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[R] No.750 (16 pts.)

¨ [R] No.795
―モニターの中では、僕がゆあ、みな、みすずと戯れ、激しく身体を絡ませ合っていた。
男であった時の僕が。

モニターには、僕の顔は映っていない。
ただ、欲情に衝き動かされ、男の身体に執拗に貼りついてくる三人の女の顔や局部だけがアップで映っているだけだ。
だがそれは間違いなく僕の視点であり、僕の記憶の中にある光景を映し取っていた。
だからこそ、顔こそ映らなくとも彼女らと絡んでいる男が僕だと分かる。
そう言えば、営業中の店内の様子の動画も、こんなアングル、こんな距離では撮影出来ないだろうというものばかりだったが……

時折、僕の身体が見える―貧相な胸板、毛深い腕やすね、突き出た腹、そして何よりグロテスクな肉の棒……
「ぁぁぁぁ、嫌っ!そんなもの見せないで!」

『どうだ、ええ、いいだろ、うっ……ゆあ……俺のはいいだろ……』
『ああン、きよひこさま……もっと……もっと下さいませ』
『ゆあちゃんだけずるい、私も』
『みなちゃん、ちょっと待って。おもちゃ持ってくるから』
モニターの中では、男だった頃の僕が、ゆあのバニーコートの股間の部分を強引にずらし、その周囲の網タイツを強引に破き、彼女の秘裂を肉棒で貫通していた……

そんな男特有の、デリカシーのない、結合の快楽だけを求めるセックスを目の当たりにさせられ、僕は怖気を覚える。
あんな気持ちの悪いことを……
本当に僕がやっていたの……プリンセスと呼ばれているこの僕が……
信じられない…信じたくない…

繊細な女の快楽と美しさは、女でないと分からない。バニーガールの素晴らしさは、バニーガールになった身にしか理解出来ない…
それが分かってしまった今、僕は画面の中で繰り広げられている男女のセックスに激しい違和感を覚え、その男が自分であるという事実に心を抉られるような痛みを覚えていた。

レズセックスこそが至高なのに、百合だけが純粋な愛の形なのに……
なによりゆあちゃんが可哀そう。男だった頃の僕なんかに犯されるなんて……
¨ [R] No.796
【そうかしら?画面の中のゆあの顔をよく見てごらんなさい】

突然、頭の中で声が響いた。
え?と思うが、僕の身体を三人のバニーガールが貪っている今、身体を動かして声の主を探すことも出来ない。

【ふふふ、わたくしはあなたの”耳”に直接語りかけているのです。”耳”とは何のことか、分かりますね?】
声と同時に、僕の頭に取り付けられたエナメル皮の疑似耳を、みすずが軽く嚙んだ。身体に電気のような快感が走る。
「ふぁぁぁぁ!」

【ふふ、魔法による衣装を着てバニーガールとなったあなたにとっては、その取り付けた疑似耳はあなたの肉体の延長であり、同時に常に欲情しているバニーガール特有の性感帯でもあるのです。とても感じ易いバニーガールにとって、バニーたる象徴の部位が感じ易いのは当然のこと】-
【そしてその”耳”は、わたくしの声を聞き取るための感覚器でもあるのです】

「あ……あなたはぁ……いった……い……ぃぃぃ…はぁ、耳いいのぉ……どなたな…の……」
【ふふふ、そろそろ分かっているのではなくて? わたくしがブレインダメージのオーナーです】
¨ [R] No.797
#わくわく
¨ [R] No.799
モニターの中で、みすずが何か…今もこの部屋のサイドテーブルに置かれているのと同じものをいくつか持ってきた。

『ゆあちゃんはこれが好きだものね』
激しく男と性交するゆあの両手を取ったみすずは、彼女の純白のバニー用カフスの上から、言葉通りの意味でのカフス―つまり手枷を取り付けた。
黒いレザー製の手枷は既に鎖で繋がれており、ゆあは腕を上半身の位置から動かせなくなった。

『ああん、好きなのぉ!ゆあ、縛られるの大好きぃ!』
とてつもなく大きいゆあのおっぱいが、男が腰を打ち付けるのに合わせて揺れ、ゆあは瞳を潤ませ、拘束されながら犯される喜びに没入している。
ああ、ゆあちゃんが、そんな……
¨ [R] No.800
【いいこと、もう一度よくごらんなさい―ゆあの、あの幸せそうな顔を見て、可哀そうだと言うの?】
―ゆあの広がった唇に、涎が糸を引き、この時の彼女がどれほどの快楽を味わっているのかを示している。

【彼女はバニーガール、女の美と快楽の化身。あの時の、そして今も、彼女はそれを極めようとしているの】
「いいえ、違います…女の子同士の愛こそ……」
―ゆあの頭とそこに取り付けられた疑似耳と真っ白な両肩と両手首を拘束する鎖が揺すぶられ、彼女がどんなリズムに身を委ねているかを表している。

【男でなくなったからこそ分かる?】
「そうです、女の子になったから……」
―ゆあの黒髪がほつれ、蕩けるような笑顔を浮かべている彼女の顔にかかり、汗や涎のため顔の肌に貼りついている。

【ブレインダメージのバニーガールたちは、ふふ、元は男。あなたのようにね。ゆあちゃんもそうだったのよ】
「……え……あ、うそ……そ…そうだった……」
【わたくしの魔法で女にされた男は、みな自分の理想の女性が具現化した肉体になる。男の心の中には、理想の女性像があるものなの。アニマと言うのですけどね】
【男性が、男性として求め続ける理想の女性に、自分がなってしまう、このことの意味が分かりますかしら?】
「ぁぁぁぁぁ……それはまさか……」
【そう、あなたが鏡に映った自分の姿にずっと欲情していたのはそのため。あなたは自分を犯したいのよ―男の欲望を持つ以上、それは否定出来ないわ】
「ちがいます、あたしは女なのぉ!女の子が好きな、バニーガールが大好きな女の子なのぉぉぉぉぉ!」

【ふふふ、あなたは自分が女だから女の子が大好き、自分がバニーガールだからバニーガールが大好き、そういうのね?ナルシストでレズビアン、それがあなただと】
「あ、あ、あ、あなたが本当に……オーナーなら……ナルシストになれと命じたのは……」
【その通り、わたくしですわ。そんな美しい身体を持つあなたが愛し合うべきなのは……】
「お、お、お、お、おんなのこぉぉぉぉ………」
【それは間違いではない。だけど、男性としてのあなたは、今のあなたの肉体を犯したいと思うでしょう……見て、あなたの男性としてのセックスを】

―ゆあのバニーコートの鼠径部が、男のたくましい武器に貫かれ、ぐちゅぐちゅと音を立て、秘所の中では男女の液がかき混ぜられている。
嗚呼、ゆあちゃん……そんな……
¨ [R] No.801
―カメラは再びゆあの顔に近づく。ただでさえ、美しい彼女の顔が悦楽に歪み、この世のものとも思えない美を作り出していた。
【あなたもああなりたくない?】
「!嫌です!絶対嫌!……ふぁぁあ!」

いつの間にか、モニターの中の映像と同じく、みすずがテーブルの上からおもちゃを持ってきていた。
彼女はバニーコート越しに、僕の股間にバイブレーターを押し当ててきた。
小刻みな震動と棒状のもので股間をつつかれる快感に、僕は狂おしい叫びをあげた。

【どう…これでも嫌?あなたは理想の女性の肉体となったことで、自分の肉体に欲情していること、自分に恋していることを自覚し、同時に、女を犯す器官を失った。その代わりに……あなたは犯されるための女の器官を得たのよ。どう……これが欲しいでしょう?】

目の前で、みすずは自分の網タイツの股間の部分を破き、バニーコートの股間の部分を強引にずらして、僕を弄んでいたバイブをそこへと挿入した。
はっとデジャヴが閃き、モニターを見ると、画面の中でもみすずが同じことをしている。
そうだった、あの時は確かにそうだった。すると、次は…

みなが、僕の顔に自分のおっぱいを押し付けつつ、やはりパールローター式のバイブを強引にバニーコートの股間の横から挿入して悶え始めた。画面の中のみなも、同じ振る舞いに及び、
【この子たちは三人とも女の器官での快感を味わっている。あなたは……この快感を知りたくない?】
「はぁぁはぁぁ、あたしは……」
僕は……あたしは……何を望んでいるの?犯されること?犯すこと?犯すための器官などないのに、何を迷うの?
「あ、あ、あ、あたしのきかん、おんなとしてのきかんんんんん……」
画面の中で、いやらしい水分を分泌し、律動しているゆあの、みすずの、みなの、女の器官。

「ぷりんせすさまぁ……イキましょ……」
目の前のゆあがすっかり理性の溶解しきった表情で、下半身を押し付けてきた。
あたしは股間を広げて受け入れる―女の器官での快楽を少しでも得るには、今はこれしかない。

バニーコートを着たままのあたしとゆあが、ハイレグ状のエナメル生地の股間部同士をこすり合わせ、モニターの中では、ゆあがハイレグ状のエナメル生地の股間の横から強引に突っ込まれた男の器官を受けれている。
その違いを除けば、今のこの部屋と映像として再生される同じ部屋で、同じ四人が同じリズムで律動している。

あたしの頭の中は女の器官のことだけでいっぱいだった。
若葉との、バニーコートを着たままでの松葉崩しで憶えたテクニックですら、今のあたしが求める快楽には足りなかった。
バニーの衣装なしで愛し合いたい。裸の器官を愛されたい。

バニーコートに包まれた今の自分の肉体のそれより、あたしはみすずの、みなの、そして映像の中のゆあの女の器官に感情移入していた。

あたしは、さっきオーナーが言った言葉の意味を完全に理解した。
今、あたしはゆあのおまんこに憧れている。
ゆあのおまんこになりたい。ゆあみたいに……
「貫いてぇぇぇぇ!あたしを犯して!犯してくださぁぁぁぁ……」
¨ [R] No.802
【残念ながら、そうはいかないの。あなたのようなプリンセスにはそんなことはさせられないわ】
オーナーは非情に宣告した。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!なんでぇぇぇぇ……なんでそうなるの……そんな……」
画面の中で、みなとみすずが左右から男だった頃のあたし……いや、きよひこの肉体にしがみつき、四人がひと固まりとなって快楽を共有し始めた。
それに合わせ、目の前のみなとみすずも同じ姿勢を取り、あたしの耳を両側からなぶり、あたしのおっぱいを両側から夢中になって揉む。

「はぁぁぁぁ、ぷりんせすさま、私イキますぅぅぅ…」『はぁぁぁぁ、きよひこさま、私イキますぅぅぅ…』
目の前と画面の中のゆあの声がシンクロする。
ゆあがひと際ダイナミックに身体を揺らし始め、ついに抑えきれなくなったか―それともこれも魔法によるものか―ゆあのバニーコートの胸の部分が巨大な乳肉の山体崩壊に屈し、とんでもないサイズの彼女のおっぱいがまるごと露出した―

記憶がフラッシュバックする-あの時、この興奮に耐えきれず、男だったあたしはイッてしまった。
画面で見るだけでは伝わらない筈のショックが、自分自身の記憶として完全に再生され、ゆあの膣内に全力で射精した時の興奮が蘇ってきた―
だが、既にそうするための器官は、いまのあたしにはない。

