撫されているような甘美な刺激が、明日香の性感帯を通じて太郎の精神を狂わせていく。
じっくりと揉みしだいていると、皮膚の下の芯がキュッと硬くなっていくのがわかった。
「あ……。乳首、硬くなってきた。女の子の体って、こんなに敏感に反応するもんなのか……?」
明日香の脳が「恥ずかしい、でも気持ちいい」という本能的な快感を呼び起こし、太郎の理性は完全に吹き飛んだ。
「よし、邪魔な服は脱いじまおう」
もどかしい手つきでパジャマのボタンを上から順に外していく。
前をはだけさせると、レースをあしらったナイトブラが露わになった。太郎は待ちきれず、そのブラのカップをぐいっと上に押し上げる。
バチン、と弾けるようにして、遮るもののない真っ白な生乳が二つの見事な丘となって溢れ出た。
「お、おおお……! すげぇ……、これが、明日香の……」
リビングの照明に照らされた、透き通るような白肌と、ピンク色に上を向いた尖端。
太郎はゴクリと唾を飲み込み、今度は生身の肌に、明日香自身の両手を直接這わせた。
「ひゃっ……あ、あは……っ」
指先が肌に触れた瞬間、明日香の喉から掠れた嬌声が漏れる。
「やばい、これ最高だわ……。自分の手なのに、触られるだけで頭がとろけそうになる。男の体じゃ、こんなに強い快感は絶対に味わえない……っ!」
太郎は夢中になって、手のひら全体でその肉塊をすくい上げ、交互に激しく揉みしだいた。指の隙間から溢れる肉の感触と、脳をジャックする強烈な快楽。
40歳にして手に入れた、退屈を極彩色に塗り替える「最高の玩具」に、太郎は完全に溺れていった。
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「ふぅ……あぁ……っ」
生乳の柔らかさに一通り満足した頃、太郎の頭には次なる好奇心が湧き上がっていた。
せっかく完璧にリンクしているのだ。明日香自身が普段、どんな風にこの身体を愛しているのか。それを体験しない手はない。
太郎は明日香の記憶の引き出しをさらに深く漁った。
(最近の男関係は……あぁ、少し前にパートナーと別れたばっかりか。そこから仕事が忙しくなって、最近はご無沙汰だったみたいだな)
さらに記憶を辿ると、彼女が一人で処理する時の「ルーティン」が鮮明に浮かび上がってきた。
(いつもはベッドじゃなくて、このリビングのソファなんだ。……で、使うのはこれか)
太郎は明日香の身体を動かし、テレビ台の引き出しを開けた。奥の方から、コスメポーチに隠された小さなピンク色のコードレスローターを取り出す。
「へえ、こんなの持ってたんだ。可愛い顔して、結構お盛んじゃん……」
明日香の指が慣れた手つきでスイッチを入れると、ブー、と微かな振動がリビングに響いた。
パジャマのズボンと下着を一気に膝まで引き下ろし、ソファに深く身体を預けて足を広げる。
明日香の記憶によれば、彼女の最大の性感帯は『クリ』。そこを集中的に責めるのがいつものスタイルだ。
「よし……、いくぞ」
太郎は振動する先端を、秘部の頂点へと恐る恐る押し当てた。
「ひゃんっ……!? あ、あぁっ……!」
信じられないほどの電流が脳を突き抜けた。明日香の口から、自分でも驚くほど高くて可愛い喘ぎ声が飛び出す。
「う、嘘……っ、すご、すぎ……っ! はぁ、あんっ!」
男の感覚とは全く違う、脳が直接震えるような快感。
明日香の記憶にある「いつもの感じ」をなぞるように、ローターの出力を少し上げ、ピンポイントでグリグリと円を描くようにいじり回す。
「あ、うそ、これ、やば……っ。あはっ、んんぅーっ!」
愛らしい声が静かな部屋に木霊する。
完全に明日香になりきった太郎は、身体を弓なりに反らせ、シーツをギュッと掴んだ。指先が、太ももが、快感のあまりガタガタと震えている。
「あ、ダメ、もう……これ、すぐ、いっちゃ……っ、あん、あぁーっ!」
久しぶりの刺激に、明日香の身体は瞬く間に限界を迎えた。
激しい絶頂の波が押し寄せ、太郎は明日香の可愛い悲鳴とともに、ソファの上で激しく身悶えした。
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「はぁ、はぁ……っ、信じられない。何これ、気持ちよすぎる……っ!」
激しい絶頂の余韻に震えながら、太郎は明日香の体で大きく肩で息をした。
男の時とは比べものにならない極上の快感。一度味わってしまえば、もう引き返せない。太郎の心に、さらなる歪んだ欲望が湧き上がってきた。
「もう一回……、いや、もっとすごい奴を……」
ローターを再び握り直した太郎は、明日香の記憶からある場所を思い出し、ふらつく足取りで洗面所へと向かった。そこから姿見用の大きな鏡をリビングへと引きずってくる。
ソファの真向かいに鏡を設置し、その前に再び足を開いて座り込んだ。
「うわ……すごいな、これ……」
鏡の中に映っているのは、パジャマを完全に脱ぎ捨て、一物も纏わぬ全裸になったあの美女だ。
上気した頬、潤んだ瞳、少し開いた唇から漏れる吐息。どこからどう見ても、信じられないほど色っぽく、淫らな表情をした明日香がそこにいた。
「よし……、鏡の自分を見ながら、もう一発……っ」
太郎は明日香になりきり、鏡の中の自分と目を合わせながら、再び秘部にローターをあてがった。
「あんっ……! ひゃあぁっ、あ、んんっ!」
ブーという振動とともに、鏡の中の美女がビクッと身体を跳ね上げる。
太郎が指を動かせば、鏡の中の美女も全く同じように指を動かし、自らの身体を愛撫する。いつも見とれていた高嶺の花の美女が、自分の意志のままに動き、自分の手で淫らに開発されていく。
(この最高の女が、俺の思い通りに動いてる……! 俺が、この女をめちゃくちゃにしてるんだ……!)
「あはっ、ん、あぁーっ! すご、い、鏡見てると、もっと、きちゃう……っ!」
完璧に明日香になりきった可愛い喘ぎ声を上げながら、太郎は興奮の絶頂に達していた。
支配欲と背徳感、そして女性特有の底なしの快感が完璧にシナジーを起こし、普段の明日香自身が感じるよりも遥かに激しい、狂気的な快感の濁流が押し寄せる。
「あ、ダメ、これ、さっきの比じゃない……っ! 脳みそ、とけちゃう、あ、あ、あぁーーっ!!」
身体の奥底から、経験したことのない熱い衝動が突き上げてくる。
限界を迎えた瞬間、明日香の身体は弓なりに硬直した。
「ひゃあぁあぁーーーっっっ!!」
可愛い悲鳴と同時に、秘部から激しく、大量の愛液が勢いよく噴き出した。凄まじい潮吹きだった。ソファとフローリングが派手に濡れそぼる。
「は、あ、あ、っ……!」
あまりの快感の強さに、明日香の脳と身体のキャパシティが限界を超えた。
ブツン、と頭の中で何かが切れる音がした。
「うわっ!?」
気がつくと、太郎は激しい目眩とともに、天井を見上げていた。
視界に映るのは、見慣れた28階の自室の天井。自分の手を見ると、ゴツゴツとした男の手に戻っていた。
「はぁ、はぁ……戻っちまった、のか……?」
ベッドから起き上がり、下半身を確認するが、紛れもないいつもの自分の肉体だ。
強烈すぎる快感の衝撃でリンクが強制遮断され、憑依が解けてしまったようだった。太郎は呆然としながらも、まだ手のひらに残る、あの柔らかさと圧倒的な快楽の余韻に、激しく身震いしていた。
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「まだ……まだいける。効果は完全に切れたわけじゃないはずだ」
太郎は荒い息を整えると、再び自室のベッドで目を閉じた。強烈な集中力を注ぎ込むと、視界がぐにゃりと歪み、再びあの見慣れた20階の部屋へと「意識」が滑り込んでいく。
霊体となった太郎が見たのは、先ほどまで乱れに乱れていたリビングの光景だった。
明日香はすでにパジャマを整え、服を着ている。
手にはタオルを握り、自分の愛液でぐしゃぐしゃになったソファやテーブルを必死に拭いていた。彼女の顔には、困惑と羞恥が入り混じった複雑な色が浮かんでいる。
「信じられない。なんで今日は、こんなに……」
彼女は独り言をこぼし、赤面した顔を両手で覆った。
「あんなの、一度もしたことないのに。しかも二回も……鏡まで持ち出して、自分で自分を……」
彼女はタオルを握りしめ、濡れた床を見つめて溜息をつく。
「あぁ、もう。私、最近ちょっと欲求不満すぎたのかな? それとも……仕事のストレス?」
太郎は霊体としてそのすぐ横に浮かび、ニヤリと笑った。
(いいぞ、そうやって勝手に理由をつけてくれ。俺が憑依して操作したことなんて、夢にも思わないだろうな)
彼女の脳内では、太郎が強制的に操ったはずの行動が、すべて「自分自身の強い衝動による選択」として書き換えられ、処理されていた。彼女にとって、あの淫らな振る舞いは「自分の意思で行った秘密の快楽」という記憶として定着したのだ。
「……恥ずかしすぎる。誰にも言えないわ、こんなの」
彼女は顔を真っ赤にしながら、一生懸命に自分の痕跡を消そうとしている。その必死な姿が、太郎のサディスティックな欲求をさらに煽った。
「よし、もう一度。今度はさっきよりもっと恥ずかしいことを……」
太郎は霊体の手を伸ばし、彼女の肩に触れようとした。まさにその瞬間だった。
「――っ!?」
指先が彼女の肌に触れる寸前、世界が激しくノイズを立てた。まるでテレビのチャンネルが強制的に切り替わるような、不快な衝撃。
「おい、待て……! まだだ、まだ終わるな……っ!」
太郎は手を伸ばし、懸命に彼女を掴もうとしたが、光の粒が霧散していくように視界が急速に遠ざかる。
霊体は重力に引かれるように猛スピードで上層階へと引き戻され、意識が強制的に肉体へと放り込まれた。
「あぁっ……!」
太郎の肉体がベッドの上でガクリと跳ね上がる。
目の前に広がっていた白を基調としたリビングは消え失せ、代わりに自分の部屋の無機質な壁が冷たく太郎を迎え入れた。
「くそっ……! 薬の効果が……切れちまったか……」
太郎は自分の手を見つめた。あの柔らかな肌の感触はもうどこにもない。
部屋に静寂が戻り、先ほどまでの熱狂が嘘のように遠ざかっていく。しかし、明日香が自分の記憶に振り回され、羞恥に悶えている姿を思い出すと、太郎の口元には歪んだ笑みが貼り付いたまま離れなかった。
「……なるほどな。憑依するたびに、あいつの中で俺の痕跡が『自分の思い出』として積み重なっていくのか」
次の薬をどう使うか。太郎の脳内では、早くも新たな悪戯のシナリオが回り始めていた。
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「……よし、まずはこれだな」
太郎はパソコンの画面に向かい、怪しい詐欺まがいのサイトを再び開いた。迷うことなく、残っている『憑依薬』の在庫をすべてカートに入れ、クレジットカードで決済する。金なら有り余るほどある。買い占めることなど造作もなかった。
「これで弾数は揃った。次は……誰で遊んでやるかね」
数日後、ダンボール一箱分の琥珀色の小瓶が届くと、太郎の退屈だった日常は一変した。
これまではただ時間を潰すためだけに起きていた朝が、今では最高のエンターテインメントの始まりに変わっていた。
次の日から、太郎は外に出るのが楽しみで仕方がなくなっていた。
ただのコンビニへの買い物。以前なら、自動支払機にお札を突っ込んで、下を向いて帰るだけの味気ない数分間だ。それが今では、格好の「獲物」を探すハンティングの時間へと変貌していた。
「いらっしゃいませ」
レジに立つ、少し幼さの残る若い女性店員。彼女が商品をスキャンする手元を、太郎はマスクの奥でニヤニヤしながら見つめる。
(彼女に憑依したら、レジの途中で自分で自分の胸でも揉ませてみようか。客はみんなパニックになるだろうな……)
店を出て、歩道を歩いているだけでも妄想は止まらない。
タイトスカートを穿いて颯爽と歩くキャリアウーマン風の美女とすれ違う。
(あの女、プライド高そうだな。憑依して、自分で自分のスカートを思いっきり捲り上げさせたら、どんな顔するかな。……いや、その後の記憶の辻褄合わせで、本人がパニックになるのを見る方が面白いか)
向こうから歩いてくる女子大生風の2人組。
(あっちの大人しそうな子に憑依して、隣の友達にいきなりキスでも仕掛けてみるか? 『私、急にどうしちゃったんだろう……』って、一生悩ませるのも悪くない)
すれ違うすべての女性が、太郎の頭の中のシナリオ通りに動く人形に見えてくる。
「あはは、マジで最高だな、この薬」
太郎はすれ違った女性のプロポーションを品定めするように振り返りながら、小さく独りごちた。
誰に、どんな悪戯を仕掛け、どんな風にその人生を狂わせてやるか。全能感に満ちた最悪の妄想を膨らませながら、太郎はポケットの中の小瓶をそっと指先で転がした。
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「……あれだ」
街の角を曲がった先、清楚な紺色のブレザーに身を包んだ女子学生たちの集団が目に入った。
この辺りでは名門として知られる女学院の生徒たちだ。初々しい顔立ち、まだ大人になりきらない身体のライン。太郎の胸の中に、先ほどまでの退屈な日常を遥かに凌駕する、背徳的な高揚感がこみ上げる。
「今日のターゲットは、お前たちに決めた」
太郎は早歩きでマンションへと戻った。
エレベーターに乗り込み、自室へと急ぐ。高級な調度品も、窓から見える絶景も、今の彼にはただの背景にすぎない。彼にとっての唯一の価値は、琥珀色の液体が入ったあの小瓶だけだった。
部屋に入るなり、太郎はためらうことなく小瓶の栓を抜き、一気に喉へ流し込んだ。
「あぁ……この熱い感覚……たまんねぇな」
視界が急速に狭まり、世界が明滅する。
次の瞬間、太郎の意識は肉体を離れ、風に乗るような浮遊感とともに街へと放たれた。
「女学院か……久しぶりだな、この空気感。学生時代なんてクソくらえだったが、今は違う」
太郎の霊体は、先ほどの女子学生たちの集団を目がけて滑空した。
制服のスカートが風に揺れる様子を、すぐ背後から観察する。彼女たちが無邪気に笑いながら交わす会話が、まるで甘い蜜のように太郎の耳に届く。
(いいぞ、このピュアな空間に俺という毒が混ざるんだ。どんな反応を見せてくれるのか、楽しみで仕方ねぇな)
太郎は集団の中の一人、少しだけ大人しそうな表情で歩いている少女の背中に、じっと狙いを定めた。
(まずは……誰を傀儡にするか。いや、全員順番に遊び尽くしてやるか……!)
