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[R] No.840

¨ [R] No.943
吹き出物があちこちある丸顔に眼鏡、身長やや低めのちょいデブ、薄緑のセーターにジーパン。だっさいブ男だなと思った。
「まあ、落ち着け。座れ」
 そいつは座った。座っても小デブのブ男なのは変わらない。
「なんだ? なんかの罰ゲームか?」
「違いますっ」
 真っ赤な顔で否定する。嘘つきではないらしい。
¨ [R] No.955
「あなたが、去年は男だったという話を聞きました。だから、最初は興味本位で見ていたんです。でも、とても美しいし、高貴な人だと思って」
高貴? そんな話は初めて聞いた。
「ぼくみたいな男で釣り合わないのはわかっています。でも黙って見つめているのはもっと苦しいんです。それで告白することにしました」
ものすごく真剣な顔つきだった。
その顔を見ていたら、ちょっとからかってやろうと思った。
「うちに来ないか?」
¨ [R] No.958
怪訝そうな顔をしたそいつをオレの住んでいるアパートに案内した。
「男なんだからヤリたいんだろ。童貞君」
そう言って服を脱いで、背中を向けてブラジャーを取って、さてパンツも脱ごうとしたところでそいつが叫んだ。
「こんなんじゃダメです!」
¨ [R] No.961
「ぼくは男ですから、たしかにあなたを抱きたいです。でも、男の人と女の人が、ちゃんとわかりあって、愛し合ってからでないと、こんなことしちゃだめです。あなたは高貴な人なんだから、わざとこんなふうに自分を貶めなくていいんです。服を着て下さい。まず公園です。二人で公園に行きましょう」
剣幕に煽られる形で服を着て、引きずられるように公園に行った。
¨ [R] No.965
それで公園でベンチに横並びに座って話をした。
ちょいデブぶ男は格闘技オタクだった。
自分はどこも鍛えていない体でありながら、格闘技についていつまでも話し続けた。
それでオレはというと、男だった頃にはわりと好きで、何人か有名な人の名前くらいは知っていた。
話しが通じる、と思って嬉しかったらしく、こいつはさらに話し続けて止まらなかった。
¨ [R] No.971
「公園の次は映画です」
恋愛ものがいいですか、と聞くので、アクションがいいと答えた。ちょいデブぶ男もそれが好みだったらしく、終わった後は感想で盛り上がった。
「映画の次は食事です」
お互い金持ちじゃないんだし、ファミレスでいいよ、と言った。あいつは嬉しそうな顔をしていた。不思議なことに会話は結構盛り上がった。オレは、男と普通に会話するのは久しぶりだった。それが割と楽しかった。
¨ [R] No.978
そしてようやく部屋でセックスということになった。
「いいえ、まずキスからです」
歯が当たるようなぎこちないキスだった。
「おい、胸を握るな」
「すみません。つい力が入ってしまって」
やっとセックスだと思ったら、あいつのアレはコンドームをつけているうちに萎えた。
「すみません。緊張してしまって」
「別の日に仕切り直しするか」
それで別な日になると、中に入って来た直後に暴発した。
「まあ、そのうち落ち着いて出来るようになるよ」
まったくなんでこんなブ男を励まさなきゃならないんだろう。
¨ [R] No.982
こいつは決して後背位でやろうとはしなかった。
「男にしてみれば、簡単でいいんじゃねえの。尻まくって入れるだけで」
自分の経験からそう言ってみたが、
「駄目です。あなたの顔を見ながらしたいんです」
それで正常位というやつで、ようやくオレの中に、出し入れ出し入れした後で(ゴム付きで)出した。なんだかオレまで嬉しかった。
 嬉しい、という感情が不思議だった。セックスをして嬉しいと思ったことはなかった。オレはこいつのことを好きになっているのかもしれない。
¨ [R] No.986
というわけで、まだ、ちょいデブぶ男と付き合っている。
美女のオレと並んで歩くと好奇の目で見る奴もいる。そんな時にこいつと腕を組んでみる。するとこいつの顔が焦るのが面白い。
少しずつセックスもうまくなってきた。もう少しでイクのかな、という感じだ。別に焦ることもない。
愛情? どうなんだろう。そいつは少し照れる言葉だ。

昔、バックで犯した処女の女を交差点の向こうで見かけたことがある。
あの時は悪いことをしたかな、と思いながら信号待ちをしていたら、男と待ち合わせだったらしい。以前のオレほどイケメンじゃない男がやってきて、二人でどこかに行ってしまった。
その時の女がとてもいい顔で笑っていた。まあ、いい男をつかまえたんだろう。良かったじゃないか。
そう思って笑ったオレの顔も、いい笑顔だったのかな。
ー終ー

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