―画面の中では、ぐったりとなったきよひこはゆあの身体を離れて倒れた。
ここで視点はきよひこのものではなくなり、ゆあの姿を映し出した。
その顔は、頭脳の奥の奥まで快楽により破壊し尽くされた、呆けた表情を晒し、結合を解いてもまだがに股に構えているその股間からは、白濁した汁が溢れ出ている。
足を開き、足の裏を合わせるように両膝を折ったその姿勢の故、股間の近くに来ているゆあの黒エナメルのハイヒールが、彼女の女性器から流れ出てきた白い液で汚される。

ああ、あたしも汚されたい……その思いがあたしの女の身体を後押しし、あたしもイった。
「はぁぁぁあぁん、ゆあちゃん、ゆあちゃ………いいのぅ!」
¨ [R] No.803
#いいなこれ
¨ [R] No.804
映像は終了し、モニターはブランク状態となった。
あたしは一度は達したが、身体という以上に心が満足出来なかった。
女の器官を貫かれたい。
この美しい顔を、身体を汚されたい……ゆあみたいに。

あたしは、ここにはいないオーナーに哀願した。
「お願いですぅぅぅ、オーナー……あたしを……あたしを……お店に出してください……お客様にご奉仕させてくださぁい……」

【先も言った通りです。プリンセスにはそんなことはさせられない】
あたしは絶叫した。男に犯されるためなら、何でもする。
「なんで!なんでなんですか!あたしをバニーガールに変えたのは、お店で働かせるためでしょう!」

だが、そこで一度イったゆあたち三人がぬるりと立ち上がってきた。
「プリンセスさま……」
まだ満足していないということでは、彼女たちも同じらしい。またも三人がかりで抑え込まれてしまう。
そしてバニーコートの上から愛撫が再開された。
バイブでの股間への責めも含まれるが……バニーコートをずらして挿入はしてくれない。
¨ [R] No.805
【あなたは特別なの。他の子たちの場合は、わたくしの魔法で、その理想とする女性の身体に変えてあげただけ、優雅にして淫乱なバニーガールとしての精神と振る舞いを教え込んであげただけ。でもあなたの場合は”資格”があったの……プリンセスとしての”資格”が】

”資格”?紫さんもそんなことを言っていた?何のことなの?

【わたくしは”資格”に合致する魂の持ち主をずっと探していたのです。あなたの女性化したその姿が、その”資格”の証拠。ずっとわたくしが求め続けていた魂の持ち主は、わたくしが求めていた肉体へと変化した……】
ハチミツの皿を延々と舐める子犬か子猫のよ
うに、ゆあたちはあたしの身体を素肌と言わず、衣装の上からと言わず、舐め尽くしていく。

【プリンセスは、他のバニーガールたちにとって貴重な栄養源……プリンセスの、それも特に性的に興奮している時に放たれるオーラとフェロモンは、ブレインダメージのバニーガールの美と淫奔さを増し、若さを保ち、魔法による洗脳を更に強化するのです。こうして常にあなたとバニーガールたちを愛し合わせるのも、常時、世話係をやらせているのも、そのため】

衝撃に目がくらむ―「え……それじゃ……」

【ブレインダメージのバニーガールたちは、世の男性たちを集めるために用意された餌であり、お客様に奉仕する娼婦たち……そしてブレインダメージのプリンセスとは、バニーガールをバニーガールとして維持し向上させるための餌であり、彼女たちのための娼婦】

「いやぁぁぁぁぁ!」

そんな餌であるあたしを食らうべく、ゆあたちはあたしの上にのしかかってくる。
快楽により頭脳を焼かれ、一切の理性も羞恥も喪失したとしか思えないバニーガールたちの表情を見て、あたしは”ブレインダメージ”という店名の意味を初めて悟った……
¨ [R] No.811
あの日から、あたしの生活は一変した。あたしの求めるものは全く変わった。

もう自分が女であることを疑う、迷う、躊躇う気持ちは微塵もない。

あたしは女。いやらしい女。性欲に支配された女。この世で最も美しい形に刻まれた淫肉。

そう…あたしは男を求めている。

この美しすぎる、感じ易すぎる肉体に変えられたからには、性欲に焦がされ、男を求めるのは必然。
そして、理想の女を求めるきよひこの性欲が、きよひこをあたしという形に変えた。

この円環……この残酷な円環にあたしを閉じ込めたオーナーさまへの恨みとこの美しく洗練された肉体を与えてくださったオーナーさまへの感謝の両方で、あたしの頭の中は煮えたぎっている。

バニーガールの中に混じっての生活も、あんなに甘美な体験と思えたものが、俄然色あせたものにしか感じられなくなってしまった。

バニーガールであることは好き……でも他のバニーガールの子たちは、仕事で男と遊んでいる。男とセックスしている。
だけど、あたしにはそれは許されない。プリンセスだという理由で。

そんな馬鹿な、こんな苦しいことがあるなんて。
他のバニーガールへの嫉妬で、気が狂いそうになる。
それなのに、あたしは他のバニーガールたちとレズセックスしなければならない。プリンセスだという理由で……
¨ [R] No.812
あてつけのように、トレーニングのために見せられる映像も、仕事として男に奉仕し、男に抱かれるバニーガールたちのものが一気に増えた。

それを見ながら、あたしは懸命にバニーコートの上からオナニーをする。
だが、肌に直接触れずに慰めたくらいでは、マグマのように煮えたぎる性欲を鎮めるには到底足らない。
自室のベッドの上で、身体をくねらせ、それを鏡で見せつけられる…
またブレインダメージに囚われた当初の頃に戻ってしまった。

もう他のバニーガールたちでは、慰めにならない……
だが、そんな性欲で脂ぎっている今のあたしは、あたしのフェロモンを養分とする他のバニーガールにとっては、今まで以上に美味らしく、更に愛おしく慕ってくる。
そんな子たちを憎む訳にはいかず、何とか平静に接しようとするが、嫉妬の思いとの板挟みとなってしまう……
嗚呼…早く犯されたい……男に汚されたい……

「今夜のトレーニングになります。いらして下さいませ」ドアをノックする音と紫の声。

ああ……またいやらしい映像を見せつけられるのか、いやらしい映像自体は観たい。だが、それだけで終わるのはつらい。

連れ立って廊下へ出ると、紫は冷ややかな表情であたしに言う。
「プリンセスは優雅たれ、お忘れですか?」
¨ [R] No.813
まさに優雅さを、余裕ある美しさを失っている今のあたしは、恥ずかしさで真っ赤になった。
今まで何度も女らしい態度を称揚されて、恥ずかしいようなくすぐったいような思いをしたが、これは純粋に誇りを切り裂く恥ずかしさだった―
今のあたしは女であること、美しくあることに誇りを持っているから…

「し……しかたないじゃない……だって……」

「欲求不満ですか?」
あの微妙にサディスティックな口調で、紫はあたしの痛いところを突いてくる。
言葉面だけを取れば童貞十代男子をからかうような紫の口調に、あたしはフラストレーションを爆発させかけた。

「……ブレインダメージの中であたしだけ処女だなんて、いくら何でも不公平よっ!しかも……しかも、そんなあたしだけ……そんなあたしだからこそ、みんなの舐めるキャンディ扱いで……」

思わず泣きだしそうになったあたしの肩を抱き、背中を撫で上げ、紫は、あたしを落ち着かせようとする。

「言いましたでしょ?”プリンセスには、比類ない美しさ、その美しさに劣らないほどの、その美しさを引き立てるための高貴さ、己の美しさを自覚し、己自身に恋するナルシシズムが求められる、この矛盾を同居させてこそプリンセスの資格がある”と
「今のあなたは、己自身へ恋する気持ち……オーナーからはどこまで説明を受けられたのですか……そうね……理想の女である自分を犯したい、汚したいという気持ちが強まり、その分高貴さが圧迫されて、バランスを崩しておいでです。
「ですから、女である自分に酔いつつ、高貴な姿勢を保つのが得意なバニーガールのカウンセリングを受けていただきます」
¨ [R] No.819
階下へ降りていき、あたしはフロントから接客ホールに向かう廊下へ出る。
以前、映像に映っていた店のバニーガールたちの写真が壁に飾られている廊下だ。
例の特大サイズの、あたしと若葉の写真も実際に見られるだろうか、と思って、ひとつひとつ写真の前を通り過ぎていく……

あった。
あのサイズの写真、あそこにあたしの写真がかけられているのであれば、あたしにはまだ店に出るチャンスがある―

そこにあるのは、ベッドの上で抱き合うあたしと若葉の写真ではなく、跪いた紫と彼女にハイヒールを履かされている時のあたしの写真。
額の下に添えられたプレートには、変わらず《プリンセスとしもべ》とある。

「ふふ、こうやって飾られるとちょっと恥ずかしいですね」
紫が悪戯っぽく笑う。
「……写真が替わっているけど……」
「プリンセスがお店にデビューするまで、お客様の期待を煽るため、定期的に写真を取り替えていますの。基本的に、私どもとプリンセスが睦まじく絡んでいる写真を……百合営業向きなものをセレクトしていますわ」

その言葉に、あたしは少し複雑な思いを抱いた。
百合はもういいのに。
でも店に出て、男に接することが出来るのだとすれば、これほど嬉しいことはない……
¨ [R] No.820
あたしたちはそのまま接客ホールに入る。

所謂クラブの中枢であり、お客はここで指名したバニーガールと歓談し、相性を確かめ合い、その上で合意が結ばれたら、より上級のサービスを受けるため別室へ移動する。
あたしもお客として足繫く通ったものだが……
照明はいつも通りだが、客がいない。
それでいて、バニーガールが何人…何十人も集まっている。

【今夜の営業は休みです】
いきなり疑似耳の中に直接オーナーの言葉が響き、びっくりしてしまう。
【今夜はあなたの歓迎会も兼ねておりましてよ】
「そ、それは恐縮です……」

あたしが入ってきたのを見て、歓談していたり、自分の仕事をしていたりしたバニーガールたちが一斉にこちらを向いた。
男として普通の生活をしていた時だって、こんなに何十人もの人間から一度に視線が集まることはそうそうなかったから、どぎまぎしてしまう。
あ、ゆあも若葉もいる。セックスした相手からの視線は特に鋭く突き刺さるような気がする……

「こんばんわ、ご機嫌麗しく存じます、プリンセス!」
バニーガールたちが唱和する。
その声には、そしてあたしを見つめる視線には、彼女たちのプリンセスに対する愛情と憧憬と……欲情が幾重にも乗っている。
彼女たちの熱烈な”歓迎”がどのようなものになるかは、容易に予想がついた。

ウェイトレス役のバニーガールたちが、カクテルグラスを載せたトレーを持って回り、バニーガールたちに手渡して回る。あたしの許へも
……
それはかなり長身の、あたしや紫に劣らないくらいの上背のあるバニーガールだった。
靴のヒールもあたしたちと同じ、ということは上げ底ではない。
バニーコートやハイヒールはクラシックな黒だが、ジャケットを着ている。
そう言えば、ジャケットを着たバニーガールは、お客として来ていた頃は時折見かけたが、店の中に入ってからは初めて見る。

「秋姫と申します、プリンセス。お見知りおきを」
「え……ええ、よろしくお願いします…」
【あとで彼女に話を聞いてもらいなさい】疑似耳の中でオーナーの命令がこだました。
¨ [R] No.821
全員にグラスが行き渡ると、全員を代表して、若葉がグラスを掲げた。
「ブレインダメージのプリンセスに、栄光と快楽を!」
「栄光と快楽を、プリンセスに!」

”快楽”という語に、特に強く力のこもった唱和が響き、バニーガールたちは一気にグラスを干した。あたしもワンテンポ遅れて飲み干す。

乾杯が済むと、次から次へとバニーガールたちが押し寄せてきて、名乗っては、あたしの前に跪き、手の甲にキスをする。
ああ、やっぱりプリンセスは愛されているんだぁぁ……