太郎はニヤリと霊体の中で笑みを浮かべ、彼女たちの輪の中へと、静かに、そして強欲に潜り込んでいった。
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「……んっ、あれ……?」
名門女学院の重厚な校門をくぐった瞬間、ターゲットの少女――高校2年生の『莉奈(りな)』の意識は、太郎の精神によって完全にジャックされた。
「……すご。視線が、いつもよりだいぶ低いな」
莉奈の口から漏れたのは、まだあどけなさの残る、鈴のように可憐な声だ。
太郎は莉奈の脳内メモリにアクセスし、瞬時に彼女のプロフィールを読み解いていく。
(名前は莉奈。成績優秀、おまけに実家はなかなかの資産家か。……よし、今日から俺が、お前の清純な学校生活をプロデュースしてやるよ)
周囲を見渡せば、どこを向いても紺色の制服を着た女子生徒ばかり。聞こえてくるのは「ごきげんよう」という上品な挨拶と、恋バナや芸能人の噂話に花を咲かせる黄色い歓声だ。男の影など微塵もない、完全なる園(エデン)。
「莉奈、おはよー! ちょっと、何ぼーっとしてるの?」
後ろから肩を叩かれ、太郎はビクッと莉奈の身体を震わせた。振り返ると、クラスメイトの活動的な少女が笑顔で立っている。
「あ……お、おはよう」
(危ねぇ、莉奈の記憶……話し方のトーンをトレースしろ……よし)
「うふふ、おはよう。ちょっと寝不足で、頭がぼんやりしちゃって」
「もー、テスト前だからって詰め込みすぎじゃない? 教室行こ!」
友達に腕を絡められ、太郎の心臓がドクンと跳ね上がった。
腕に触れる、柔らかい女の子の感触。そして、すれ違う生徒たちから漂う、シャンプーや柔軟剤の甘い香り。
「これが女学院か……最高すぎるだろ……」
教室に入ると、太郎の『女学院満喫プラン』が本格的に始まった。
まずは授業中。真面目な莉奈なら絶対にしないような行動を試してみる。
綺麗に切り揃えられた爪を見つめたり、制服のプリーツスカートの裾を、授業中にわざと少しだけ手で手繰り上げて太ももを露出させてみたりする。
(おいおい、鏡で見るとめちゃくちゃエロいぞ、この格好。窓際だから光が当たって、肌が透き通りそうだ……)
さらに、莉奈の記憶にある「一番の親友」である隣の席の女子生徒を、じっと見つめてみる。相手が視線に気づいて「ん? どうしたの?」と小首をかしげると、太郎は莉奈の顔でふっと妖艶に微笑んでみせた。
「ううん、今日の髪型、すごく可愛いなと思って」
「えっ……!? な、なに急に……。からかわないでよぉ」
普段は絶対にお世辞など言わない硬派な莉奈からの言葉に、親友の少女は一瞬で耳まで真っ赤にして俯いた。
(あはは! 面白い、女の子を口説くのって、女の体でやるとこんなに簡単に照れさせられるのか!)
昼休みになると、購買で買ったパンを食べながら、女子特有の密なコミュニケーションの輪に混ざる。
「ねえねえ、莉奈はどんな人がタイプなの?」
恋バナの矛先が莉奈に向いた瞬間、太郎の口元が歪んだ。莉奈の脳内にある「理想の王子様像」を完全に無視し、太郎自身の好みを莉奈の口から吐き出させる。
「私? 私はね……そうだな、40代くらいの、ちょっと落ち着いてて、お金を持ってる大人の男性がいいな。FIREしてるような、時間のゆとりがある人とか、すごく素敵だと思う」
「えぇーーっ!? 渋すぎない!?」
「おじさんじゃん! 莉奈、ファザコンなの!?」
周囲の女子たちが一斉に騒ぎ立てる中、太郎は莉奈の身体で、クスクスと上品に、しかし心の中では大爆笑しながらお茶をすすった。
(お前たちが今話してるその『素敵なおじさん』は、今まさにこの体の中にいるんだけどな……!)
昼食が終わり、午後の一コマ目は移動教室での体育だった。
更衣室へと移動し、全員が一斉に制服のボタンを外し始める。
パチン、パチンと衣服が脱がされ、周囲が瞬く間に白い肌と下着姿の女子高生たちで埋め尽くされていく。太郎にとって、これ以上ない極上のエンターテインメント空間が完成しつつあった。
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(さてと、この天国みたいな状況で、どう仕掛けてやろうか……)
太郎は莉奈の細い指を動かし、ブレザーのボタンを一つずつ外していった。
周囲を見渡せば、白、ピンク、水色……色とりどりの下着姿になった女子高生たちが、無防備に肌を晒して笑い合っている。莉奈の脳内にある学校のルールや常識を無視して、誰かのブラのホックでも後ろから外してやろうか、それともわざと下着を落として困らせてやろうか、最悪な悪戯のプランが次々と頭に浮かぶ。
ブラウスを脱ぎ捨て、莉奈自身の下着姿が露わになった。
鏡に映る莉奈の身体は、薄いピンク色のレースがふんだんにあしらわれた、少女らしい可憐なデザインのブラジャーに包まれている。
「へえ、莉奈ちゃん、結構可愛い趣味してんじゃん……」
莉奈の声を小さく漏らし、自分の胸元のレースに指をかけようとした、その瞬間だった。
背後からぬっと伸びてきた二つの細い手が、莉奈の脇から滑り込んできた。
そして、そのピンク色のレース越しに、莉奈のまだ未成熟で柔らかな胸を、むぎゅっと容赦なく正面から揉みしだいた。
「あうっ……!? ゃ、あんっ……!」
予想外のダイレクトな刺激に、莉奈の喉から息の漏れたような可愛い悲鳴が飛び出す。
脳を突き抜ける甘い快感。驚いて振り返ると、そこにはクラスでも一、二を争う美少女であり、莉奈の悪友でもある結衣(ゆい)が、悪戯っぽく目を細めて笑っていた。
「ひゃはは! 莉奈、いい声出すじゃん! つまんない顔して着替えてるから、気合入れてあげた!」
結衣は手を離すどころか、さらに指先を動かして、レースのブラ越しに莉奈の胸の先端をコリコリといじるように弄んでくる。
「ちょっと……ゃ、やめてよ結衣……っ、みんな、見てる、あ、あんっ……!」
太郎は必死に莉奈の記憶を検索し、親友同士の「いつものじゃれ合い」のトーンを再現しようとした。だが、女の子同士の愛撫の快感と、背徳感が混ざり合って、声がどうしても淫らに震えてしまう。
「えー? だって今日の莉奈、なんかエロいんだもん。お昼休みに急に『40代の渋い男がいい』なんて言い出すから、気になっちゃってさ。もしかして、もう大人の経験しちゃった?」
結衣はニヤニヤしながら、莉奈の耳元に顔を近づけて囁く。その吐息が耳にかかるだけで、莉奈の身体がピクッと跳ね上がった。
「ち、違うってば……っ。そんなんじゃないから、早く、手、離して……あはっ」
「やだ。莉奈のここ、いじってたら、なんだか硬くなってきてるよ? 嘘つけないねぇ」
更衣室の喧騒の中、二人の怪しいやり取りに、周囲の女子生徒たちも気づき始めてクスクスと笑い声を上げている。
「あはは、結衣また莉奈をいじめてるー」
「莉奈ちゃん顔真っ赤だよ? 変わってあげようか?」
(くそっ……! 悪戯を仕掛ける側のはずが、まさか女の体で逆におもちゃにされるなんて……!)
太郎は莉奈の身体を通じて、結衣の指先から伝わる甘美な快楽に翻弄されながら、女学院という楽園の「洗礼」を全身で味わっていた。
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「んあぁっ……! ちょ、ちょっと、結衣……っ!」
結衣の指先が、ピンク色のレース越しに莉奈の小さな乳首をピンポイントでキュッと摘み上げた。
衣服を挟んでいるとは思えないほどダイレクトな刺激が脳へと走り、莉奈の口から、更衣室全体に響くような可愛い喘ぎ声が漏れてしまう。
「ひゃんっ、あ、あぅ……っ! だめ、そこ、は……っ!」
「あはは! 莉奈、今日いつもより全然敏感じゃん! ほらほら、ここ、もっと気持ちよくなっちゃえ」
結衣は完全に面白がり、莉奈の身体を後ろから抱きすくめるようにして、必要以上にその胸を何度も、何度も揉みしだき続けた。男の時とは違う、女の子同士の甘い匂いと、容赦なく与えられる快感の波。太郎の精神は、莉奈の身体を通じてとろけそうになっていた。
(うわ、やべぇ……。されるがままに揉まれるのって、こんなに脳みそ痺れるのか……っ)
だがその時、莉奈の脳の奥底から、強い拒絶のシグナルがアラートのように鳴り響いた。
(これ以上はダメ。私、みんなの前で変な声出しちゃう……! 結衣に、変に思われちゃう……!)
