6bec458e No.802
我が一族の男にはある呪いが仕掛けられている。
それは「水をかぶると女になる呪い」だ。
俺が……え?有名な作品がある?まあそう言うなよ。
幼い頃からこの体質だったのだが、その事実は爺さんの手によって周囲には徹底的に伏せられた。
常に大きな傘を持ち歩かされ、学校には根回しがしてあったし、万が一女になってしまうと死ぬ程怒られた。
今思えば奇異の目で見られないように爺さんなりの配慮をしていたのだとは思うが、幼い俺にはあまり理解できなかった。
何より男の俺と女の俺ではかなりの体格差があり、変化の際には結構な痛みを伴った事から自然と女体化は避けるべき対象となった。
そんな人生を送るうち、「水に濡れるのはとにかく怒られる面倒事」でしかなかった。