かなりの人数がいるため、この挨拶だけでも相当に時間がかかった―特に、既に情交しているバニーガールたちは、思わせぶりな態度を取って来て、少しでも長くあたしに貼りつこうとするので、その度に滞ってしまう―が、ひと通りの紹介が終わったところで、
【リラックスタイムといきましょう】
オーナーが示唆したが、これはあたしだけでなく全員がそれぞれの疑似耳で命令をキャッチしたらしい。
名残惜しそうな態度の者もいたが、バニーガールたちは会釈してあたしの前から去り、あたしは残された―その横に控える秋姫と共に。

「オーナーからのご指示ですわ。プリンセスのお悩みの相談に乗れ、とのことです。あちらで一杯飲りながら話すとしましょう」
秋姫は視線でバーカウンターへの移動を促し、あたしも彼女に従った。
¨ [R] No.823
バーの向こうに入って酒とグラスを手に取り、カクテルを作った秋姫は、カウンター席についたあたしにそっと差し出す。
「カルヴァドスカクテルです。お気に召していただければよいのですけど」

そう言うと、彼女は自分用にブランデーのロックを一杯作り、バーのこちら側へ戻ってきて、隣の席に腰かけた。

「改めまして、秋姫と申します。バーメイドとバウンサー、あと手が足りないときはウェイトレスも担当しております」

あたしはカクテルを勧められるままに飲む……美味しい!今まで飲んだどんなカクテルよりも。
男だった頃は、酒が強くなかったこともあってカクテルには関心がなかったし、ブレインダメージに来店しても、ボトルの類は形式的にキープしておくだけで、店の子たちが飲むに任せていた。

「まずはお酒でも飲んで、リラックスするのが一番ですわ」
確かに彼女の言う通りかもしれない。思えば、先ほどの乾杯まで、バニーガールになってから全くアルコールを飲んでいなかったし、飲む発想もなかったが、これは意外といい気分転換かもしれない―
とてもナチュラルな態度で、スムーズにバーでの、女同士での会話が始まった―

「私たちバウンサーの仕事についてはどこまでご存じ?」
「バーメイドは、お客様にカクテルとか作ってお出しして、勧める係だけど……バウンサーは……」

バウンサーの仕事は、客として店に通っていた頃も二、三度しか見たことがない。
ひどく酔っぱらう客、他のお客や従業員に乱暴や嫌がらせを働く客、理不尽なことばかり言いつける客を、必要に応じては力ずくででも追い返すバーの用心棒がバウンサーだ。

ブレインダメージのバウンサーは、他の職分のバニーガールとはひと目で区別出来る服装をしている。
つまり、今の秋姫が着ているジャケットを、バニーコートの上から着用するよう義務付けられている。
だから店内のどのバニーガールがバウンサーかはすぐに分かる。
だがバウンサーが仕事をしているところを見たことはごくわずかにしかない。流石にブレインダメージほどの高級クラブでは、バウンサーの手を煩わせるような無粋なお客はあまりいないということか。

だが秋姫は意味ありげに笑った。
「ふふふ、そもそもブレインダメージにバウンサーみたいな職分が必要だと思います?魔法で男を女に変えて、洗脳もしてしまえるのですから、わざわざ女の細腕の力に頼る必要が?」
「い……言われてみれば……」
「ええ、この機会に説明せよとオーナーから言われておりますー実は、ブレインダメージのバニーガールの全員が元男なのではないのです」
「!?」
思ってもみなかった言葉に、あたしは絶句した。
¨ [R] No.828
「ブレインダメージのバニーガールの約一割ほどは女性、そしてバウンサー役は女性バニーガールのみの職分なんです」
「バウンサーが女のバニーガールだけ……」

バウンサーはバニーガールの中でも、一番男に近い存在だ。
つまり、店内の荒事は元男ではなく、敢えて女に任せるのがブレインダメージの方針ということなのか…

「ええ、もちろん元男ではないバニーガールの全員がバウンサーという訳ではありませんよ。他の職分を志望する女性バニーガールもいるのですから。でもバウンサーは全員が女性です
「オーナーは、元男のバニーガールに、男のような乱暴で野蛮なふるまいをさせることを嫌っておられます。それが元男のバニーガールをバウンサーに就けない理由。そして…」
言葉を区切って、秋姫はグラスのブランデーをひと口呷る。そして意味ありげに微笑み、

「ブレインダメージにも女性のお客さまが一定数おられるのはご存じのことと思います」
「ええ……えっ?それじゃ……」
店への払いが賄えなくなったあたしのような男どもが、女性に変えられてバニーガールをさせられているように、秋姫さんたちも…

「バニーガールは可愛くてセクシーで好き、という女のお客さまもおられますし、足繁く通われるうちに、ゲームの負けやレヴューの鑑賞料金の負債が払いきれなくなる方もおられます。そういう方の中で極端にひどいケースの場合は、男性のお客様と同様、魔法によって身も心も当店の従業員になっていただくのですが……
「自分の意志で従業員になりたいとブレインダメージの門を叩く女もいるのです。他の女性従事サービス業と同様に、給料がいいだろうと思って、という方もいるにはいますが、時にそうでないタイプの女の子も混じっています。オーナーが興味を持たれるのは、そういう女性たちです
「自分を変えたい、自分を変える挑戦をしたい、という気持ちのある女性を、オーナーは積極的に採用されるのです。ブレインダメージの従業員になるということは、身も心も変えられることになる訳ですから、気持ちがそちらへ向かい易い女たち、ということでもあります。まぁ、そういう女性は往々にして気が強いものですから、寧ろこうした商売とは水と油になりがちなのですが……」
言外に、魔法による洗脳があることを匂わせつつ、秋姫は続ける。

「そうした芯の強い女こそ、無礼で野蛮な男たちから従業員の淑女たちを守るのに相応しい、オーナーはそうお考えで、特に選ばれた女性のみからバウンサーを登用しておられるのです……そして僭越ながら、私もそのひとりという訳です」

「なるほど……」とあたしは思わず頷いてしまう。
その長身、ジャケットの上からでも分かるがっちりした肩からは、バウンサーを任されるだけの説得力が伝わってくる。
¨ [R] No.829
……あたしの中で、何かが頭をもたげてきた。
しばらく他のバニーガールには抱かなかった感情だ。
ただただ、男に貫かれたい、犯されたいという思いが募っていた最近のあたしだったが……
秋姫さんのような素敵な女性であれば……

「あ……あの…秋姫さんは女性だということですけど……」
途切れがちな口調で、言葉を選びながら、あたしは尋ねる。

秋姫は優しく笑い、「ふふ、好きなのは女の子か男か、ということですか?」
「え、ええ、そうです!……ごめんなさいね、ぶしつけなことを聞いちゃって」

秋姫はもうひと口グラスに口を付けてから、
「好きなのは……両方、かしら。男性にも女性にも恋してますし、性別を超えた恋愛感情もあると自覚しておりますから」
「そ……それは……」

ごくり、と生唾を飲み干すあたしにつられたのか、グラスを呷る秋姫も頬を火照らせ始めた。
彼女の手があたしの手の上に重ねられる。

何故あたしは秋姫にこんなにも心惹かれるのだろう。
ことブレインダメージのバニーガールたちは、あたしを相手にしてはレズビアンということになる。
例えば、ゆあのような、男なしではいられない極端なニンフォマニアであっても、バニーガールたちの憧れにして養分であるあたしを、その心と肉体を蕩けさせて求めてくる。
いや、どのバニーガールもあたしの前では発情した雌猫と化す―肝心のあたしが、他の誰よりも重度のニンフォマニアなのが問題なのだが。

元は男のあたしは、もう身も心も女になってしまった。
女が好きでない訳ではないが、圧倒的に男の方が欲しい。今のあたしの性指向は、一応はバイセクシャルということになるのだろうが、好きなのはどちらかと言えば男だ―問題はそれを与えられないことだが。

他のバニーガールたちは、ヘテロセクシャル寄りかレズビアン寄りかは分かれるだろうが、やはりバイセクシャルだろう。
仕事で男と関わり、プライベートであたしを食べている。彼女たちも、元は男だ。だが……

秋姫は、生まれながらの女性だ。
その心や肉体は、彼女の理想のそれ、そしてブレインダメージの従業員に相応しいそれにいくらか作り変えられているのかもしれないが、純粋な女性である。
性別の変更に伴って、性指向が変わったということがない。
¨ [R] No.830
「ブレインダメージのバニーガールでプリンセスとのお付き合いを望まない者はいません……ですけど、私はそういうところとは別に、プリンセスをお慕いしております。守って差し上げたい、と思いますわ」

”守る”という言葉に、あたしは心を撃ち抜かれる思いだった。
バウンサーである彼女にとって、バニーガールを”守る”ということはとても重要な意味を持つ言葉だろう……

「あ……あたしは……秋姫さんに……守られたいわ……嗚呼……」
あたしは秋姫の手を握り返し、カウンターに肘をついた彼女の二の腕にすがりつく。
そう……女の子って、こんな風に男の子に甘えるんだぁ……

秋姫はグラスのブランデーを飲み干すと、あたしの顎に指をかけた。秋姫の顔が近づいてくる。

秋姫の唇があたしのそれを塞ぐ。
同時に、強烈な刺激を伴うアルコールがあたしの口の中に流し込まれてきて、あたしは一瞬パニックに陥りかけた。
だが、すぐに対処を心得て、それをぐっと飲み下す―
フルーツの甘みを残した女性的な味わいと、強烈なアルコール度数の男性的な押しの強さを併せ持つブランデーは、まさに秋姫のイメージそのままの味、と思った。

「とっても可愛らしい、私のお姫さま……プリンセス……」
今までクールだった秋姫さんの瞳も、少し潤んできている。
アルコールのせいか、それとも……あたしのせい……
「あ……秋姫さん……あたしの王子さま……」

バースツールから立ち上がった秋姫さんが、あたしに手を差し伸べる。とても冷やかで、でもとても優しい秋姫さんの手が、あたしの手を取る。

あたしたちは抱き合い、軽く身震いしながら互いに身体をこすり合わせ、相手の体温と身体の線を確かめ合おうとする。
間違いなく、女性のものと分かる柔らかく繊細な秋姫さんの肉体は、だけどあたしの豊満すぎるほどの肉体をがっしりと受け止めてくれている。
こんなにも女らしいのに、こんなにも頼もしい、こんなにも逞しい……
あたしの感覚の中の女の部分と男だった頃の部分の両方ともが、彼女への欲望と共感を同時に訴えている。

女として、こんな素敵なひとに抱かれたい…きっと秋姫さんもあたしのことをそう思ってくれているだろう。
男として、こんな素敵な女性を抱きたい…男だったことはなくとも、やはり秋姫さんもあたしのことをそう思ってくれているだろう。

気が付くと、人払いをしたように、バーの近辺から他のバニーガールたちの姿が消えていた。
気を遣ってくれたのだろう、あるいはオーナーの指示があったか。
¨ [R] No.831
「プリンセス、踊りましょう」
あたしは無言で頷く。
あたしは秋姫の胸に頭を委ね、二人で手を取り合って、バーのフロアを円を描いて回った。
二人ともハイヒールを履いているが、何の支障もなくターンすることが出来る。

秋姫さんのリードは完璧だった。
レディを支えるジェントルマンとしての力強さも申し分ないのに、自身がレディであることから、あたしのような女の気持ちもよく分かってくれる……