莉奈自身の羞恥心と「これ以上の限界」を知らせる警告が、太郎の意識をハッと現実に戻した。これ以上、莉奈のキャラクターを崩壊させるわけにはいかない。
太郎は莉奈になりきり、少し怒ったような、でも恥ずかしさで震える声を必死に作った。
「も、もうっ、本当に怒るよ……っ! 結衣、離して!」
莉奈の細い手を後ろへ伸ばし、結衣の手首をぎゅっと掴んで、力任せに自分の胸から引き剥がした。
「あはは、ごめんごめん! 莉奈が可愛すぎるのがいけないんだからね」
結衣はケラケラと笑いながら手を上げ、ようやく自分の着替えに戻っていった。
「はぁ、はぁ……っ」
解放された太郎は、大きく息を吐きながら、急いで指定の体操着に袖を通した。
自分で自分の胸を揉むのも最高だったが、まさか同級生の美少女に、されるがままに揉まれるのがこれほど甘美な体験だとは思いもしなかった。
(揉むのも極上、揉まれるのも一級品……。女学院、本当に天国だな……!)
体操着に着替え終えた太郎は、興奮で緩みそうになる莉奈の口元をキュッと引き締めた。ニヤニヤと浮かび上がろうとする邪悪な笑みを必死に隠し、すました優等生の表情を取り繕う。
「……じゃあ、私、先に行くね」
周囲の女子生徒たちにそう声をかけ、莉奈の身体を揺らしながら、太郎は満足感に満ち溢れた足取りで更衣室を後にした。
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体育館の床に座り込み、太郎は莉奈の身体で大きくストレッチを始めた。
「っふぅ……! 何この身体、関節がどこまでも動く……!」
小学生までバレエを習っていたという莉奈の筋肉と骨格は、太郎の想像を遥かに超えて柔軟だった。
開脚をしても、前屈をしても、痛みなど皆無。むしろ、筋肉が伸びるたびに背筋から頭にかけて、奇妙な快感が駆け抜ける。
若い女性の身体を自在に操る感覚に、太郎の心は踊った。
「莉奈、準備体操しよ! ペアでさ!」
結衣が元気よく近づいてくる。太郎は心の中でガッツポーズをした。
(よし、ペアは結衣か。神様、ありがとうな)
柔軟体操が始まると、体育館はたちまち「密着」の温床へと化した。
ペアでの前屈ストレッチ。
太郎が床に座って脚を広げると、背後に回った結衣が肩を押さえてくる。
「いくよー、ぐいーっと!」
結衣の身体が莉奈の背中に完全に密着する。
彼女のまだ発育途中の、しかし柔らかな胸の膨らみが、背中越しにグイグイと押し当てられる。
「あ……っ、結衣、近いよ……っ!」
「えー? これくらい普通でしょ? 莉奈、今日なんか体温高くない?」
太郎はわざと莉奈の身体をゆっくりと前後に動かし、背中に当たる結衣の胸の感触を堪能した。
さらに、自分が結衣の背後に回る番になると、今度は莉奈の胸を結衣の背中にわざと強く押し付け、その弾力を楽しむ。
「あはは、莉奈! 背中、くすぐったいってば!」
「うふふ、ごめん。ちょっと力が入りすぎたかな?」
莉奈の可憐な声で誤魔化しながら、太郎は最高のセクハラを楽しんでいた。
しかし、そんな天国のような時間も長くは続かない。
教師の合図で始まった『3分間走』。
「はぁ……はぁ……ッ、げほっ!」
走り出してわずか1分。莉奈の身体は、太郎が思っていた以上にスタミナがなかった。
バレエで培った瞬発力はあっても、持久力は皆無に近い。
(くそっ……! 莉奈、運動不足すぎるだろ! 肺が焼き切れる……!)
ゼイゼイと肩で息をし、太郎はたまらず減速する。
しかし、周囲を見渡した瞬間、その苦しさは歓喜へと変わった。
男の視線が一切ない体育館。少女たちは完全に気が緩んでいた。
運動の振動で、揺れるポニーテール。
激しく上下する胸。汗ばんで体操着が透け、肌に張り付く様子は、まさに一生見放題の極上の景色だ。
「はぁ、はぁ……莉奈、大丈夫? 無理しないで!」
結衣が横を走るが、彼女の胸も弾むたびに体操着を大きく伸縮させている。
太郎は莉奈の顔を歪ませながら、心の中では涎を垂らしそうになっていた。
(いいぞ……もっと揺れろ。誰も見てないと思ってるだろ? お前たちのその無防備な姿、全部俺の脳裏に焼き付けてやるからな)
限界を迎えて足がもつれそうになっても、太郎は莉奈の身体でニタリと笑う。
最高の悪戯と、最高の眼福。
この女学院生活、一生続いてほしいと本気で思えた。
6fdea14e No.3620
体育館の熱気は、バスケットボールの練習でさらに高まっていた。
ドリブルの音と「パス!」「シュート!」という声が飛び交う中、太郎は莉奈の身体でコートを走り回る。
といっても、目的は試合に勝つことではない。
このコート上で繰り広げられる、少女たちの「躍動する肉体」を間近で観察することだ。
(走るたびに揺れる、あの膨らみ。最高だな)
莉奈の隣で懸命にボールを追う女子生徒たちの胸が、走るたびに、ジャンプするたびに、弾力たっぷりに揺れている。
しかも、激しい運動で体操着が汗ばみ、そのラインがはっきりと浮き出ているのだ。
「莉奈! 回して!」
結衣がパスを要求し、勢いよく駆け寄ってくる。
太郎は莉奈の身体でニヤリと笑うと、わざとパスを弾くふりをして、結衣の身体へと突っ込んだ。
「あ、ごめんっ!」
ぶつかった反動で、太郎の手が結衣の胸元へと伸びる。
汗でしっとりとした体操着の上から、結衣の柔らかい胸をガシッと掴むようにして止まった。
「あうっ! 莉奈、何すんのよぉ!」
結衣は顔を真っ赤にして叫ぶが、周囲の生徒たちは「またやってるわ」「仲良しねー」と笑い飛ばすだけだ。
この「女子同士なら許される」という特権的な空気が、太郎にはたまらなく心地よかった。
「あはは、ごめんごめん! バランス崩しちゃって」
太郎は莉奈の無邪気な笑顔を張り付けながら、今度はパス回しに混ざる。
ボールを奪い合うどさくさに紛れ、別のクラスメイトの背中に回り込み、肩を掴むふりをしてそのまま胸の横を肘でぐりぐりと押し付けた。
「ひゃっ!? 莉奈、ちょっと痛いよ!」
「ごめーん! 熱中しちゃってて!」
謝りながらも、太郎の手や肘は容赦なく彼女たちの身体に触れ続ける。
莉奈の身体が持つ「女の子としての特権」をフル活用したセクハラ行為。
誰一人として、まさかその優等生の笑顔の裏側に、40歳のFIREした中年男が潜んでいるなどとは疑いもしない。
(最高だ。汗だくになって、激しく息を切らして。莉奈、お前のおかげで人生最大のボーナスタイムだよ)
太郎は、莉奈の身体を限界まで激しく動かし、少女たちの肌の温もりと感触を貪りながら、背徳に満ちたバスケットコートでの時間を心ゆくまで堪能した。
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「ぷはぁー、疲れたぁ……!」
体育が終わると同時に、更衣室は一瞬にして女子高生たちの熱気と、甘く爽やかな香りで満たされた。
あちこちでシュウッ、シュウッとスプレー式の制汗剤が吹き付けられ、シトラスやパウダリーの匂いが部屋中に立ち込める。
「莉奈、これ使う? クールタイプのフェイスシート!」
結衣が汗ばんだ首筋を拭きながら、冷感シートのパックを差し出してきた。
「あ、ありがとう。もらうね」
莉奈の細い指でシートを受け取り、まずは自分の顔や首すじをなぞる。
ひんやりとした刺激が、火照った莉奈の肌に心地いい。
太郎は莉奈の身体を動かしながら、再び始まった「楽園のショータイム」に目を奪われていた。
「あー、最悪。ブラまで汗でびっしょりなんだけどー」
「着替え持ってきて正解だったわ。ねえ、ちょっと後ろのホック外して」
周囲の女子生徒たちが、次々と体操着を脱ぎ捨てていく。
汗で肌に張り付いた下着を直すために、惜しげもなく生肌を晒す少女たち。
腕を上げて髪を結び直すたびに、しなやかな脇のラインや、キュッと引き締まったお腹が露わになる。
男のいない更衣室は、まさに完全な無警戒。
(やっぱり、この光景は何度見ても飽きねぇな……)
太郎は莉奈になりきって着替えを進めるフリをしながら、横目でしっかりと美少女たちの下着姿を網羅していた。
結衣が新しいブラを着ける瞬間、背中のホックを器用に留める指先。
別の生徒が、汗を拭うためにブラのカップを少し浮かせた瞬間に覗く、柔らかな胸の輪郭。
「莉奈、またぼーっとしてる。まだ疲れが取れないの?」
結衣がすっかり制服に着替え終え、不思議そうにこちらを覗き込んできた。
「ううん、ちょっと制汗剤の匂いでクラクラしちゃって」
「もー、本当に今日のお姫様は手がかかるんだから。ほら、早く着替えないと次の授業遅れちゃうよ?」
「うん、そうだね」
太郎は莉奈の可憐な声で微笑み返し、名残惜しそうに周囲の絶景を目に焼き付けながら、ゆっくりとブレザーのボタンを留め始めた。
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「莉奈、急ごう! 今日はコート解放の日だから、早く行かないと先輩たちに良い場所取られちゃう!」
放課後のチャイムが鳴るなり、同じテニス部でクラスメイトの麻衣が、ラケットバッグを抱えて莉奈の席まで走ってきた。
「あ、うん、そうだね。すぐ準備する!」
太郎は莉奈の記憶をトレースしながら、手際よく教科書をスクールバッグに詰め込んだ。
莉奈はテニス部でも期待の新戦力らしい。
(テニス部か! ミニスカのスコート姿の女子高生が、大声出して球を追いかけるわけだろ? 想像しただけでたまらん。更衣室もまた拝めるしな!)
