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[R] No.1036
私は死ぬ。
大した財産は無かったので、ろくに好き放題は出来なかったけど、まあ、いい人生だった。 妻には苦労を掛けた。掛けたが、海外旅行に連れていくことも出来たし、「お前のおかげでいい人生だった。」と告げることもできた。 悔いのないいい人生だったんではなかろうか。 悔いは無いが、思い残すことはある。 孫と一緒に見た、アニメ「転生したらスライムでした」の完結編が見られない事だ。 web小説の頃から追いかけていて、つい最近、アニメの第三期があった。アニメはマンガ版が原作になったみたいだけど、web版もマンガ版も、どっちも面白かった。中でも、竜皇女 ミルカ・イコーカの戦闘シーンは圧巻だった。完結編ではどうなるんだろうな。見られないのが残念だ。 「なんじゃお前さん。ああいうのが好きなんか。」 何処からともなくそんな声が聞こえた。 「ヒロインだったら『清美さん』とか『フジバカマ』とか『サクラ』とかもあるであろう?」 誰がこんな話してるんだろう。病院の医師やら看護師にはこんな声の人なんていない筈だし。 仕方ない。私は声の主に話しかける。 |
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[R] No.1037
「いや、『清美さん』も『サクラ』もいいんですけど、ミルカは真っ赤な長い髪とか真っ赤な魔石をあしらった衣装が印象的だったので。好きか嫌いかって言えば、もちろん好きですが。」
良く分からないけど年上の人みたいな気がしたので、孫に対するよりは丁寧に答えてみた。孫もアラサーっていうのになっても嫁も貰わんと。童貞だったら魔法使い一直線だろうになあ。 「そういうもんかの。……だったらお前さん、ミルカ・イコーカに転生してみんか?」 「はっ?」 私は一瞬、呆気にとられた。 「紀律世界っていうか、ミルカ・イコーカって実在するんですか?」 紀律世界っていうのは、アニメ・転生したらスライムでしたの舞台となる世界だ。 「あるよ。」 声の主はいかにも軽く言った。 「儂が管理してる三千近いうちの一つだわな。」 儂が管理してる世界って。 「えええっ!?神様!?」 「そうじゃよ。儂をだれとおもってたんじゃね?」 「いや、なんか偉そうな人だろうなとは思いましたけど……」 「ま、確かにそんなもんじゃろーな。……で、どうじゃ?やってくれるか?」 「それはいいですけど、ミルカ本人はどうなるんです?」 「ん…まだ生まれとらんよ。転生したらスライムでしたの登場人物で産まれてるのは悪魔連中とかドラゴンくらいじゃろ。だから大丈夫じゃ。」 |
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[R] No.1038
「そうなんですね。だったらいいですけど。」
「そうか、やってくれるか!!……転生させる代わりと言ってはなんだが、いくつか頼んでもいいか?」 「なんです?」 「惚れ、あの世界って言うと、召喚して魔物と戦わせる世界じゃろ?あれを辞めさせて欲しいのと、吸血鬼のくせに髪をなのる奴らがいるじゃろ?世界は弱肉強食だから魔物が人間を喰うのは良いんじゃけど、神様を名乗ってそういうことをされるのが不味いんじゃ。」 「はあ。まあ、いいですけど。」 「なんと!やってくれるか!じゃあ、転生させるぞ。」 気が変わっては困るとでも思ったんだろう。私は転生することになった。 |