いや、女だからこそ、自分の女らしさに自信を持ち、男らしい装いの中にそれを漂わせることが出来る……

ああ……紫さんが言っていたのはこういうこと……
”女である自分に酔いつつ、高貴な姿勢を保つのが得意なバニーガール”というのは……

ああ……なんて素敵なの。
男とはどういう生き物であるかを身をもって知っている女であるあたしは、安心して王子さまの腕に身を委ねた。

王子さまが、足を止めた。
秋姫さんはもう一度あたしにキスすると、今度はあたしの後ろに回り、両腕をあたしの腰から胸にかけてに這わせてくる。
「プリンセス……好きだ……」

きっと秋姫さんも男になり切って、興奮しているのだろう。
それが却って、彼女の生まれながらのフェミニンを増幅させているのが、その吐息から漏れ伝わってくる。
あたしも、ハリウッド映画の過激なラブシーンを演じる女優のように、片手を背後の秋姫の首に這わせ、腰をくねらせる。
とびっきりセクシーに、蕩けそうなほどの性欲と燃え上がるほどの愛を溢れさせ……
¨ [R] No.832
気が付くと、あたしはバーカウンターまで押し戻されていた。
カウンターに両手をついたあたしの腰を秋姫ががっちりとつかみ、バニーコートの尻に、彼女の股間を押し付けてくる。

「あんッ、あんッ、あんッ!いいわ、あたしのプリンス。もっと……激しく」
「ああッ、プリンセス……なんてはしたない……なん……て美しい……」

エナメルのバニーコート越しという以上に、そもそも挿入するべきものがないままのそれは所詮性行為の真似事に過ぎない。

だが……今のあたしは……
女であることを受け入れ、男に抱かれることにも、女同士で愛し合うことにも抵抗を覚えなくなった今のあたしは……
にも関わらず男に抱かれることを禁じられている今のあたしは……
この性器の接合を欠いての律動を、精いっぱいのセックスの代替行為として没頭した。

秋姫が右手をあたしの股間に滑り込ませ、バニーコートの上からぐりぐりと刺激してくる。
興奮により感じ易くなった身体は、肌と粘膜への直接の接触でなくとも電気のような快感を全身に走らせる。
秋姫も、あたしの耳元に切ない息を吹きかけてくる。

「おっ………おっ……おうじさま……あたし……イキます……」
「ふふ、いやらしいうさぎさんだね、プリンセスは……いいよ、イっても……」

少しでも感じようと、あたしは重みのある胸をカウンターに押し付け、こすりつける。
女の性欲がどこまでも燃え上がっていくが、それはバニーガールという形、バニーガールの衣装に包まれ、規定された肉体の中からは決してはみ出すことを許されない。
でも、それでいい……

「はぁっ……」
気をやったあたしの身体が崩れ落ちそうになるのを、王子さまが背後で受け止めてくれた。
あたしと同じくらいに女の快楽を堪能していただろうに、プリンセスを守るプリンスとしての役目を決して放棄しない秋姫の男らしさに、絶頂にあるあたしの快感は更に深いものになった。
¨ [R] No.834
バニースーツ及び網タイツの股間周りに、淫らな汁が漏れているのが感触として分かる。
恥ずかしい思いは当然あったが、それ以上に誇らしい気持ちが湧きあがる。
自分は女なのだという自覚が―

「プリンセス、座って」
秋姫さんが、あたしがバースツールに座るのを助けてくれた。
荒い息をついていると、秋姫さんが、「足を閉じてくださいませ」と言う。言われるままにする。
すると……

秋姫さんは、カウンターの上に置かれていた、あたしの飲みかけのカクテルを手に取り、あたしの股間に注いだ。
足を閉じたことで、鼠径部と両股の間にわずかなアルコールの水たまりが出来る。
顔を近づけて、秋姫さんはそれを啜った。

ああ、なんていやらしい…
そして何てジェントルマンなの……

あたしも……私も、レディたらなければ。
常に余裕と美しさを保たなくては。

最高に美しい女性が演じるプリンス、あるいはジェントルマンに相応しい女でなくてはならない。
それがブレインダメージのプリンセス……

文字通りうさぎが穴から顔を出すように、他のバニーガールたちが戻ってきた。
股間をびしょびしょにしている恥ずかしさが一瞬心をかすめるが、すぐに平静を取り戻す。
プリンセスは優雅でなくてはならない。

私は、愛しいバニーガールたちに微笑みかける。
「ふふ、お気遣いありがとう。どう、皆さんもご一緒なさらない?」
「もちろんです、プリンセス!」
バニーガールたちがプリンセスである私に群がって来て、歓迎会が再開された。
いやらしい罰ゲーム付きのカードやルーレット、いやらしい罰ゲーム付きの飲み比べ……
それがブレインダメージの従業員としてのトレーニングを兼ねていることは既に分かっていることだった。

【ふふ、素晴らしかったわ。バランスは修復された。プリンセスとしての完成まで、あなたはあと一歩のところよ】
疑似耳の中で、オーナーさまの満足そうな声が響く-
【男を相手に思い切り淫らに振る舞うことも、どれほど淫らに振る舞っても誇り高い姿勢を見失わないことも、今のあなたには無理なくこなせる筈】
【ならば、処女を損なわない範囲で、お店に出ることを始めましょう…そしてあなたに真の”資格”が備わっているかを確かめてみましょう…プリンセスの資格、私の後継者となる資格があるかを……】
¨ [R] No.835
#期待
¨ [R] No.841
はぁ……
暗闇の中で手足を蠢かせ、せいいっぱい今感じている官能を表現しようとするが、全く足りない。

ごくわずかにしか触れられないが、その度に身体のみならず魂が歓喜に震えるのが分かり、女の肉体がますます激しく燃え立つのが分かる。

顔には目隠しを施され、その上室内の明かりも落とされているので、何も見えない。

ナルシストとして調教されてきた今、いやらしく感じている自分の姿を、ベッドの四方を囲む鏡で確認出来ないのはもどかしいこと。

だが、それも数秒の愛撫のみで放置され、焦らされる今のもどかしさに比べれば何ほどのこともない。
そして何よりもどかしいのは、今私と共にベッドの上にいるお方の顔を拝見出来ないこと……

「はぁ……オーナー……お願いです、お顔を……お顔を拝見させてくださいませ……私はオーナーを愛しております、どうかひと目この奴隷にそのお顔を見せてくださいませ……」
【ふふ、あなたは奴隷などではないわ。あなたはブレインダメージのプリンセスなのよ、誇りをお持ちなさい】

今こうして手を伸ばせば触れることの出来る近さにいながら、オーナーは直接話しかけず、疑似耳を通しての会話に終始している。そのことも、私のもどかしさを助長する。

オーナーの優しい指が、私の手首に、二の腕に、バニーコートにぎりぎり覆われた乳房の頂点に、網タイツに包まれた太ももに、そして顎に、目隠しに覆われた瞼に、唇に触れ、愛情をこめて、あるいは、寧ろ、触れては焦らすことが最初からの目的であるように愛撫していく。
その度に、私の中に甘い火花が飛び散り、広がり……そしてそれが何かの形になっていく。

「あああああ、これって……」
【いいこと、いよいよあなたはブレインダメージの店頭にキャストとして立つことになる。プリンセスとしての務めがある以上、お客様と一線を越えることは許可出来ませんが、あなたにはプリンセスとしてこなさなければならない大事な役目のトレーニングを積んでもらいます。それは……】

次の瞬間、疑似耳の中で響いた言葉に、私は己の正気を疑った。
そんな……最初は、そんなことが可能なのか、という驚き。
そして次は、そんな栄誉あるお仕事を任せていただけるのか、という驚き。

【そのために必要な力をあなたに授けましょう……】
「……私の魔力の一部を」
それは疑似耳ではなく、実際の音声として私の鼓膜に届いた。
驚いて声をあげようとした私の口を、何かが塞いだ―オーナーの唇が。

オーナーに唇を奪われているという感激と共に、先ほどまでの指先でのそれを何百倍にもした刺激が粘膜を通して流れ込んできた。
それが与えてくれる歓喜に、私は涙を流しながら絶頂に達した。
目覚めた時には、オーナーが与えてくださった力と感動により、完全に生まれ変わっていることを確信しながら……
¨ [R] No.842
-ブレインダメージの店内に入って、キタダニは驚き、そして喜びに胸を躍らせた。
ギャンブリングホールの入り口近くに立っているのは新人のバニーガール。

だが、その顔だけは既に知っている。
しばらく前から、店の入り口廊下に大々的にその写真が掲示されていた娘だ。
今日も彼女とゆあがとろけるような表情で顔を寄せ合っている写真が掲示されており、その美しさ…いや隠微さにどきりとさせられたばかりだ。
客寄せのための写真と分かってはいるが、あんなに恍惚とした表情のところを写した写真を見せられると、彼女たちは本当にこの寸前までナニかをしていたようにしか見えなかった…

揺れるような青い瞳がこちらを見つめてくる。
唇の端をわずかに歪めた微笑は、恥じらいと期待と好意が入り混じっている。
豊かな金髪が肩から背中にかけて滝のように流れ落ちており、肩から胸にかけてどんな桃よりも甘そうな双球がその下側をバニーコートにかろうじて支えられて、上側の白い肌を露出させている。
店の常連としてバニーガールを見飽きるほど見てきて、触れてきたキタダニだが、思わず唾を飲み込んだ。

「いらっしゃいませ……キタダニさまでございますね?新人になります、以後お見知りおきをいただければ光栄ですわ」
「や…やあ、そうだ、キタダニだ。君の名は?うーん、早速君を指名したいが」

すかさずバウンサーの秋姫が横から入って来て、冷静な口調でお客に注意を促した。
「失礼いたします、彼女は新人ですが、オーナーが特例職分枠として採用したキャストです。源氏名はなく、プリンセスとお呼び下さい。
「そして特例枠でありますので、通常でのサービスは今のところお受けいたしかねます……今は見習い期間中でもありますので。いずれ然るべき時になりましたら、必ずキタダニさまにはお知らせいたします。
「代わりに……見習い期間中ですので、当分はお客様にひと晩一時間単位で、無料でコンパニオンとして同行させます。あくまで同行のみ、それ以上のサービスは禁止ではありますが、よろしければ……」
¨ [R] No.845
キタダニの脳内で、単に連れ回せるだけでお触りのひとつも出来ないという不満感と、連れ回すだけなら無料というお得感が天秤にかけられた。

何せブレインダメージのサービス料は高額だ。
ギャンブルで負ければ負債を抱えることもある。
と言っても、キタダニくらいの資産家であれば、一晩に百万円、二百万円を浪費したところで構うことはない。

加えて、ブレインダメージは支払いの清算が大変緩い。
毎回来店時と退店時に店に借りがいくらあるかは明確に確認されるが、返済の督促はあり得ないくらいに緩いのである。

キタダニは資産家ではあるが、というより金を持っている者の大半がそうであるようにケチであり、且つ面の皮も厚い類の男でもあって、督促されないのであれば返せる借金もろくに返さないまま、ここまで来ていた。
贅沢なサービスを”鉄砲”で楽しめるということでキタダニはブレインダメージを愛顧してやまなかったが、一方で、大変に傲慢でもあるキタダニは、自分と同じサービスを他の客も受けられることに内心不満を燻ぶらせていた。

返済の督促がないも同然ということは、ろくに金もないのに通う客が出てくるということでもあり、そんな貧乏人が、自分のような上流階級と対等にこんな高級クラブへ出入りしているということは日頃からキタダニを苛つかせていた。