「よし、麻衣、行こう!」
「うん、ダッシュね!」
早くコートの様子が見たい太郎は、莉奈の身体を弾ませるようにして、麻衣と一緒に教室を飛び出した。
廊下を勢いよく曲がり、階段へ向かおうとした、その時だった。
「――きゃっ!?」
曲がり角の向こうから歩いてきた人影と、あやうく正面衝突しそうになった。
太郎は莉奈の驚異的な運動神経をフルに使って、急ブレーキをかける。
「危ない……っ!」
莉奈の身体がよろけ、目の前の人物の胸元に倒れ込みそうになる。すんでのところで相手が莉奈の細い肩をガシッと掴んで、その場に支えてくれた。
「大丈夫ですか? 廊下は走ってはいけませんよ、莉奈さん」
凛とした、低く落ち着いた声が頭上から降ってくる。
見上げると、そこには腕章を巻いた美しい黒髪の少女が立っていた。
女学院の全生徒を束ねる生徒会長の『沙織』だった。
「あ……せ、生徒会長……! ごめんなさい!」
太郎は莉奈の記憶から、彼女が普段どれだけ生徒会長を敬愛しているかを感じ取り、わざとらしく顔を上気させて縮こまった。
至近距離で見る生徒会長の顔は、非の打ち所がないほど整っている。
そして、莉奈の肩を掴む彼女の手からは、どこか大人の女性のような気品と力強さが伝わってきた。
「テニス部が急ぎたい気持ちはわかりますが、怪我をしては元も子もありません。次からは気をつけてくださいね」
沙織は莉奈の目をじっと見つめ、ふっと優しく微笑むと、ゆっくりと手を離した。
「はい……本当にすみませんでした……っ」
莉奈の可愛い声で消え入りそうに謝ると、生徒会長は小さく頷き、すれ違って歩いていった。通り過ぎざまに、高級な石鹸のような気高い香りが鼻腔をくすぐる。
「ふぅ……心臓止まるかと思った。莉奈、大丈夫?」
麻衣がホッとしたように胸をなでおろす。
「うん、大丈夫……。でも、生徒会長、すごく綺麗だったね……」
太郎は莉奈の表情をうっとりとしたものに偽装しながら、去っていく生徒会長の後ろ姿をじっと見つめた。
(あの堅物そうな生徒会長……。次は、あの女の身体を乗っ取って、全校生徒の前でとんでもないスピーチでもさせてみようか)
新たに見つけた極上のターゲットに胸を躍らせながら、太郎は麻衣に促されるようにして、テニス部室へと足を速めた。
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「早く着替えちゃおう!」
麻衣に促されるようにして、太郎は莉奈の身体でテニス部の更衣室へと滑り込んだ。
部室の中は、すでに多くの部員たちでごった返している。
制服のブレザーが次々とハンガーに掛けられ、テニス用のミニスカートのスコートや、アクティブなウェアに着替える少女たちの姿がそこかしこにあった。
(よしよし、本日三度目のご褒美タイムだな。今度はどんな下着を拝めるか……)
太郎は莉奈になりきってブレザーを脱ぎながら、周囲の部員たちの着替えをじっくりと鑑賞する算段を立てていた。
先輩たちの大人っぽいスタイルの身体や、同級生たちの健康的な脚線美。
男がいない空間だからこそ見られる、無防備で生々しい瞬間を、一秒たりとも見逃すまいと目を光らせる。
莉奈の指先が、ブラウスのボタンに手をかけた。
(まずは莉奈のスコート姿を楽しんで、それから)
まさにその瞬間、頭の奥で激しい耳鳴りが走った。
キーン。
という不快な高音が脳内を支配し、視界が急激に歪み始める。
「えっ? 嘘だろ、もうっ?」
莉奈の可憐な喉からは、言葉にならない掠れた声しか出ない。
更衣室の賑やかな話し声が、まるで水の中に沈んでいくように急速に遠ざかっていく。
強烈な引力が太郎の意識を後ろへと引っ張り、莉奈の身体との繋がりがブツンと力任せに引き裂かれた。
「くそっ!」
次に目を開けた時、太郎は自分のマンションの、いつもの高級ベッドの上にひっくり返っていた。
視界に飛び込んできたのは、無機質な自室の天井だ。
慌てて自分の身体を確認するが、ゴツゴツとした男の肌、そして40歳の中年男の肉体に戻ってしまっていた。
「あぁ、もう切れやがった! あと数分あれば、あの更衣室を全部堪能できたのにっ!」
太郎はベッドを拳で叩き、悔しげに天井を睨みつけた。
しかし、まだ身体の奥には、莉奈として結衣に胸を揉まれた時の甘い快感や、廊下で生徒会長とぶつかった時の高揚感が、鮮明な余韻として残っている。
「まぁ、いい。薬はまだ山ほどあるんだ」
太郎はベッドから起き上がると、デスクの引き出しに隠された、琥珀色の小瓶が詰まった箱を愛おしそうに見つめた。
「テニス部の更衣室の続きも、あの高飛車な生徒会長も。じっくり時間をかけて、全員俺の玩具にしてやるよ」
手に入れた絶対的な全能感と、次の悪戯への欲望。太郎の退屈だった日常は、すでに狂気的な快楽のシナリオで完全に満たされていた。
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「次の日まで待てるかよ……!」
女学院の興奮が冷めやらない太郎は、自室のベッドの上で激しくいら立っていた。
一度あんな極上の果実を味わってしまえば、ただの40歳無職の男に戻った時間が、一秒ごとに精神を削っていく。
太郎は引き出しから新たな小瓶を掴み取ると、一気に琥珀色の液体を煽った。
「あいつだ……まずはあの明日香の身体で、もう一度あのイキ方を……!」
喉を焼く熱さに身を任せ、意識を急速に20階へと滑り込ませていく。
壁をすり抜け、慣れた足取りで彼女の部屋のドアを透過した。
しかし、リビングに足を踏み入れた瞬間、太郎の霊体は凍りついた。
「はは、本当に明日香さんの家、綺麗ですね」
「もう、お世辞はいいから。ほら、お水飲んで」
そこにいたのは、明日香だけではなかった。
見知らぬ若い男が、ソファにだらしなく腰掛けている。
スーツのネクタイは緩み、顔は酒で真っ赤だ。明日香はキッチンから冷えたグラスを運んできて、苦笑しながら男に手渡していた。
太郎は激しい動揺を抑えながら、霊体のまま二人の会話に耳をそばだてた。
「いやぁ、でも本当に嬉しいです。まさか僕みたいな新人が、初契約取れるなんて……全部明日香社長のおかげです!」
「何言ってるの。あなたが毎日遅くまで頑張ってたからでしょ? 今日は本当におめでとう、蓮くん」
(名前は蓮。今年入ったばかりの新入社員。そうか、今日は彼の初契約祝いで、会社のメンバーと飲んでたんだな)
どうやら、飲み会が盛り上がった勢いと、泥酔した蓮を心配した流れで、社長である明日香の自宅に連れてきてしまったようだった。
「社長、僕、もっと頑張りますから。明日香さんの右腕になれるように」
蓮は潤んだ目で明日香を見上げている。
その視線には、上司に対する尊敬以上の、確かな「男としての欲」が混ざっていた。
明日香もまた、お酒が入っているせいか、いつもより少し頬が赤く、ガードが緩んでいるように見える。
(おいおいおい。新入社員を自宅に連れ込みかよ、明日香ちゃん)
誰もいない部屋で、彼女の身体を好き勝手に開発するつもりだった太郎の計画は、思わぬ乱入者によって狂わされた。
しかし、太郎の歪んだ脳は、即座にそれを「さらに最悪でエロいシナリオ」へと書き換えていく。
(男がいるなら、話は別だ。この初心なガキの目の前で……いや、こいつを使って、明日香の身体をめちゃくちゃにしてやるか……!)
太郎は霊体の中でニタリと邪悪な笑みを浮かべ、ソファーに座る明日香の背後へと、静かに、そして素早く這い寄っていった。
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「……ふふ、可愛いこと言ってくれるじゃない」
パチリ、と意識が接続された瞬間、明日香の身体は太郎の意思で動き出した。
グラスを持ったまま、ソファに座る蓮のすぐ隣へと腰を下ろす。
わざと太ももがぴったりと触れ合うほどの至近距離だ。
「えっ、あ、明日香さん……?」
蓮の身体がビクッと強張る。至近距離から漂う明日香の甘い香水と、肌の温もりに、若い新入社員の心臓が激しく脈打っているのが、明日香の脳を通じて太郎にも伝わってきた。
太郎は明日香の艶やかな唇を少し尖らせ、上目遣いで蓮を見つめた。
「右腕になってくれる、か。ねえ、それって……お仕事だけのお話?」
「へっ!? あ、あの、それってどういう……」
蓮は完全にパニックになり、顔を真っ赤にして視線を泳がせる。
太郎はその初心な反応が面白くてたまらない。明日香の細い指先を動かし、蓮の緩んだネクタイの結び目にそっと触れ、そのまま少しだけ自分の方へと引き寄せた。
「どういう意味だと思う? 蓮くんは、私のこと『社長』としてしか見てないのかなって」
「な、そんなわけないですっ! 明日香さんは、綺麗で、その、ずっと憧れで……」
「憧れ、ねぇ」
太郎はクスクスと明日香のソプラノの声で妖艶に笑うと、ネクタイから手を離し、今度は蓮の熱くなった頬にそっと手のひらを添えた。
しっとりとした女性の肌が触れ、蓮は息を呑んで固まる。
「お酒のせいかしら。今日の蓮くん、いつもより男らしくて……ちょっとドキドキしちゃうかも」
「明日香、さん……僕、もう、我慢できなく、なりそうです……」
蓮の目が、明確に熱を帯びた「男の目」に変わっていく。
太郎は明日香の身体の奥が、蓮の放つ男のフェロモンと、迫られる背徳感でじわりと熱くなっていくのを感じていた。
(いいぞ、その気になってるな、このガキ。……よし、もっとじらして、あいつの理性をめちゃくちゃに破壊してやる)
「我慢できないって、何を? 言ってみて、蓮くん」
明日香の潤んだ瞳でじっと見つめながら、太郎はわざと自分の胸元を蓮の腕に押し付けるようにして、さらに距離を詰めた。
首筋を少し傾け、どうぞと言わんばかりに無防備な姿を晒してみせる。
「あ、あぁ……っ」
蓮の手が、震えながら明日香の細い腰へと回り込んだ。
男に抱きすくめられるという、明日香の肉体が感じる初めての衝撃に、太郎の精神は激しい快感と興奮でゾクゾクとしびれていた。
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「あ、明日香さん」
蓮の腕に力がこもり、明日香のしなやかな身体がソファーへと押し倒された。
見上げる視線の先には、完全に理性を失いかけた若い男の顔がある。
(おいおい、マジでその気になりやがって。可愛い顔して男を狂わせる才能、抜群じゃん、明日香ちゃん)
太郎は明日香の身体を通じて、男に組み敷かれるという未知の背徳感に身悶えしていた。
心臓がトクトクと激しく脈打ち、下腹部がじわじわと熱くなっていく。
「ねえ、蓮くん……。本当にいいの? 私、あなたの社長だよ?」
明日香の唇から漏れたのは、拒絶ではなく、むしろ男をさらに煽るような、吐息混じりの甘い声だった。
「……関係ないです。もう、社長と部下なんて思えません」
蓮の震える指先が、明日香のトップスの裾にかけられ、ゆっくりと持ち上げられていく。
細いウエストに男の熱い手のひらが触れた瞬間、明日香の身体がビクッと甘く跳ね上がった。
「んっ、あっ、は」
「明日香さん、肌……すごく柔らかいです……」
「ふふ、どこ見てるの? そんなに触りたいなら、もっと好きにしていいよ?」
太郎は明日香の長い髪をソファーに散らしながら、わざと挑発するように両腕を蓮の首の後ろへと回した。
蓮は限界を迎えたように喉を鳴らし、明日香の細い鎖骨へと顔を埋め、激しく吸い付き始めた。
「んあぁっ! ゃ、そこ……っ、あん」
男の激しい愛撫が、明日香の敏感な肌へと直接突き刺さる。
自分で自分を慰めていた時とは全く違う、荒々しく、しかし強烈に脳を揺さぶる快感。
太郎は明日香の可愛い喘ぎ声をリビングに響かせながら、組み敷いてくる蓮の背中を、明日香の爪でぎゅっと掻きむしった。
(やべぇ、これ最高すぎるだろ。男にめちゃくちゃにされるのって、こんなに頭がパニックになるくらい気持ちいいのか……!)