今、目の前の、ブレインダメージの基準で見てもとびっきりの美女を、金を払うことなく連れ回せる。
一方で、この女は金で買うことが出来ない……頭の中でそろばんが即座に答えを弾き出したその時…

「おお、君は廊下のピンナップで見た……ねえ、この子をお願い出来ないのかい?」
別のお客が横から割って入ってくる。
ミナミバシという男だ。確か有名不動産会社の部長だとか言っていたか、とキタダニは思い返す。

秋姫が、自分にしたのと同じ説明をミナミバシにしているところを、今度はキタダニが割って入り、
「悪いな、彼女は私と付き合うことになっているんだ、さあ行こう」
キタダニは、強引にプリンセスの手を引いて、ルーレットのテーブルへと向かおうとした。

ハイヒールを履いているとは思えないスピードで回り込んだ秋姫が、「強引なことはごめん蒙ります。よろしいですね?一時間制限であることお忘れなく」
念を押されたキタダニは頷く。
一度、接客フロアで、他のお客も見ている前でバニーガールを押し倒してコトに及ぼうとした客を、彼女があっという間に叩きのめしたのを目撃していたため、バウンサーを刺激するのは得策ではないことは骨身に染みている。

「うふ、キタダニさま、よろしくお願いします。私、まだお仕事を始めたばかりで何も分からないんですの、色々教えてくださいね」
プリンセスが腕にしがみついてくる。その豊満な胸が押し当てられる。
ブレインダメージのバニーガールは、例外なくサービス精神旺盛で、暴力的で心身を傷つけるようなものでない限り、とんでもなくエロいプレイを要求しても躊躇なく応じる女たちばかりだが、この娘は新人ということを考えるとなかなか大胆だ。
¨ [R] No.847
ルーレットの席に着いたキタダニは、自分とプリンセスの酒をオーダーすると、早速ベットを始めた。

「14、16、21」
カラーから肩、上腕部にかけての部分のみしかない白ワイシャツをバニーガールとしてのカラーとして身に着けたディーラーが、ボールを投じる……
果たして、16へ落ちた。キタダニはにやりとする。ベットしたチップが三倍になる……

「素晴らしいですわ、キタダニさま」
その手にしがみついていたプリンセスが、キタダニの頬にキスをした。
思わずキタダニは硬直する。

「え、君はサービスしないんじゃなかったのかい?」
「これはサービスではありませんわ、無料なのですから。私の意思でしたこと」
「…そういうのは店のルールでまずいんじゃないの?」
「そこが私が特例職分である所以です。私はプリンセスですから」

”プリンセス””特例職分”という、実際には何の意味も分かっていないながら、それらしい言葉を並べ立てられ、キタダニはすんなりとそれを信じ込んだ。
その後も、キタダニが勝つたびにプリンセスはキスしたり、そっとテーブルの下でキタダニの股間を握ったりした。
当然キタダニは有頂天になっていったが、同時に、次第に負けが増えていった。
そして、たまの勝ちの際のプリンセスの接触も驚くほど露骨になっていった……

かなりの額の負けを抱えて、キタダニはルーレットを離れた。
時計を見やると、制限時間である一時間がほとんど尽きようとしていた。
気になさることはありませんわ、とプリンセスは慰めるが、負けが積みあがったことと、一時間の制限をほぼ無駄にしたことに、キタダニの不機嫌は直らなかった。
むしゃくしゃして酒を飲むか他のギャンブルに突っ込もうとするが、プリンセスはキタダニの腕をつかむ。

「お待ちくださいませ。まだ私はキタダニさまと離れたくありません……」
「どうするってんだ、お前、一時間しか俺の相手が出来ないんだろ」
「ふふ、”特例職分”であるプリンセスには、そこのところも多少は融通が利きましてよ」
プリンセスは意味ありげに微笑んだ。
¨ [R] No.848
―次の瞬間、ギャンブリングホールから人々の姿が消えた。キタダニとプリンセスのみを残して。

一瞬何が起こったか分からず、キタダニは左右を振り返るが、喧騒に満ちていた店内に響くのは、彼の声と心臓の鼓動だけだった。
プリンセスは、唇に指をあてて悪戯っぽく微笑む―

「ほんのしばらくの間ですが、邪魔者の目が届かないようにしました。そう、私は魔法の国のプリンセス。ブレインダメージという魔法の国のプリンセスですのよ」

そう言って、プリンセスは室内の時計を指さした。ここでもキタダニは目を見張らされた。
時計が止まっている。秒針が動いていない。

「これは一時間の制限時間外……」
最早驚きより歓びの方が勝り、キタダニはプリンセスの柔らかな身体を抱きしめた。
プリンセスが舌を突き出してくる。清楚な顔立ちからは想像も出来ないほど淫らにうねる舌を、キタダニはくわえて、そのまま至高のバニーガールの唇を音を立てて吸った。

キスを解くと、下品で荒い息をつくキタダニから顔を離し、抱き合った姿勢のままプリンセスは身体を落としていった。
しゃがみこんだプリンセスは、キタダニのズボンのジッパーを開けた。
そして、中から固く固く勃起した男性器をつかみだす。
再三の刺激と興奮により、既に先端に粘つく汁が滲み出ているそれを、プリンセスは大口を開けて飲み込んだ。

「うっ……」
ペースを変え、飲み込む深さを変え、プリンセスはキタダニのモノをしゃぶった。
瞬く間に上り詰めそうになるキタダニだが、プリンセスは巧妙に頂点で愛撫をやめ、キタダニの肉棒を口から解放する。

不満というより戸惑いを覚えてキタダニは、何故やめたのかと尋ねようとしたが、その時、プリンセスは自分の胸に手をやった。
バニーコートの胸の部分が前方へと折り曲げられ、巨大な乳房が露わとなる。

どんな天国が待っているのか理解したキタダニは、あまりにも巨大すぎて地獄への入り口のようにも見える乳房の狭間に、自分の肉棒が飲まれていくのを見守った。

「ああ、素敵……」
プリンセスが粘りつくような吐息を漏らし、それがキタダニのモノの感じ易い先端にかかって、刺激を加える。
挟まれ、押し上げられ、キタダニはプリンセスの柔肉の圧力に翻弄されるがままとなっていく……
包まれ、下から上へと突き上げられる肉棒を、上でプリンセスの口が受け止めた。
両乳房によるしごき上げが一層激しくなっていく。プリンセスの口からも泡となった唾液が垂れ、キタダニ自身の液といっしょになって肉棒の上を垂れ伝っていく……

「おうぉッ……おごぉぉ……」
薄汚い白い液体が、プリンセスの顔面に、首から肩に、そして乳房にかけてぶちまけられる。
汗みずくとなってキタダニはルーレットの台にもたれかかった……
これほど大量の射精をしたのは、キタダニの人生でも他に記憶になかった。
その快感はキタダニの脳髄を焼き焦がし、意識を保つことを難しくしていた。
両乳房を晒したままのプリンセスがキタダニの首を抱き、唇を這わせる。

「うふふ、あなたはいずれ私のもの……」
プリンセスが右手首を取り、キスをするのが見える。その光景を最後に、キタダニは意識を失った……
¨ [R] No.855
……気が付くと、キタダニは接客フロアのソファに座っていた。
周りには時間が止まる前の通りに、十数人のお客、そしてバニーガールたちがいる。だがプリンセスは自分のそばにはいない。

マネージャーを兼任するバニーガールがやって来て、
「プリンセスとの一時間が終了しました。退店なさいますか?それとも、ここから新たなバニーガールをご指名なさいますか?」

はっとして、キタダニは時計を見る。
マネージャーの言う通り、プリンセスと同行してから一時間、ルーレットで大負けして時間が残りわずかになってからほんの少し、というタイミングだ。
着衣の乱れなど一切なく、室内にも自分が射精したような痕跡はなさそうだった。
あれは夢だったのだろうか?いや、あの快感は、圧倒的な快感は極めて明確に脳裏に刻まれている。
はっとなって、キタダニは自分の右手首に目をやった。
そこには確かにキスマークが残っていた…
やはり、あれは現実に起こったことなのだ。

キタダニは大声で怒鳴る。
「指名する、指名する、プリンセスをもう一回指名するぞ!」
「他の者からもご説明申し上げました通り、プリンセスとはおひとりさま一時間まで、ということになっております。そこのところはご了解いただきたく存じます」

そうだった…とキタダニは素直に諦める。今すぐにでもプリンセスを手元に呼びたい、置きたいが、店のルールを破るのは上客扱いを受けている身としては得策ではない。
店内のどこかにプリンセスがいないか見まわすと、ちょうど次の一時間の同行サービスが始まったらしく、ミナミバシがプリンセスの肩を抱き、カクテルを何杯も空けながらバカラに興じていた。
(負けてられねぇ!)

我の強いキタダニの心に火がついた。上着を整えると、キタダニは、
「今日のところは帰る。清算だけ聞かせてくれ」
「かしこまりました。ルーレットがマイナス27チップ、お召し上がりになったお酒とお食事が0、8チップ分。先日来までとの累計で582、7チップになります。お支払いはどうされますか?」
「そのうちだ、そのうち。それよりプリンセスはまた店に立つのか?いつだ?」
「当面、見習い期間が続く間は全営業日在店しております。申し上げました通り、見習い期間中は、一時間の同行コースのみとなり、それ以上の個人サービスは不許可となっておりますし、その分、サービス自体は無料となっております」

もうこれは無料とかいっている場合ではない、どんな大金を積んででもプリンセスを手に入れなければならない、とキタダニは強く感じた―
何せ、時間外のプレイが出来るのだから、これほどコストパフォーマンスの良い遊び方はない、十分元が取れる……とも。
いや、それ以上にブレインダメージにあって、最も美しいと言っていい美貌の持ち主を、手に入れないではおけない。
プリンセスはいずれ俺のものだ……
¨ [R] No.874
また今夜も、私は店に立ち、お客を物色している。

私がバーカウンターやギャンブリングホールに立つと、男たちはその妖艶なボディラインに息を呑みながら「いくら?」と訊いてくる。
あくまで優雅で温和な笑みを崩さないように意識しながらも、もちろん「申し訳ありませんが、まだ見習い期間中ですので…」と答えるようにしている。

もう、最初の頃の恥じらいはない。
そればかりか、一見優雅でよく躾けられた礼儀正しい笑みの中に、いかに男に媚びた表情を滲ませるか、あるいは逆に、男を見下すような、高慢な色合いを加えることで、どう男にアピールするか実験し学習する余裕すら生まれていた。

しかし一方で、私はそんな客をもてなすのは大好きだ。
私の豊かなバストが揺れるのを見たいという男には偶然を装って胸を押し当てたりもするし、お尻や太腿を見たいという客にはそれらしくポーズを取るように心がける。
何より、そうしたサービスは既にナルシストの極みにある私自身へのサービスでもあった。

「おっぱいでっけーな!姉ちゃん!」
「バニーちゃんってやっぱ可愛いよな……一発いくら?」

そんなセクハラじみた男の言葉こそ、今の私には可愛げがある……彼らがこれから辿る運命を考えれば。

これまでに私を指名した中で、キタダニ氏、ミナミバシ氏、ニシアガリ氏、ヒガシド氏辺りには既に目星をつけてある。

支払い能力の有無とは別に、彼らには相当に滞納しているサービス料を支払う気がなく、その上更にどんどん不払いを積み上げていっている。いずれその時が来れば……
¨ [R] No.875
「うふふ……だめ、内緒です。でも、あなた、とってもカッコいいわ」
男の前でしなを作ってみせながら思う。ああ、私は本当にバニーガールになってしまったんだな……
そう、私は確かにバニーガールなのだ。