「明日香さん……キス、させてください」
蓮が顔を上げ、濡れた瞳で明日香の唇を見つめる。
太郎は明日香の顔のまま、妖艶に微笑んで、ゆっくりと目を閉じた。
「いいよ。優しくしてね、蓮くん」
二人の唇が重なろうとした、まさにその瞬間だった。
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「――んっ……!」
重なる直前、太郎は明日香の口をわずかに開き、蓮の唇を迎え入れるようにして、深く、激しく舌を絡ませた。
「んんぅ……ッ、ん、はぁ……」
若い男の、お酒と熱の混ざった荒い息が口内に流れ込んでくる。
明日香の脳は一瞬でパニックになり、強烈な多幸感と背徳感の波が一気に押し寄せてきた。男同士のキスなど想像しただけで反吐が出るが、女の身体で受けるキスは、脳の芯がとろけるほどに甘美だった。
「ん、あ……っ、蓮、くん……ふはっ」
唇が離れると、明日香の口元から一筋の銀の糸が引いた。
蓮は完全に目の前の美女に魅了され、狂ったように明日香のブラウスのボタンを上から引きちぎるようにして外していく。
パチン、パチンとボタンが弾け飛び、先日太郎が自らの手で生み出した、あの見事なEカップの白乳が、レースのブラに押し上げられて再び露わになった。
「うわぁ……すごく、綺麗だ……」
「そんなに見つめられたら……恥ずかしい、よ……っ」
太郎は明日香の記憶にある『一番可愛い声』を最大に引き出して、蓮の男としての本能を極限まで煽り立てる。
蓮は我慢できずに、その大きな片胸を両手で挟み込むようにして、激しく揉みしだき始めた。
「あうっ! ゃ、んんっ……! 激し、い……っ!」
(クソ、やべぇ……っ! 男の力で揉まれるの、自分の手でやるより何十倍も刺激が強ぇ……ッ!)
男の大きな手のひらが、明日香の柔らかい肉を容赦なく潰し、指先がピンク色の先端を容赦なく擦り上げていく。
脳内に突き刺さるような快感が走り、明日香の身体は何度もソファーの上でビクビクと跳ね上がった。
「あ、は、んっ……! 蓮くん、そこ、だめ、頭おかしくなっちゃう……っ、あん!」
「明日香さん、もっと……もっと声、聞かせてください……っ!」
蓮は明日香の足の間に割り込み、ズボンに手をかけようとする。
太郎は明日香になりきって、快感のあまり涙目を浮かべながら、その若い男の頭を抱きしめ、さらに胸へと押し付けた。
(最高だ……! このまま、こいつにこの身体をめちゃくちゃにさせて――)
そう思った瞬間。
脳の奥底で、あの不快な「キーン」という強烈な耳鳴りが鳴り響いた。
(嘘だろ!? クソ、またかよ……! まだ一番いいところに行ってねぇぞ……っ!)
世界のノイズが激しくなり、蓮の熱い手の感触が、明日香の甘い喘ぎ声が、急速に色褪せて遠ざかっていく。
「待て……! あと少し……あと少しで……ッ!!」
太郎の意識は、絶頂の直前で容赦なく引き剥がされ、暗闇の彼方へと突き落とされた。
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「くっそおおおおお!!」
太郎は自室のベッドの上で、飛び起きるようにして叫んだ。
目の前にあるのは、いつもの見慣れた天井。
自分の手を見れば、先ほどまで蓮の頭を抱きしめていた白く細い指ではなく、ゴツゴツとした男の手だ。
「何でだよ! 何でいつも一番いいところで切れやがるんだ!」
ベッドを何度も拳で叩きつけ、太郎は荒い息を吐き散らした。
男の力で激しく揉みしだかれ、身体の奥が完全に熱くなっていたあの絶頂直前の感覚。
それが、強制終了のノイズとともに一瞬で虚無へと変わってしまった。
この生殺し状態は、男の肉体にとって耐え難い苦痛だ。
「はぁ、はぁ……。だが、待てよ……」
太郎は額の汗を拭いながら、邪悪な笑みをじわじわと取り戻していった。
憑依薬のルールはすでに分かっている。
あそこで俺の意識が途切れたということは、明日香の中では『自分が新入社員の蓮を部屋に連れ込み、理性を失って自ら服をはだけ、胸を揉ませていた』という記憶に書き換わっているはずだ。
「あいつ、明日会社でどんな顔して蓮と顔合わせるんだ?」
社長としてのプライド、そして清純で完璧だったはずの私生活。
それが、新人のガキを誘惑して男の欲望を剥き出しにさせたという『自分の記憶』によって、徹底的に破壊されているに違いない。
「……最高だな」
太郎は下腹部に残るドロドロとした熱い余韻を感じながら、デスクの引き出しへと歩み寄った。
箱の中には、まだまだ大量の琥珀色の小瓶が眠っている。
「明日香のあの続きも気になるが……。次は、あの女学院の、ツンとした生徒会長の番だな」
完全なる全能感。
40歳にして手に入れた、他人の人生を合法的に狂わせる禁断のチケット。
太郎は小瓶を一つ手に取り、明日という日が訪れるのが、これまでの人生のどれよりも待ち遠しくて仕方がなかった。
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目が覚めると、カーテンの隙間から眩しい朝の光が差し込んでいた。
昨夜の激しい興奮のせいでなかなか寝付けなかったはずだが、いつの間にか泥のように熟睡していたらしい。
太郎はベッドから起き上がると、気怠い身体を動かして手早く朝食を済ませた。
トーストを口に放り込み、シャワーの熱いお湯を浴びて頭を完全に覚醒させる。
鏡に映る自分の冴えない中年男の顔を見つめ、ニヤリと口元を歪めた。
「さて……今日も楽園へ行くとしますか」
デスクの引き出しから、例の琥珀色の小瓶を一本取り出す。
栓を抜き、一気に喉へと流し込むと、あの胃の腑を焼くような熱い感覚が全身に広がった。
視界がぐにゃりと歪み、肉体から意識が切り離される。
浮遊感とともにマンションを飛び出した太郎の霊体は、迷うことなくあの名門女学院へと向かって滑空した。
日中の女学院は、厳重なセキュリティと高い塀に守られており、普通の男が立ち入ることは絶対に不可能な聖域だ。
しかし、物理的な壁など一切意味をなさない幽体の太郎にとっては、ただの素通りできる空間にすぎない。
校門をすり抜け、校舎の敷地内へと忍び込む。
廊下を進めば、すれ違う女子生徒たちから制服の柔軟剤やシャンプーの甘い香りが漂ってきて、それだけで太郎の霊体はぞくぞくと歓喜に震えた。
(まずはどこだ? クラスの教室か、それとも生徒会室か……)
太郎は姿の見えない透明な侵入者として、完全に油断しきっている少女たちの園をじっくりと品定めするように、校舎の奥へと歩み進めていった。
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(生徒会室は留守か……。まぁ、まだ授業中だしな)
無人の生徒会室を後にした太郎は、霊体のまま廊下を回遊した。
放課後まで時間を潰す方法なんていくらでもある。この城には、どこを向いても極上の獲物しかいないのだから。
廊下を進み、特別教室の並ぶ棟へと差し掛かった時、一人の女性が資料を抱えて歩いてくるのが見えた。
(お? なんだ、あの美人)
それは、二十代半ばとおぼしき若い女性教師だった。
きっちりとしたタイトスカートに、薄手のブラウス。
黒髪を後ろでスマートにまとめ、知的なメガネの奥には涼しげな瞳がある。
モデルのようにスタイルが良く、動くたびにタイトスカートから伸びるストッキングに包まれた脚が、健康的な色気を放っていた。
(清純な女子高生もいいが、こういう綺麗系な女教師ってのも、また別のマニアックな良さがあるな。よし、まずはこいつで小手調べだ)
太郎は背後から音もなく近づき、その女教師の背中へと一気に飛び込んだ。
視界が激しく反転し、次の瞬間、太郎の意識はカチリと彼女の脳に接続された。
「……ふぅ」
女教師の口から、お淑やかな吐息が漏れる。
太郎はすかさず彼女の脳内メモリにアクセスし、基本情報を読み解いた。
名前は『水野(みずの)』。
担当は英語。
そしてラッキーなことに、次の時間は授業が入っていない、完全な空きコマだった。
(水野先生、か。好都合すぎる。授業がないなら、じっくり楽しませてもらおうか)
太郎は水野の身体を動かし、資料を抱えたまま、一番近くにあった「準備室」のドアを開けた。
中は薄暗く、授業で使う機材や資料が雑然と並んでいる。
普段は人が立ち入らない、完全な密室だ。
ガチャリ、と内側から鍵をかける。
(さて。生徒会長の沙織に関する情報も探りたいが、まずはこの素晴らしい大人の身体を、俺好みに開発してやるとするか)
太郎は水野の細い指先を動かし、かけていたメガネを外して机に置いた。
そして、タイトスカートのファスナーに手をかけ、ゆっくりと引き下げていく。
カサカサとストッキングが擦れ合う音が、静かな準備室に淫らに響き始めた。
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(ふふ、誰も来ないわよね……)
水野の清楚な脳内に、太郎の歪んだ欲望がダイレクトに侵入していく。
彼女自身の真面目な倫理観が「学校で何をしてるの!?」と悲鳴を上げるが、体の自由は完全に太郎のものだ。
スマートなタイトスカートを足元に滑り落とすと、黒いストッキングに包まれた、驚くほどしなやかで肉感的な太ももが露わになった。
二十代半ばの、成熟し始めた大人の女性の肉体。女子高生たちの瑞々しさとはまた違う、芳醇な色気がそこにはあった。
「んっ……」
太郎は水野の細い指先を動かし、ブラウスのボタンを上から順に外していく。
上品なレースがあしらわれたベージュの下着が顔を出し、その中央には、真面目な女教師のイメージからは想像もつかないほど豊満な、見事な谷間が形成されていた。
(水野先生、隠れてこんなエロい下着着てんじゃん。たまんねぇな……っ)
机に背中を預け、水野の自身の両手で、その大きな胸を左右からぎゅっと挟み込むように揉みしだく。
「あ、あんっ……ふぁ……ッ」
準備室の冷たい空気の中で、水野の艶っぽい喘ぎ声が小さく響いた。
自分の意思とは関係なく、いや、むしろ太郎の精神がもたらす背徳感によって、水野の身体はまたたく間に熱を帯び、敏感に反応していく。
ストッキングのウエスト部分に指をかけ、じわじわと引き下げながら、太郎は水野の記憶の引き出しを乱暴に漁り始めた。
ターゲットである生徒会長・沙織の情報を抜き出すためだ。
(生徒会長の沙織……。水野の記憶だと……あぁ、なるほど。臨時の英語スピーチコンテストの指導で、今日の放課後、1対1でこの準備室に呼んであるのか!)
指先をさらに下へと進め、大人の女性としての最もデリケートな部分へと触れさせながら、太郎は水野の口元を歪めてニヤリと笑った。
脳に駆け巡る強烈な快感に、水野の身体がビクビクと歓喜の痙攣を起こす。
「あ、はぁっ……んんぅ……っ!」
(放課後、この部屋にあの生徒会長がやってくる……。最高の舞台が整いすぎてるだろ。水野先生の身体で沙織を指導しながら、どうやっておもちゃにしてやろうか……!)
太郎は水野の身体をこれでもかと愛撫し、大人の女教師の極上の快感を骨の髄まで貪りながら、放課後に訪れるであろうさらなる楽園のシナリオに、胸を激しく躍らせていた。
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「んぁっ……あ、はぁ……ッ!」
指先が最奥の果実に深く触れるたび、水野の身体は弓なりに弾け、つま先までピンと強張った。
真面目な女教師の肉体が、学校の準備室という神聖な場所で、自らの指によって未曾有の絶頂へと導かれていく。
(くぅーっ、大人の身体は感度が出来上がってて最高だな!)
太郎は水野の脳内に溢れる極上の快楽物質をこれでもかと貪り尽くし、彼女の可愛い口から漏れる「あん、あんっ」という淫らな声を特等席で楽しんだ。
やがて、強烈な痙攣とともに水野の身体がガクガクと震え、本日最初の一回目の絶頂を迎える。
「はぁ、はぁ、はぁ……っ」
机にぐったりと突っ伏し、荒い息を吐き出す水野。
その濡れた瞳には、自分の身体が勝手に快楽に溺れてしまったことへの、言葉にできない屈辱と快感が混ざり合っていた。
太郎は余韻に浸りながらも、すぐに水野の衣服を整え始めさせた。
放課後、あの生徒会長の沙織がここへやってくる。
その本番に向けて、まずは完璧な「水野先生」の姿に戻しておかなければならない。
ストッキングを履き直し、タイトスカートのファスナーを上げる。
ブラウスのボタンを一つずつ丁寧に留め、乱れた黒髪をサッと手櫛で整えてから、机の上のメガネをかけた。
(よし、これで見た目はどこからどう見ても、知的で厳格な水野先生だ)
放課後のチャイムが鳴り響くまで、太郎は水野の身体を借りて、大人の女性としての優雅なティータイムを楽しみながら、じっくりと作戦を練ることにした。
(生徒会長の沙織。あのプライドの高そうな美少女が、担任でもない英語教師に呼び出されて、1対1で指導を受けるわけだ。先生の言うことは、絶対だよなぁ?)
時計の針が進み、ついに放課後を告げるチャイムが校内に鳴り渡る。
それから数分後。
コンコン、と準備室のドアが控えめにノックされた。
「水野先生、失礼します。沙織です。スピーチコンテストの指導をお願いしに参りました」
ドアの向こうから聞こえてきたのは、あの廊下で聞いた時と同じ、凛とした涼やかな声。太郎は水野の顔に妖艶な笑みを浮かべ、声を整えて答えた。
「ええ、入ってちょうだい、沙織さん。待っていたわ」
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「失礼します」
静かにドアが開き、生徒会長の沙織が準備室へと入ってきた。
放課後の夕日が窓から差し込み、彼女の美しい黒髪をオレンジ色に染めている。
ブレザーの制服を乱れなく着こなしたその佇まいは、相変わらず非の打ち所がない。
「よく来たわね、沙織さん。さあ、そこに掛けて」
太郎は水野の落ち着いた声でそう言って、机の前の丸椅子を指差した。
「はい。お時間をとっていただき、ありがとうございます」
沙織は小さく一礼して椅子に腰掛ける。
彼女が動くたびに、上品な石鹸のような、そして少女特有のみずみずしい甘い匂いが、狭い準備室の中にふわりと広がった。
(くぅー、やっぱりいい匂いだ。これだけでも飯が三杯は食えるな……)
太郎は水野の身体を動かし、指導用の資料を手に取ると、わざと椅子の横ではなく、沙織のすぐ背後にそっと回り込んだ。
「まずは、昨日渡しておいた原稿の最初から発音を見ていきましょうか。読んでみて」
「わかりました。……"Ladies and gentlemen, it is a great honor to…"」
沙織が流暢な英語でスピーチを始める。
その真剣な横顔、規則正しく上下する豊かな胸元を、太郎は水野の目の位置からじっくりと見下ろした。
そして、わざとらしく沙織の肩に手を置く。
「あ、ちょっと待って、沙織さん」
「……っ? はい、何でしょうか、水野先生」
触れられた瞬間、沙織の背筋がかすかに強張った。
太郎は水野の細く柔らかい指先で、沙織の制服越しに、その華奢な肩をゆっくりと揉むようにして物理的に距離を詰める。
水野の胸が、沙織の背中に優しく押し当てられる距離だ。
「少し肩に力が入りすぎているわ。英語のスピーチは、もっとリラックスして、お腹から声を出さないと。ほら、ここを意識して?」
そう言いながら、太郎はもう片方の手を沙織の前に回し、彼女のキュッと引き締まったお腹のあたりに、そっと手のひらを添えた。
「あ……先生、あの、近い、です……」
沙織の凛とした声が、かすかに狼狽を帯びて震える。まさか尊敬する女性教師が、指導にかこつけてこんな風にボディタッチをしてくるとは夢にも思っていないのだろう。
うなじがほんのりと赤く染まっていくのが見える。
「あら、これくらい普通よ? 1対1の特別指導なんだから、これくらい密着しないと細かい息遣いまで教えられないわ」
太郎は水野の顔で妖艶に微笑み、お腹に当てた手を、わざとらしく少し上へと滑らせ、沙織のアンダーバストの境界線あたりを指先でなぞるように触れた。
「んっ……っ、先生……?」
沙織の瞳が、驚きと戸惑いで大きく揺れる。
太郎は水野の身体を通じて、沙織の無防備な体温と、その奥にある確かな戸惑いを感じ取り、ゾクゾクとするような優越感に浸っていた。
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「……先生、あの、指導……ですよね?」
沙織の震える声は、拒絶というよりも、先生に対する崇拝心と、目の前で起きている「異常な状況」への混乱で揺れていた。
彼女にとって、水野先生は厳格で憧れの存在。
その先生が、指導にかこつけて肌をなぞり、吐息のかかる距離で密着しているという事実に、彼女の論理回路はショート寸前だ。
太郎は水野の身体を通じて、沙織の肩から伝わってくる強張りと、その裏側に隠された「女としての反応」を鋭敏に感じ取っていた。
(プライドが高くて、いつもキリッとしてる生徒会長が、こんなに簡単に動揺してやがる。最高に可愛いな)
太郎は水野の口元を緩め、さらに沙織の耳元へと顔を寄せた。
水野の長い髪が沙織の頬をくすぐる。
「指導よ、もちろん。でもね、沙織さん。スピーチコンテストの成功のためには、精神的なリラックスも必要なの。ねえ、もっと力を抜いて……」
そう囁きながら、太郎は沙織の腰に回した手を、今度は少しだけ強引に、スカートのウエストベルトの辺りへと這わせた。
指先が制服の硬い布地を押し、その下の柔らかな肉の感触を確かめる。
「ぁっ、せ、んせい……っ」
沙織の唇から、こらえきれない吐息が漏れる。彼女は反射的にその場から立ち上がろうとするが、太郎は水野の力で彼女の肩をぐいと押さえ込み、椅子へと縫い留めた。
「逃げないで。……ねえ、沙織さん。実は私、ずっと見ていたのよ。生徒会でのあなたの頑張りも、その……誰もいないところで隠している、あなたの本当の気持ちも」
太郎は水野の顔で、あえて「すべてお見通しだ」というような、悪魔的な笑みを浮かべる。
「本当の、気持ち……?」
「そう。厳格な生徒会長として振る舞う裏で、本当は誰かに甘えたいんじゃないかしら? 誰かに、もっと無茶苦茶に、あなたの理性を壊してほしいんじゃないの……?」
太郎は沙織の顎を指先でクイと持ち上げ、無理やり自分の方を向かせる。
水野のメガネの奥から放たれる太郎のギラついた視線に、沙織は抗うこともできず、ただ濡れた瞳で見つめ返すことしかできなかった。
(よし、理性のタガはもう外れかけてる……。ここからが本当の指導の始まりだ)
準備室の静寂の中で、太郎はゆっくりと水野先生のブラウスのボタンへと手を伸ばした。
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「先生……それって、どういう……っ」
沙織の瞳に、明らかな恐怖と、それを上回るほどの抗えない色気が混ざり合う。
太郎は水野の身体を使い、みずからブラウスの胸元を大胆に開き、レースの下着とそこに収まりきらない豊かな果実を沙織の目の前に突きつけた。
「百聞は一見に如かず、よ。英語の指導の前に、大人になるための特別なレッスンをしてあげる」
「あ、あぁ……っ」
沙織の視線が、水野の剥き出しになった大人の色香に釘付けになる。
その隙を逃さず、太郎は水野の潤んだ唇を、沙織の初々しい唇へと一気に押し当てた。
「んんっ!? ――んぅっ、は」
驚愕に目を見開く沙織。
しかし、水野の熟練した舌が強引に口内へと侵入すると、沙織は頭が真っ白になったように、小さく鼻を鳴らして脱力した。
太郎は水野の身体を通じて、少女の甘い密を貪りながら、空いた手で沙織の制服のボタンを一つ、また一つと外していく。
(最高だ! 生徒会長の初めてを、この憧れの女教師の身体で奪い尽くしてやる!)
沙織のブレザーが肩から滑り落ち、白いブラウス越しに、まだ発展途上ながらも形の良い胸の輪郭が露わになる。
水野の指先がその果実を優しく、しかし確実に捉えた瞬間――。
キーーーーン……。
「……っ!? クソッ、またこれかよ!!」
脳を突き刺すような最悪の電子音が響き渡り、視界が急激にブラックアウトする。
沙織の柔らかい唇の感触も、準備室の夕日の光も、すべてが高速で遠ざかっていく。
「待て! まだだ! まだこれからなんだよ……っ!!」
太郎の魂は、またしても絶頂の快楽を目前にして、次元の裂け目へと容赦なく引き摺り下ろされた。
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「はぁ、はぁ、はぁ! ふざけんな、何でだよ!!」
太郎は自室のベッドで跳ね起きると、狂ったように叫んだ。
首筋には冷や汗が流れ、心臓が爆発しそうなほど高鳴っている。大人の水野先生の身体で、あのプライドの高い生徒会長をまさに堕とそうとした瞬間。
あそこからの強制終了は、精神が狂いそうになるほどの生殺しだ。
「まだだ、まだ間に合う! 10分……いや、まだ10分も経ってねぇはずだ!」
太郎はデスクに這いつくばるようにして引き出しを開け、転がり出た琥珀色の小瓶を掴み取った。キャップを歯で噛みちぎり、中身を喉の奥へ流し込む。
「今度はあの生徒会長だ……ッ! 沙織の身体に入って、あの女教師を……!」
世界が反転する。
夕暮れ時の女学院。
太郎の霊体は風を切り、数分前までいたあの校舎の特別棟、準備室のドアへと猛スピードで突っ込んだ。
物理的な扉をすり抜けて中へ侵入すると、そこには、太郎の予想通り気まずそうな沈黙に包まれた2人がまだ取り残されていた。
水野先生は、はだけたブラウスのボタンを震える手で留め直しており、その顔は羞恥と混乱で真っ赤に染まっている。
一方の沙織は、乱れた制服の襟元を押さえたまま、床の一点を見つめて完全にフリーズしていた。
(よし! 記憶の書き換えのせいで、2人とも『自分たちが理性を失ってキスを交わした』と思い込んでやがる!)
太郎は、丸椅子に座って呆然としている沙織の背後へと回り込み、その華奢な背中に向かって一気に憑依した。
ドクン、と心臓の鼓動が重なる。
次の瞬間、太郎の意識は生徒会長・沙織の肉体へと完全に入り込んだ。
(おぉ……ッ、これが生徒会長の身体……! 莉奈や水野とはまた違う、めちゃくちゃにきめ細かくて瑞々しい肌、それに……良い匂いが内側から漂ってきやがる!)