「あらお客様、私のおっぱいに興味がおあり?ふふ、ダメですよ、触るのは」
【ふふ、良い調子よ】オーナーさまがお褒め下さる。

ひと渡り客の男たちと会話を終え、カウンター脇の席に腰掛けて休憩を取っていた私の目に入ってきたのは、二人組の若い女性だった。
このひとたちは……確か昨日も来ていたような?
でもまあそんなことはどうでもいい。
なかなか可愛らしいお嬢さんたち……若く、店内の雰囲気に明らかに押されているようでありつつ、興奮している感じでもある。
ふふ……と私は笑いを浮かべ、わずかに舌なめずりをした。
休憩は中断だ。私はスツールから立ち上がる。

「こんばんわ、ようこそ当クラブへいらっしゃいました、お嬢様方」
「え……あっ………こんばんわっ……」

まさかバニーガールの方から声をかけられると思っていなかったらしい彼女たちは、目に見えて戸惑った様子だ。
ふふ、緊張してるのね。可愛い……可愛いからこそ食べてしまいたい…優しくしてあげたい……

「ではこちらへどうぞ……私はプリンセスと呼ばれております。当店のプリンセスが姫君お二人を歓迎いたしますわ」
両手を軽く広げて二人を誘う。

二人は戸惑うような表情を見せながらも、その視線は私の胸や顔に釘づけになっている。
私が踵を返すと、飼い主の後に続く従順な子犬のように彼女たちはついてきた。
¨ [R] No.878
無粋な他の客が割り込んでこないバーカウンターへ戻り、私は彼女たちに着席を促す。
ずいぶん遠慮がちな様子で腰かけたものかどうか躊躇っているの彼女たちだが、キャストと一緒に過ごしたいという欲望と酒を勧められるうちに大金をつぎ込まされてしまうのではという不安が入り混じっているのが見て取れる。

「私はまだ見習い期間中でして、料金をいただくサービスをすることは出来ません。代わりに、一時間に限定して、無料の会話と同行に限定したサービスは無料で提供させていただくことが出来ます。それに……最初の一杯は私の奢りにさせていただくというのはいかがかしら?」

少し彼女たちは安心した様子で、着席した。私は彼女たちに尋ねる。

「お名前をうかがってよろしいかしら?」
「あ、はいっ…私はサトコと申します!」小柄な方の娘が答える。
「私はアイです!」こちらは、髪を金髪に染めた、背の高い方の娘だ。

二人はやや上ずった声で名乗り、その後少し恥ずかしげに笑った。
二人ともとても可愛らしい。もちろん好みはあるだろうが、一般的に見て十分に美人の部類に入るし、何より若くて健康的だ。
彼女たちの名前は既に顧客名簿から得ている。無論偽名だろうけれど……
そんなことはどうでもいい。少なくとも、この娘たちがバニーガール好きであることだけは間違いなく、それだけで脈ありということだ。

「サトコさんとアイさんね。はじめまして、プリンセスです」
私は出来るだけ優しい微笑みを浮かべる。もちろん、二人とも私を食い入るように見つめている。

ああ……嬉しいわ……毎日、他のバニーガールたちからの憧れのまなざしを向けられているというのに、同性のお客様から熱心に見つめられるのには全く飽きることがない。

もちろん男性のお客様からでも同様。
ナルシストな私にとって、他者のまなざしは何よりの糧なのだ。それにより私はますますセクシーに、美しくなることが出来る。それがブレインダメージのプリンセスであり、その美しさに彼女たちはますます惹きつけられる……

「このお店は初めてではありませんわよね?」
「えっ、はい、何度か……寄らせていただいています…」

サトコの声には、いくらかの現実に引き戻された躊躇いがあった。
店の払いが溜まっている罪悪感がそうさせたのだろう。でも、私はそれをすぐに打ち消してやる。
「それは嬉しいわ。サトコさん、アイさん……このお店のお客さまはみな紳士的でいらっしゃるでしょう?」
「ええ……はい……」
二人はぎこちなくうなずく。
これにもいくらかの躊躇いが滲んでいる。
多くは紳士的な客ではあるものの、一方で、横暴で下品なお客もそれなりに目にしてきたはずだ。
年若い彼女たちが、そんな脂ぎったおじさんたちに嫌悪感を一切抱いていないといえば嘘になるだろう。だが、そんな様子にすら私の心はときめく。

そうよね、ここの客たちは皆バニーガール好きだもの……
そして彼女たちにはお金をいくらでも出すに値する価値があるのだから……
¨ [R] No.880
「実は私ね、少し変わった趣味があるんですの……」
意図して、少し恥じらったように顔をうつむかせ、小声で私は彼女たちに囁く。二人はごくりと生唾を飲み込んだようだった。

「私、女の子同士でしか興奮しないの……」
えっ……という顔をして二人は顔を見合わせる。

「それは本当におかしな性癖だと思うわ……普通の社会で生きていては許されないことよね……」

少し目を伏せると、長い睫毛が目の周りに影を落とした。
ああ、プリンセスは本当に可愛くて綺麗……
演技をしている自分に酔いながら、私は答えが分かり切っていることを自問自答する。
私ってどうしてこんなに美人なのかしら……?どうしてこんなにセクシーで魅力的なのかしら……?

「でも、私が私らしく生きてゆくためには、これが必要だと思ったの。それに私は今、とても幸せなのよ……だってこのお店には、美しいバニーガールが何人もいるのだから……」

そう言ってサトコとアイに向かってにっこりと微笑んでみせる。
サトコの方はやや驚いた様子だが、アイは首を横に振った。
「いいえ、少しもおかしいことはありません!女の子が女の子を好きになるのって、全然アリだと思います!」
水を向けてやればつい本音が漏れた、というところか。私は意味ありげに微笑んでみる。

「安心したわ……サトコさんも女の子が好きなんですね?私に興奮してるのよね……?」
そう言いながら二人を見つめると、二人の反応に混乱が入りこんだようだった。
「わ、私は……」
サトコが言いかけて口ごもる。意見を求めて、一瞬だけアイの方を見たが、すぐに目を逸らす。彼女はしばらく躊躇った後、躊躇いがちに口を開いた。

「ええ……私も女の子に興味があります……でもまさかバニーガールのプリンセスさんが同じ趣味だったなんて……!」

予想通りだ。
これで彼女も落とせる。彼女が求めている答えも分かる。だから私は言った。

「私、実はもうひとつ変わった趣味がございましてね……」一層声を落として囁く。

「これはね、女性のお客さまに対して限定のサービスでもあるのですが……私、お客さまにバニーガールのコスプレをさせるのが好きなの……」
¨ [R] No.882
心底驚いたといった様子で、且つ驚きのあまり声を上げることも出来ず、二人は硬直した。
そして互いに顔を見合わせる。

何かひそひそと相談している。
しばらくして、サトコの方がおそるおそるといった様子で尋ねた。

「それは……どんな……?」
私は声をひそめて答える。
「うふん、もちろんバニーガールのコスチュームを着てもらうのよ、とってもセクシーな奴を……」

【くすくす……さあ、そろそろ仕上げにかかるわよ】オーナーさまの声が聞こえたような気がする。

「でも大丈夫かしら……?私なんかがバニーガールになんてなれるのかしら?」
「大丈夫ですわ、私から見てもお二人はとっても素敵な女性でしてよ」
「……あの、でも、料金がかかるサービスは、出来ない…のでは?」

サトコが遠慮がちに尋ねる。私は微笑みながら指を鳴らし…

―次の瞬間、バーから私たち三人以外の人間の姿が消えた。
何が起こったか分からず、サトコとアイは呆然となるが、彼女たちを落ち着かせようと、私は唇に指をあててウィンクして微笑む―
「ほんのしばらくの間ですが、邪魔者の目が届かないようにしました。そう、私は魔法の国のプリンセス。ブレインダメージという魔法の国のプリンセスですのよ」

そう言って、私は室内の時計を指さし、時計が止まっていることを示唆した。
「これは、プリンセスからもう二人のプリンセスへの、二十四時までの時間制限を超えるためのプレゼント……」

私は立ち上がり、二人を振り返って笑った。
最早抗いようのなくなっているサトコとアイは、私の後をついてふらふらと店内の廊下を進んでいく…
¨ [R] No.883
マッサージ用のサービスルームへと、私は二人を案内した。

既に室内にはバニーガールの衣装二着分一式がハンガーに架けられ、あるいはベッドの上に並べられていた。
サトコとアイがごくりと息を呑む。

「まずは着方をお教えしますわね……」
緊張をほぐすよう微笑みかけながら促すが、当然ながら互いに羞恥心があるのだろう、二人とも互いの様子を窺いつつ、視線が合うたびに慌てて目を逸らしつつ、なかなか服を脱ぎ出そうとしない。ならばひと押し必要だろう…

私はアイに歩み寄り、彼女のブラウスの第一ボタンに手をかけた。
彼女は身体をびくんとさせ硬直したが、脱がされることを拒まなかった。
第一と第二ボタンを外すが、そこでひと呼吸置き、そっとアイの懐に手を突っ込む。
「ひゃあ!」
「!」

アイが叫び、サトコも無言で目を見張った。
私は器用に彼女のブラのホックを外し、そのまま指先で彼女の乳房を擦り上げていく。アイの膝ががくがくと震え、身体から力みが抜けていく。

私はあくまで優しい笑顔を崩さないよう気を遣いつつ、彼女に微笑みかける。
「いけませんわね、私だけが愉しんでいては。アイさん、私のおっぱいも触って」

彼女の胸を玩ぶことは一旦休みつつも彼女の袂に突っ込んだ手は抜かないまま、促してみる。
彼女はおずおずと、だが今まで越えられなかった一線を飛び越えて、バニーコートに包まれた私の胸に触ってきた。
最初はまだ遠慮がちだったものの、すぐに興奮を抑えられなくなったのだろう、ぐっと持ち上げては重みと密度を堪能し、バニーコートの縁から指先を突っ込み、乳首を探り当てようとする。

独り取り残されたサトコも興奮を抑えきれない様子で、私たち二人が互いのおっぱいの感触を堪能しているのを見守っている。

辛抱堪らなくなったサトコの方が、先に自分から服を脱ぎ出した。
我が意を得た私は、アイの耳たぶに軽く息を吹きかけ、彼女がまた身を震わせるのを楽しむ。

「アイちゃん、脱ごう」
全裸になったサトコが先ほどまでの私を引き継ぎ、アイのブラウスのボタンを外していき、パンツをおろしていく…二人は一糸まとわぬ姿となった。

アイは、既にこのままバニーガールが務まるほどの均整の取れたスマートな体形をしている。

一方のサトコは、平均並みの上背に加え、身体の横幅もスリムというほどではないが、構わない。
すぐに私の、そして彼女の理想通りのそれになる……

私は二人の手を取り、それぞれの乳房を触らせてやった。
彼女たちは、夢に浮かされたような様子で互いの胸を揉みしだく。
最初は低く、次第に甘く蕩けた呻きが、肩を寄せ合った二人の口から漏れ始める。二人が満足するまでそうさせてやり、ようやく私たちは互いに全裸のまま向き直った。