沙織の脳内は、今しがた「尊敬する先生とキスをしてしまった」という背徳感と自己嫌悪で完全にパニック状態だった。
太郎はその混乱を力づくでおさえ込み、沙織の身体の主導権を完全に掌握する。
そして、わざとらしく大きく息を吸い、顔を上げて水野先生をじっと見つめた。
「……水野先生」
沙織の凛とした、しかしどこか濡れたような色っぽい声が準備室に響く。
「っ! 沙織さん、あの、今のは……」
水野先生はビクッと肩を震わせ、メガネの奥の瞳を狼狽に泳がせた。
大人の教師としてのプライドが、教え子に手を出してしまった(という書き換えられた記憶)によって完全に崩壊している。
太郎は沙織の身体を動かし、ゆっくりと椅子から立ち上がった。そして、怯える水野先生を逆に壁際へとじわじわと追い詰めていく。
「先生。私、生徒会長として、学校の風紀を乱す行為は許されません。……でも、先生が私に教えてくれた『大人のレッスン』、すごく胸が熱くなりました」
「え……? 沙織、さん……?」
太郎は沙織の美しい顔に、冷徹でありながら妖艶な、サディスティックな微笑を浮かべた。水野先生を完全に罠にかけるためのシナリオが、太郎の脳内で完璧に組み上がっていく。
「私、このことを他の先生方に報告するつもりはありません。……ただし、条件があります」
沙織の細く白い指先が、水野先生のまだ半分開いたままのブラウスの胸元へと、今度は「攻め手」としてゆっくりと伸びていった。
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「条件? それは一体、何なの……」
水野先生は、沙織――太郎に憑依されたその身体――のあまりの豹変ぶりに息を呑んだ。
いつもは厳格で、非の打ち所のない優等生である生徒会長が、今は獲物を狙う獣のような妖しげな光を瞳に宿している。
太郎は沙織の華奢な手で、水野先生のブラウスの開いた襟元をさらに乱暴に広げた。
「先生、報告されたくないなら、私に『指導』してください。生徒会長としてではなく、一人の女として、もっともっと私を堕とすような……ね?」
「そんな、ああっ……沙織さん、お願い、そんな目で……」
水野先生の理性は、教え子である沙織の強気な態度と、何より彼女の指先から伝わってくる「支配」の感覚に、抵抗する力を完全に失いかけていた。
太郎は憑依した沙織の顔で、あえて少しだけ恥じらうような、しかし挑発的な表情を作る。
「先生、ご自身から進んで、私の胸、揉んでくださるんですよね? さっき、私の服を剥ぎ取った時のように」
「っ……!!」
水野先生は顔を真っ赤にして絶句した。
記憶にある『自分が沙織を誘惑した』という背徳の映像が、彼女の脳内でフラッシュバックし、羞恥の限界を超えた震えが身体を襲う。
太郎はすかさず、水野先生の震える手を掴むと、そのまま沙織のブラウスの下の柔らかな膨らみへと押し付けた。
「そう……ここです。先生が触れたかったのは」
「ひっ、あ……あぁっ……!」
水野先生の指が、自分の意思とは裏腹に、沙織の豊かな胸をまさぐる。
太郎は沙織の喉から、甘く痺れるような吐息を漏らせた。
(最高だ! ターゲットを籠絡し、自分から触れさせることで精神を自滅させる。これこそが、俺がやりたかった『指導』だ!)
太郎はさらに沙織の身体を密着させ、水野先生の耳元で囁く。
「先生、もっと激しくしてください。さっきみたいに、私が泣いて喜ぶまで」
水野先生は、もはや正常な判断力を完全に放棄していた。
太郎のコントロールする沙織の身体からの甘い匂いと、挑発的な言葉に支配され、水野先生は夢遊病者のように沙織のブラウスを乱雑に脱がし、その肌を貪るように求め始めた。
準備室の空気は、教師と生徒という垣根を完全に消し去り、背徳的な快楽の熱気で飽和していく。
(完璧な罠だ。このままこの女教師を完全に俺の『人形』にして、次は何をさせようか)
太郎は沙織の身体越しに水野の絶頂を見届け、この悪夢のような放課後の続きを、最高に下劣に楽しもうとしていた。
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「ああ、沙織さん……! 私、なんてことを……っ!」
水野先生の手はもう止まらなかった。
沙織の白く瑞々しい肌に触れるたび、彼女自身の倫理観が完全に崩壊していく。
太郎は沙織の身体の奥から突き上げてくる、少女特有の鋭い感度に身悶えしながら、脳内で狂喜乱舞していた。
(くうぅぅ! これだよこれ! 完璧な生徒会長の身体で、憧れの女教師にめちゃくちゃにされる! 最高のシチュエーションじゃねえか!)
「先生……声が小さいわ。もっと、私の名前を呼んで……もっと欲しがって?」
「沙織、さん……沙織さんっ、ごめんなさい、でも……もう止められないの……っ!」
水野先生は完全に理性を失い、沙織の細い腰をソファーへと押し倒した。
大人の肉体が、小柄な少女の身体に覆いかぶさる。
その重みと、ストッキング越しに擦れ合う太ももの熱さに、太郎の精神は極限まで昂ぶっていく。
(よし、ここからが本当の『最後まで楽しむ』ステージだ。あの不快なノイズが来る前に、限界まで貪り尽くしてやる……!)
「先生のその綺麗な指で……私を、もっとめちゃくちゃにして……」
「ええ、ええっ! あなたが、あなたがこんな風に私を狂わせるから……っ!」
水野先生の指先が、沙織の最もデリケートな境界線へと滑り込んでいく。
薄い布地を隔てて触れられた瞬間、沙織の身体がビクンと大きく跳ね上がった。
「んあぁっ! ゃ、はぁ! せん、せい……そこ……っ!」
(やべえ、感度が良すぎる! 水野の時とは違って、身体が若くて敏感な分、快感がダイレクトに脳天を突き抜けてきやがる!)
「沙織さん、可愛い。すごく、可愛いわ……っ」
水野先生は、沙織の濡れた瞳と溢れ出る喘ぎ声に完全に魅了され、我を忘れて愛撫を激しくしていく。
指先が動くたびに、準備室の静寂の中に淫らな音が響き渡り、沙織の身体は何度も弓なりにしなった。
「あ、は、んっ! 先生、すごい……頭が、おかしくなっちゃう、ぉ……っ!」
「私もよ……私もおかしくなりそう、沙織さん、愛してる、ねえ、私を見てっ!」
(ふははは! 『愛してる』だってよ! 真面目な英語教師が、放課後の準備室で生徒会長にガチ惚れしてやがる! この記憶が残ったまま明日を迎えるんだ、どんな顔して教壇に立つか見ものだな)
太郎は沙織の視界を通じて、完全に欲望の奴隷と化した水野先生の歪んだ美顔を見つめ、極上の優越感に浸った。
「先生……キスして……。先生の、全部で私を埋めて」
「沙織さん……」
二人の唇が再び激しく重なり合い、お互いの唾液が熱く絡み合う。
沙織の身体の熱は完全にピークに達し、下腹部から爆発的な快感の波が押し寄せてきた。
今度こそ、今度こそ最後まで――。
(いける! 今回はノイズが来ない。このまま、この身体で、最高の絶頂を――!!)
トドメを刺すように、水野先生の指が最も敏感な部分を強く弾いた。
「――んあぁぁぁぁぁっっ!!! ――ッ!!」
沙織の身体が激しく硬直すると同時に、太郎の脳内に、これまでにない規模の真っ白な閃光が弾け飛んだ。
少女の身体が迎えた初めての、そして強烈すぎる絶頂の波が、太郎の精神を完全に飲み込んでいく。
「はぁ、はぁ、あ、あ……っ」
ガクガクと震えながら、ソファーの上に崩れ落ちる沙織。
その視界の端で、水野先生もまた、背徳感と興奮の限界を迎えてぐったりと身体を重ねてきた。
(やった、やり遂げたぞ! 最後まで、全部俺の思い通りに)
完全な達成感と、泥のような快感の余韻の中、太郎の意識はゆっくりと、しかし確かな満足感とともに、深い闇の底へと沈んでいった。
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「……う、ん……」
次に目を覚ました時、太郎の視界に映ったのは、準備室の天井ではなく、見慣れたタワーマンションの自室の天井だった。
ゆっくりと上体を起こすと、身体の芯に、まだあの少女の肉体が感じていた「消えない熱」の余韻がドロドロと残っている。
手を見れば、もちろんゴツゴツとした40男の自分の手だ。
「やりきった。本当に最後まで、全部俺の思い通りに動かしてやったぞ!」
太郎はベッドの上で、込み上げてくる笑いを抑えきれずに、クスクスと低く笑い声を漏らした。
今までの強制終了とは違う。
今回は完全に、あのプライド高き生徒会長の身体を極限の快楽で開発し、水野先生という大人の女教師の理性を木っ端微調に破壊するところまで見届けたのだ。
「さて、あの2人、今頃どうなってる?」
太郎はベッドから這い出ると、冷たい水を一杯飲み干し、ニヤニヤと想像を巡らせた。
薬の効果による記憶の書き換えは絶対だ。
あの準備室で目を覚ました時、水野先生は『自分が我慢できずに生徒会長を押し倒し、あんな破廉恥な行為を強要した』という罪悪感に苛まれているはず。
そして沙織は『憧れの水野先生に弱みを握られ、身体を開かされてしまった』という、優等生にあるまじき背徳の記憶に震えている。
「明日、学校でどんな顔をしてすれ違うのか。いや、あの2人のことだ、もう互いの存在を意識しすぎて、まともに目も合わせられないだろうな」
他人の人生の歯車を、自分の手で狂わせてやったという圧倒的な万能感。
太郎はデスクに向かい、まだ何本も残っている琥珀色の小瓶を愛おしそうに撫でた。
「これだから、この薬はやめられねぇ」
次は、あの2人の関係がどう崩壊していくかを特等席で眺めるか。
それとも、また別の、誰もが羨むような『高嶺の花』をターゲットにするか。
太郎の歪んだ野心と欲望は、初めて完璧な「成功」を収めたことで、さらに深く、ドロドロとした暗い輝きを増していくのだった。
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昨日の完全な大成功の余韻は、一夜明けてもまったく冷める気配がなかった。
朝、目覚めた瞬間に全身を満たす圧倒的な全能感。
いつもなら億劫なはずの目覚ましが、最高の勝利を告げるファンファーレのようにさえ聞こえる。
「ふふっ……くははッ!」
ベッドの上でひとしきり込み上げる笑いを噛みしめた太郎は、この上ない満足感と心地よい体の火照りを癒やすため、近所の高級サウナへと足を運ぶことにした。
――サウナの静寂の中、熱い蒸気と水風呂の交代浴を繰り返す。
いつもならただの作業になりがちな「ととのう」感覚も、今の太郎にとっては至高のご褒美だ。
目を閉じれば、昨日の準備室での沙織の喘ぎ声と水野の崩壊した表情が鮮明に脳裏に蘇る。
(あいつら、今頃どんな顔して学校ですれ違ってんだろな……)
汗とともに、身体に残っていたわずかな疲労感すらも綺麗に吹き飛び、太郎の精神は完全に研ぎ澄まされていった。
サウナを存分に堪能した太郎は、火照った身体を黒塗りのタクシーに滑り込ませ、自宅のタワマンへと向かわせた。
後部座席のふかふかのシートに深々と腰掛け、車窓から流れる街並みを優越感に浸りながら眺める。
「……ん?」
タクシーが信号待ちで停車した際、ふと窓の外にあった大きめの「屋内テニススクール」の施設が目に入った。
ガラス張りの外壁には、体験レッスンやスクール生募集の大きなポスターがデカデカと貼り出されている。
『爽やかに汗を流しませんか? 初心者大歓迎! 充実のコーチ陣!』
ポスターには、健康的なショートカットにスコート姿で眩しい笑顔を向ける、若くてスタイル抜群の女性コーチの写真。
そして、コートの奥でラケットを構える、いかにも裕福そうなマダムや若い受講生たちの姿が写っていた。
(テニススクール、ねぇ……)
太郎の口元が、無意識のうちにニヤリと歪む。
学校の女教師や生徒会長さえも簡単に手のひらで転がせた今、この平日の昼間から汗を流しているような、無防備で健康的な女たちもまた、太郎にとっては魅力的な「次のターゲット」にしか見えなかった。
(スポーツで汗をかいた後の、あの火照った身体に潜り込むのも……かなり面白そうじゃないか)
タクシーが再びゆっくりと走り出す中、太郎は車窓から遠ざかるテニス場をじっと見つめながら、すでに次の「プレイ」の構想を練り始めていた。
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タワマンの自室へと戻った太郎は、タクシーの車窓から見かけた光景を思い出し、胸を躍らせていた。
「テニススクール、か。運動後の火照った肉体なんて、また違った味わいがありそうだな」
デスクの引き出しから琥珀色の小瓶を一本手に取り、躊躇なく一気に煽る。
胃の腑を焼く独特の熱が全身を駆け巡り、太郎の意識は軽々と肉体を離脱した。
幽体となった太郎は、そのまま一直線にあの屋内テニススクールへと向かい、壁をすり抜けて施設内へと侵入する。
ターゲットを探して校内を滑空し、たどり着いたのは――重厚な扉で隔てられた「女子更衣室」だ。
扉をすり抜けると、そこはまさに楽園だった。
「ふぅー、今日のレッスンも汗かいたわね」
「コーチ、今日のサーブの指導すごく分かりやすかったです!」
レッスンを終えたばかりの女性たちが、汗を拭いながら着替えを行っている。
ポスターで見かけた、ショートカットに健康的でキュッと引き締まったスタイル抜群の女性コーチ。
上品な仕草で汗を拭く、洗練された色香を漂わせる美魔女風の主婦。
ブランド物のウェアに身を包んだ、優雅でお金持ちそうな裕福なマダム。
ハキハキとした声を出しながらウェアを脱ぐ、若さ溢れる若い大学生。
ジュニアクラスのレッスン終わりなのか、母親の横で可愛らしくおしゃべりしている小学生の少女。
(おいおい……マジでよりどりみどりじゃねえか!)
汗の匂いとシャンプーの香りが混ざり合う密室の中で、太郎の霊体は歓喜に震えた。
スポーツ後の健康的な肉体、無防備に晒される素肌、そしてそれぞれの立場や年齢が織りなす多様なグラデーション。
(生徒会長と女教師の次は……さて、誰の身体に入り込んで、この楽園を存分に楽しんでやろうか)
太郎のギラついた視線が、更衣室に集う獲物たちをじっくりと品定めていく。
4a38ca18 No.3950
しかし、太郎のよこしまな「他人」の身体を使っての誰かの人生を歪ませるその悪行の数々は長くは続かなかった。これまで数々の女性に憑依する•してきた悪行の数々は「観測者」の目に留まる結果となった。「憑依薬」を用いた憑依にも確実にデメリットは存在していたことを、太郎は知らず知らずのうちに自らが招いていたことにまだ太郎自身は気付かなかったのだった。そして、太郎の霊体がまさに誰かに憑依する女性たちの身体にも不可侵の障壁がいくつも張り巡らされる結果となり、太郎の憑依を徹底的に拒むのと同時に、太郎が憑依しようとする全ての女性たちがまがい物に変わっていくのも時間の問題だった。
4a38ca18 No.3951
「観測者」はまず、太郎が憑依した女性たちの記憶を一部修正し始めていった。太郎に犯された数々は少し時間がかかってしまったが、太郎に憑依される前までの状態にかろうじて身体の状態を戻すことに成功した。「観測者」は太郎が霊体から生身の肉体に不可逆をかけていくのと同時に、もう誰かの人生を狂わせることがないよう、「憑依薬」とその悪行を闇に封印•葬り去ったのだった。
4a38ca18 No.3953
「観測者」と被害者である女性たちは太郎の存在を許してはいない犯罪者として見ていた。故に太郎の肉体と霊体ごと次元の彼方へと追放することにした。また、太郎以外の他の男が今回の薬を用いた他者への憑依も、徹底的に通達され、2度とサイトから販売がされなくなったのだった。
4a38ca18 No.3954
太郎の霊体と肉体は何かの力によって何重にも封印を施され、身動きひとつとることすらできずに、次元の彼方でもがき苦しむ地獄の日々を送ることしかできなくなっていた。あの名門女学院へ滑空することも、あらゆる全ての女性•男性に2度と憑依して、誰かの人生を歪ませることがないように、と、そうあるべき事を願って。
4a38ca18 No.3955
「観測者」は太郎の憑依を受け入れてしまった被害者たちの女性と、加害者になりえてしまった者たちにことのあらましを全て包み隠さず話し終えると、再びやみに紛れて消失していった。名門女学院でかなり長く太郎の干渉を受けすぎてしまった、莉奈(りな)や、水野先生、生徒会長の沙織(さおり)も、その被害者たちのひとりだった。
29d34a47 No.3957
しかし、すべてが「観測者」の介入によって断ち切られたかのように思えたその裏で、狡猾な太郎は最悪の保険をすでに仕込んでいた。
「観測者」がどれほど高次元から世界を監視し、薬を闇に葬ろうとも、狂気に取り憑かれた男の執念は想定の斜め上を行っていたのだ。
――数日前。
太郎は、あの琥珀色の小瓶の量産や流通経路の遮断だけでは不十分だと本能的に察知していた。
もし万が一、自分が窮地に陥ったとき、あるいは全ての記憶や力が消去されそうになったときのための「絶対のバックアップ」。
それこそが、自らの生命力、すなわち「自分の血」をあの薬に混ぜるという禁忌中の禁忌だった。
血を混ぜて作り上げた特製の血塗られた憑依薬。
それを太郎は、同じマンションに住む、夫が単身赴任中で常に孤独を持て余していた美人の人妻に、巧みな言葉と偽りの優しさで「美容とリラックスのための特別なサプリ」と称して密かに飲ませていたのだ。
「観測者」が太郎の肉体と霊体を次元の彼方へ封印し、すべての被害者の記憶を整え、サイトを消し去った――そのはずだった。
しかし、次元の歪みの向こう、身動きひとつできない地獄の苦しみの中で、太郎の意識の端が、突如としてピクリと反応した。
(……っ!? なんだ……? この感覚は……まだ、切れてねぇ……!)
「観測者」の想定外。
太郎の血が媒介となったことで、彼女の肉体と太郎の精神の間には、次元の壁を無視して繋がる「生体アンテナ」のような呪縛がひそかに形成されていたのだ。
観測者の目の届かない、マンションの一室。
静まり返ったリビングで、美人の人妻は突然、頭を押さえてよろめいた。
「っ……頭が……急に、熱い……?」
彼女の瞳孔がみるみるうちに開き、その意識の深層へと、次元の彼方にもがく太郎のドロドロとした狂気と意識が、血の繋がりを伝って逆流するように侵入していく。
「あ……あああ……っ!」
「観測者」が完全に封じ込めたはずの悪夢の歯車が、太郎の仕込んだ最悪の予防策によって、再び音を立てて狂い回り始めたのだった。
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………最悪の結末が引き起こされることは、「観測者」も実は想定内だった。だが、太郎が執念深い存在であるのかは否が応でも既に熟知していたし、「まぁ、この男のことだ。そんな簡単に終わらせるわけがないよな」と呆れているのもまた想定内だった。表立たず秘密裏に「観測者」はあらゆる事態を見越して確実に根絶するべく、密かに行動を開始するのであった。
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太郎の悪あがきともとれる禁忌も、ちん入者のしわざにより未然に防がれることとなった。くだんの人妻も、ただ激痛が走るのみで、憑依という介入も意味をなさなくなった。ちん入者たちもその他のものも、次なるこうかつな男の動向を注視するべく、迅速に行動を開始するのだった。
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太郎の憑依を強制解除するあの不快な音。たとえ、オフにされていようとも、太郎が•他者の•身体で、記憶を読み取りどんなに介入しようとも、絶対に防ぐことができないあれも、「観測者」他のちん入者たちらによる不可視の未知なる力によって、強固な守りになっていた。何度封印しても確実にはびこる以上、太郎そのものをどの世界からも存在を消滅させる方向で、運命が狂った歯車を修正しようとしていた。
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次元の彼方に追いやられた太郎の元には、これまで太郎が「憑依薬」を介してリンクした女性たちがずらりと並んでいた。しかし太郎を見つめるその瞳には、生気がなくどこか虚ろな虚像のようにも見えていた。
誰かと繋がり、誰かの人生を食い物に狂わせるほどの驚異的だったはずの太郎の存在はかなり食いげのある小さな価値だったのだろう。
人の形をした女性たちがドロドロにただれて溶けていく。太郎の身体に備わったあらゆる部位を無数の女性たちだった「モノ」が圧倒的な物量で押し寄せ、憑依して逆に支配下におこうとする太郎の企みを、ことごとく打ち破っていった。そうしてかろうじて残されたのは、太郎の魂でも、意識でも、肉体でもなく……… 、太郎の「モノ」だったおちんちんだけだった。太郎のおちんちんを愛おしそうに、握りしめた女性たちだった「モノ」はまた静かにどこかへとひっそりと姿を消していくのであった。 ※ 太郎のおちんちんには、太郎の魂や霊体が憑依できないくらいには不可視の障壁で何重にも張り巡らされて守られています。あしからず。
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「観測者」たちや侵入者たちの徹底した介入により、太郎という存在はその魂すらも粉砕され、己の一部であった「モノ」だけを残して次元の彼方へと消滅した。
世界は歪んだ歯車を修正し、かつての平和と日常を取り戻した……はずだった。
だが、太郎という異物が世界の法則を汚した痕跡は、完全には消し去れていなかった。
血を混ぜた薬を飲まされたあの人妻の身体の中で、激痛とともに死滅したはずの「太郎の因子」。
それは憑依という形をとることは二度とできなかったが、微小な不純物として彼女の細胞の奥底、そして彼女が日常で触れる周囲の「情報」へと、静かに、しかし確実に溶け込んでいったのだ。
バタフライエフェクト。
ほんのささやかな異物の混入が、因果の風に乗って巡り、回り、巡る。
誰も気づかないほど小さな、本当に小さな変化だった。
だが、その「あるきっかけ」は、世界が日常を取り戻してから数ヶ月後、思いもよらない場所で訪れた。
――名門女学院。
太郎の干渉から解放され、元の厳格で気高い日常を取り戻したはずの生徒会長・沙織。
彼女はある日の放課後、生徒会室のデスクを整理している最中、ふと自分のものではない、見覚えのない「古びた琥珀色のガラスの破片」が資料の隙間に落ちているのを見つけた。
「……何かしら、これ」
「観測者」によって記憶は完璧に修正されていたはずだった。
しかし、その透明な破片を指先でつまみ上げた瞬間――沙織の瞳の奥で、カチリ、と小さな、本当に小さな「歪み」が弾けた。
理由のない、強烈な違和感。
そして、自分の意思とは無関係に脳裏を掠めた、「誰かに支配されることの、理由のない抗いがたい解放感」という、あってはならない思考の芽生え。
太郎という人間はもう存在しない。
霊体も、魂すらもこの世のどこにもない。
だが、彼が遺した「他人の人生を歪め、支配し、堕落させる」という概念そのものが、世界の隙間に落ちた種子のように、今度は誰かに憑依される側だったはずの女性たちの深層心理に、静かに芽を吹き始めたのだった。
沙織はガラス片をそっとポケットに仕舞い込むと、鏡に映る自分の顔を見つめた。
その瞳には、かつての真面目な生徒会長のものとはどこか違う、妖しく昏い光がかすかに宿っていた。
太郎という個は滅びた。
しかし、彼が蒔いた歪みの因子は、今や「新たな狂気」のうねりとなって、静かに校舎の廊下を侵食し始めていたのだった。