「どうですの?サトコさん、アイさん。お気持ちはほぐれました?バニーガールになる心の準備は出来て?」
二人は恍惚としたような表情を浮かべ、頷いた。
¨ [R] No.890
「ボトムは網タイツと黒タイツどちらがお好き?」
「……網タイツです!」
「……私は黒タイツで」
アイにはまず下着としてTバックのボトムをまず履いてもらう。
この時点で、少し前までの彼女であればとても恥ずかしくて手に取ることも出来なかっただろうが、十分に温まった彼女は既に気持ちの上での障害を飛び越えていた。
その上から網タイツを履いていくと……ふふ、いやらしい足が出来上がっていく。

サトコは、ランガード付きのパンティホーズを試してみる。
元から肉付きの良い彼女の足には、実に光沢あるタイルが生え、むっちり感が一層増幅されて見える。

次はいよいよバニーコート。

まずはサトコから。
彼女のものは、腰で紐を締める半コルセット仕様のものだ。これで……
「ぐぅ……」
痛みと、それと同時に目まいめいた恍惚に、サトコが呻きとため息を漏らす。
ふふ、そう、その痛みと目まいに身を委ねるのよ。そこから魔法にかかっていくの……

サトコはベッドにへたり込んでしまう。そして自分の胸から腰回りまでを見下ろして……
「あれ……何か……」

一部始終を見ていたアイは、もっとはっきり事情を理解したようだ。
「サトコ、おっぱいがボリュームアップした……それに腰も細くなってるよ、ずっと……」
「え、そんなこと……」
サトコは腰を何度も撫で、また乳房を下から持ち上げ、あるいは揺さぶってみて、自分の体形が変化したことをようやく認識した。

「お分かりいただけまして?このバニーコートにも魔法がかかっているのです。このバニーコートは身につけたものの体形を、その理想のそれに変えるのです」

サトコの顔に驚きが、そして喜びが宿る。
今までセクシーとは言い難い体形に劣等感を抱いてきたであろう若い女性が、憧れていたバニーガールの衣装を着た途端、憧れていたバニーガールの体形になったのだから、それも当然だ。

相棒の身に起きた奇跡に、アイも顔をほころばせてバニーコートを身に着けようとする。
アイのものはジッパータイプだが、サトコが手伝い、ジッパーを上げてやる。

「んん……」
サトコの時と同様、アイも悩ましげな声を上げ、その身体に魔法が滲みこんでいく感覚に酔いしれる。
それに従い、十分に細い腰が更に引き締まり、押し上げられたという以上に胸が膨れ上がる。

頬を赤く染めたアイは、自らの胸を抱きしめ、持ち上げ、愛撫する。
セクシーさを一段増した己の肉体に、きっとナルシスティックな気分になっているのだろう。
とてもよく分かる。私もそうだったから…

サトコもまたアイを称賛の、あるいは崇敬の目で見つめる。
「アイちゃん、すっごく素敵……」
¨ [R] No.899
「ここからはお互い取り着け合うといいわ」
私はベッド上に並べたカフス、カラーと蝶ネクタイ、そしてうさぎのそれを模した耳付きのヘッドバンドを指し示す。

すっかり夢中になった二人は、互いに甲斐甲斐しく、そして次第に欲情が表面化してきたのを抑えきれない様子で、バニーとしての装身具を取り付けていく。
ノリノリである一方で、互いを、基本的には男性に奉仕する存在であるバニーガールへと変えていく作業は、ある意味では互いに奉仕し合うように見えた。

「さあ、これで最後、靴をお試しになって」
彼女たちが日ごろどれくらいの高さにまで履き慣れているかまでは知らないが、今日のところひとまず用意したのは4インチヒールから…

私はベッドの脇に跪き、座って待つサトコの右足を取る。
そしてそっと彼女の足首にキスをする。

二人はあっと驚くが、私はその驚きが消えないうちに彼女に靴を履かせてしまう。
左足にも同様の儀式を施すが、サトコの額に汗が滲むのが見て取れた。こらえ難い発情による汗が…

次はアイにもその足首にキスをし、ハイヒールを履かせる。
アイもすっかり興奮しており、二足目を履かせる時には大胆にもキスする私の顔に足を押し付けてきた。

そのまま網タイツに包まれた足指を舐めてやる。
なかなか積極的だ、有望ではないか。
横で見ているサトコの表情には、そこまでしても許されるのなら自分もそうすればよかった、という羨望がありありと浮かんでいた。
だが今は最優先事項である靴を履かせることを済ませてしまう。

「さあ、出来たわ。鏡の前で、ご自分の姿を確認なさい」

促されて立ち上がる二人だが、明らかにハイヒールに慣れていないため足取りはぎこちなく、痛みをこらえてもいる様子だ。
不安定な二人が互いに支え合いながら、それにより却って相方に痛い思いをさせてしまいながら、何とか二人は、室内の姿見の前まで歩いて行った。

姿見には、可憐で初々しい、だが早くも己の美しさとセクシーさを自覚し始めたバニーガール二人が映っていた。
「わあ……」
「素敵……」
感嘆する二人だが、私とて同じ気持ちだ。
実によく似合う。互いに褒め合う二人は、まさに姉妹のようにすら見える。
やや身長差があるところも寧ろデュオとして見栄えがする。私の目も確かだったということだ……

「さあ、あとはこのお仕事に励むだけ」
意外な言葉に、二人が振り向く。
今度は私がバニーガールとしての衣装を脱ぎ、彼女らの前にその裸身を晒した。
一度全部脱いだ上でハイヒールだけ履き直し、私はベッドの上にその身を横たえた。

「さぁ、今度はお二人がバニーガールとして私に奉仕してくださらない?」

二人が完全に同時にゴクリと唾を呑むのがはっきり聞こえた。
食虫植物の花弁に足を踏み入れる虫のように、あるいは見えない罠へと駆けこむうさぎのように、アイとサトコどちらからともなく私に抱きついてきた。
「プリンセス……お慕いしております……」
「プリンセス……私たちでよろしければ……」私を抱きしめたままベッドに倒れ込み、二人して私の唇を貪る。
私はされるがままにして、まだ年若い娘たちの愛撫に身を任せる……
¨ [R] No.900
-そして、ブレインダメージの従業員となったアイとサトコは、女としての魅力をどんどん開花させていった。

サトコの豊満な乳房は、バニーコートを押し返さんばかりに張り詰め、その大きさといい形の良さといい申し分ない。
一方、まだ柔らかさを残しつつも腰のくびれは実にセクシーで、バニーコートのボトム部の縁から覗く長い足へと視線を導く。

そしてアイの方はといえば……もう私の出る幕などないし、実際手や口を出す必要もないだろう。
固より、より積極的なタイプだった彼女の変化は目覚ましいものがあった。

衣装や髪形も自分好みのものを選択するようになり、シンプルでオーソドックスな黒のバニーコートは、胸元からへそへと大胆な切れ込みの入った白のバニーコートに替わり、蝶ネクタイも乳房の割れ目を強調する長ネクタイになった。

その体形や容姿は、彼女たちが求める理想のそれへと、日一日ごとに変化していき、同時に、彼女たちのブレインダメージへの、そしてそのプリンセスである私への愛着と忠誠心も深く、強くなっていく。
その変化をもたらし、促しているのが私がオーナーから受け継いだ魔法によるものであり、そして、それを二人が自ら受け入れたからでもある。

バニーガールに憧れていたアイとサトコの、理想の美女になりたいという思いが、私の魔法と合致・融合し、彼女たちの身体と心を、彼女たちの理想のそれへと改変した。
そこには私の理想もフレーバーとして加わっているが。
単に染めたという領域を越えて、流れるような美しい金髪となったアイの髪には、そんな面影を感じる。

他のバニーガール同様、彼女たちも既に私に依存しており、私とスキンシップしレズセックスしなければ生きていけないほどになっている。
ふふ、バニーガールに憧れられるのは嬉しいこと、私に憧れるバニーガールを自らの手で作るのは更に楽しいこと……

だが、私にとっては、これはまだ練習段階に過ぎない。
理想の女性としてのバニーガールに憧れる女性をバニーガールへと堕としたというに過ぎない。
いよいよ次は男をバニーガールへ変える魔法を試す時だ……
¨ [R] No.905
ミナミバシがブレインダメージの店内に入ると、またも廊下の《プリンセスとしもべ》の写真が架け替えられていた。
それは、プリンセスとバウンサーの秋姫が抱き合って踊る姿を映したものだった。
何度見てもため息が出るほどのプリンセスの美しさに、改めてほれぼれとなるミナミバシだったが、一方で、毎度毎度営業百合を意識した写真を見せられるのは、正直苛立たしくもあった。
この店のバニーガールは、お客である男のものではないか、という思いが募る。

店内に入っていくと、フロアマネージャーを兼ねるバニーガールの泉美が、声をかけてきた。
「ようこそいらっしゃいました、ミナミバシさま。予定通りにお知らせ致します、本日よりプリンセスが通常営業としてお店に出ます。といっても”特例職分”の通常営業ですが、サービスを希望されますか?」

思ってもみなかった事態に、ミナミバシは小躍りしかけた。
そして店内を窺う-キタダニやニシアガリのような、他にプリンセスをしつこく指名し続けている客は来ていない。
「是非希望したいね……”特例職分”だと、どういうサービスが受けられるの?」
「基本的にはレヴュー形態ですが、希望されればその後に追加サービスも可能になります。いかがされますか?」
レヴューか、その上に、追加のサービスまで付くとなると、安くはないな、とミナミバシは内心で考えを巡らせた……この店で追加のサービスというと何を指すのかは決まっている。

ブレインダメージのサービスの中で、最もランクが高いのはレヴューであり、下位のレヴューですら性行為を伴うサービスより高額の料金がかかる。
そのどちらを求めるかはお客の好み次第というところでもあるが、ブレインダメージのバニーガールたちは、これまた踊りや歌、手品も本職顔負けの一流であり、それに派手なステージエフェクトも加わって、一見の価値ありというのがお客の間での評価となっている。
常連客の間では、レヴューを一回でも多く見ること、上位ランクのバニーガールが多数出演するレヴューを見ることがある種のステータスにもなっており、ミナミバシも相当の額をレヴューの観覧に注ぎ込んできていた…そして、相当額の未払いを店に溜め込んでしまっている。まぁ、督促がないも同然なので、そのまま済ませてしまっているが。

料金はいくらなんだ、と尋ねると、提示された金額はレヴューだけで8.5チップ、その後の追加サービスは応相談だという。
安くはない……が最高ランクのレヴューーバニーガールが6、7人が出演し、入れ代わり立ち代わり歌ったり、踊ったりするーほど高くはない。バニーガール単体でそれだけするというところが、流石はプリンセスというところか。

とはいえ、ライバルに先んじてプリンセスのサービスを独り占めできるのであれば決して高くない、とミナミバシは踏んで、サービスを受けることを選択した。
¨ [R] No.906
レヴューのステージはビルの別のフロアにある。
流石に公共のホール並みのサイズとまではいかないが、ミナミバシ自身、資産家・富裕層との付き合いは多いので、自宅に自分や家族の趣味のためにこの手の小型ステージを自宅に持っている例はいくつか見てきているので、それらに比べるとかなり豪華な造りであることは分かる。
座席も豪華な革張りのソファだが、お客はミナミバシ一人だけ。
この豪華な空間を、そしてこれからステージに現れるプリンセスを独り占めに出来るのかと思うと、この高額も妥当なのかなとも思うし、後でライバルどもが吠え面かくのが予想出来て何とも愉快だ。

案内してきた泉美は、恒例の不払い額の確認を行う。
「先日来までの累計が678.8チップになります……清算なさいますか?」
後だ後、とミナミバシは聞き流したが、珍しく泉美は重ねて尋ねた。
「もう一度お尋ねいたします。本日清算なさいますか?」
いつレヴューが始まるかとわくわくしていたミナミバシは、紅葉に水を差され、不快感を露わにする。後だって言ってるだろ!の一喝で、泉美を追い返そうとするが、更に泉美は冷静さを崩さない表情と口調で、
「これも既に何度もレヴューをご観覧いただいているミナミバシさまには無用のこととは思いますが……ステージ上のパフォーマーには手を触れないようにお願いいたします。よろしいですね?」
わかったわかった、と言ってミナミバシは泉美を追い払う。

そして客電が落ち、暗いステージにピンクと紫のピンライトが落ちる。
派手な音楽が鳴り響き、ステージにバニーガールが文字通りうさぎの如き速さで飛び出てきた。

プリンセスではなかった。
若葉がその柔軟な身体をしならせ、飛び跳ねさせ、ひねらせて踊り始めた。
なるほど、前座ありか。

新体操選手張りにボールを抱きかかえて、床に寝そべったまま足を開いたり延ばしたり転がったりを繰り返す。
この手のステージにはつきもののポールにつかまって、客席へ向けて、バニーコートの上から胸の谷間を押し付けたかと思うと、今度は寝そべって足を大開きにし、左足をぴんとまっすぐに、ポールに沿って高く上げる。
バニーコートにぎりぎり包まれた股間が晒され、その大胆で恥を知らないポーズと無邪気な笑顔でのパフォーマンスが奇妙な対比を形作っている……
¨ [R] No.907
若葉が袖へ引っ込むと、照明が毒々しい緑がかったものに変わり、今度は浅黒い肌に白のバニーコートとハイヒールの、長身のバニーガールがステージへと上がってきた。名前はマナといったか。

黒と白のコントラストが美しい、そして鍛えられた体幹を感じさせる伸びやかな肢体。
その切れ長の涼しげな瞳もあいまって、まさに美女という言葉がぴったりだ。
表情には媚びがなく、それが踊りの力強い印象を補強している。
彼女が踊りだすと、まるで重力を感じさせないような不思議な感覚をミナミバシは覚えた。
セクシーであると同時にスポーティでもあり、躍動と優雅が融合した感覚……踊りにキレがあるだけでなく、しなやかさを感じさせるものだ……

しかし、同時にそれはやや不調和な印象もミナミバシには感じられた。
マナは確かに美しく、踊りも一流だったが、どこか何かが欠けているように感じられたのだ。
媚びのない表情やスポーティに過ぎる踊りっぷりは、若葉の純粋無垢な少女がエロく振る舞う踊りと対照的だったが、二人のパフォーマンスはやや両極端だ。
それはまるでこの後のステージをより盛り上げる役割を与えられているかのように、彼女は淡々と踊っていた。

そしてマナの出番が終わると、バックバンドの楽器の音が止まると共に、音楽が軽快なものに変わった。
浅黒い肌に白の衣装のマナと白い肌に黒の衣装の若葉がステージの両袖に位置し、二人が躍動してくるくると回りながら、ステージを席巻する。
そして、二人のバニーガールはたった一人の客であるミナミバシを左右から見ながら、二人の間で視線を交わすと、同時にミナミバシへ向かって大きく手を広げて見せた。
二人の動きにシンクロするように、ステージの照明も赤と青、緑とオレンジへと次々と変化していって二人の周囲を彩り、曲もダンスミュージックから明るいポップスへ変化する。

音楽に合わせて、二人は踊りながら背中合わせになり、その背中を互いにこすりつけ合ったかと思うと反転して正面で抱擁し合う。
依然として浅黒い肌のマナの表情は硬く、若葉の表情は明るく無邪気なもので、二人はステージ上で演じるキャラクターを堅持しているようだった……

興奮したミナミバシは、自分が二人のバニーガールに挟まれるように抱擁され、その健康的な肢体の柔らかさを感じ取る妄想に耽った……
¨ [R] No.950
そこで一旦音楽が止まった。
そして……ど派手なビッグバンドジャズの合奏に合わせて、照明の色が赤とオレンジに切り替わり、二人のバニーガールが左右に飛びのいて身体を離した時、そこに今までステージに影も形もなかったはずの一人のバニーガールが両手を大きく広げて立っていた―
プリンセスだった。

ミナミバシは、思わず、え?と唸った。
完全に意表を突かれた。どういう仕掛けか知らないが、これはいいサプライズだ。

「ご来場の紳士淑女の皆様、本日はブレインダメージのプリンセスショーにようこそ。今宵は思いきり楽しんでいってくださいませ」

ステージ上のプリンセスは、いつもと異なる赤のバニーコートとハイヒールといういで立ちに、ストールを肩から両腕にかけて巻き付けている。
そして、その両脇には若葉とマナが控えている。
三人の美しきバニーガールたちが並んで手を広げている姿は圧巻だ。

音楽が再開し、プリンセスが踊り始める。
曲はサンバの激しいリズムによるもので、派手な押し出しの今夜のプリンセスにフィットしていた。

プリンセスは両手を頭の後ろに回して脇を晒すポーズを取り、その爆乳を強調しながら、ヒールの高さを感じさせない足取りで客席フロアぎりぎりまでステップしてきては、また後退していく動作を繰り返す。

ポールに片手を絡めてくるりと開店したかと思うと、片足を大きく蹴り上げ、身体を折り曲げて、大きく掲げたその片足をポールに絡めて全身をスピーディに一回転させて見せる。

両手を後ろに突き出して広げたポーズで、客席に背を向けて、一歩一歩客席へ向けて後ろ歩きをして見せることで、観客に靴のヒールとそこから伸びる脚線美を意識させる。

後ろ向きに歩いてくるプリンセスの前後を、ステージの左右それぞれの端から若葉ともう一人のバニーガールがプリンセスと歩調を合わせて歩き、ステージを横断して見せる……

プリンセスが客席へと振り向くのと同時に、一度ステージを横断しきって、また元の位置へと戻る途中だったもう二人のバニーガールがステージ中央のプリンセスと縦の同一線上に並んだ。
三人はシンクロしたタイミングで両手を広げ身体をずらしながら、万華鏡のようにその位置を旋回させていく……

旋回のテンポが徐々にゆっくりになっていくのに合わせ、音楽も徐々にゆったりしたものへ変化していき、三人の動きも優雅なものへとなっていく。
そしてやがて三人はステージ上で完全に静止したかと思うと、おもむろに両手を胸の前に突き出して交差させ、ゆっくりと客席へと背を向けた。

そのまま三人は、まるでバレエのピルエットのように緩やかに回転していく。
やはり中央で踊るのはプリンセスで、タイミングをずらして、左右の二人が続くといった趣向だ。
そしてプリンセスが腰をぐっと落として両腕を広げながら静止した瞬間、音楽もぴたりと止んだ。三人のダンサーは膝を曲げた姿勢でその場に跪き、ダンスの終了を無言で示した…

ミナミバシは、夢中になって拍手を送った。
これほどハイレベルなダンスは、確かにこれまでにこの店のレヴューで見た中でも最上級だった。
そんなハイレベルなショーをたった一人で独占出来た喜びも相当に含まれていたが。
¨ [R] No.951
三人は深々と観客に頭を下げると、その姿勢からゆっくりと立ち上がり、ステージ中央にそのまま佇んだまま、静かな余韻を味わうようにしばらくじっとしていた……

そして、BGMが再びハードなビッグバンドジャズー先ほどまでの4ビートから8ビートへ、リズムも更に激しくなったーへと変わった瞬間、三人は一斉に両手を頭上高くに掲げた。
それと同時に曲調がガラッと激しいものに変わり、プリンセスたちは再びステージ上を激しく動き回り始める。

今度のダンスは今までにない激しさで、三人のダンサーの踊りにもキレや鋭さが更に増した。
三人それぞれの動作は複雑でありながら一糸乱れず、まるで三人のダンサーが一つの生き物のようにすらミナミバシの目には感じられた。

三人のダンサーたちの動きがシンプルになっていく。
三人がステージ上に横一列に並び、広げた手を取り合ってステップを踏み始める。

その脚線美を叩きつけようとするかの如く、三人はリズムを揃えて片足を前方へと大きく蹴り上げる……

インカムマイク越しに、プリンセスが叫んだ。
「さぁ、まだまだいきますわ!」
戸惑うミナミバシのそばにいつの間にか来ていた泉美が耳打ちする-

「追加サービスを希望されますか?」
はっとなったミナミバシは、大声で、希望するぞ、と怒鳴っていた。
いや、興奮のあまり立ち上がっていた。

今プリンセスたちがステージで演じているのは、凝った振り付けや演出の多いブレインダメージのレヴューにしてはかなり古風なフレンチカンカン風の踊りに過ぎないが、そのシンプルな躍動感はミナミバシの身体も共振させるものがあった。

ステージへとミナミバシが駆け寄っていくと、プリンセスもステージ下のミナミバシへと手を差し伸べる。
バニーガールの意外に力強い手にその手を取られ、ミナミバシはステージへと引き揚げられた。

バニーガールと一緒に踊れる……これが追加サービスか!
性欲を満たす方向性のサービスばかりを考えていたが、こういうのもいい……

いや、それだけではない。

先ほどまでのダンスは、健康的でエキサイティングなダンスでありつつ、やはり常にセクシーでエロティックなものだった。
三人のバニーガールの身体性がそのどちらも感じさせた。

今ミナミバシは話にならないくらい股間が硬く張りつめているのを感じる。
バニーガールと共に身体を動かしたいという衝動が湧きあがってくるが、それは肌をこすり合わせる類の動きとスポーティな動き両方への渇望だった。

どちらも……したい……
¨ [R] No.959
「ちょっと、頼みがあるんだが……」
ミナミバシは興奮のあまり声を上ずらせながら、自分の股間を指差した。
マナと若葉が一瞬驚いたような顔をする中、プリンセスだけが悪戯っぽい笑いを浮かべて見せた。

「その……バニースーツの上からでいいから」
そこまで言うと恥ずかしさに言葉が途切れた。
しかし、それで充分意図は通じたらしい。そこは追加サービスの通例として暗黙の了解だろう、とミナミバシは踏んでいた。

「ステージの上でとは、なかなかいいご趣味ですわ」
プリンスの笑い声に、ミナミバシは妙に安心した。

プリンセスは、ステージ上に座り込んでしまったミナミバシの股間に手を置き、愛おしそうに撫で上げた。
そして残りの二人は、ミナミバシとプリンセスを囲み、手を取り合ってステージをぐるぐると回り始める……
それは最初こそ単なるラインダンスに過ぎなかったが、次第にそのスピードが上がっていくにつれ、ミナミバシの股間をしごくプリンセスの掌の動きも加速していく。
そして、ダンスのスピードが上がっていくにつれ、三人の表情も変わっていく……

間近で自分を見つめているプリンセスは、依然として優雅で優しい笑みを浮かべているが、どこかその瞳の奥に、一連のダンスの激しさに通じる熱狂を感じさせた。
クールな表情のままのマナと天然な笑いを崩さなかった若葉は、その表情を基調としつつ、時折、硬くした股間を撫でられているミナミバシを嘲るような笑みを浮かべるようになった……

加速する一方のダンスに、ミナミバシはめまいを覚え始めた。
ステージ上で何か白い光が明滅し始め、何かと目を凝らしてみると、いつの間にか周囲にいくつものテレビモニターが設置されていた。

そのモニターの中では、ブレインダメージの名だたるバニーガールたちが、お客を相手に、あるいはお互いを相手に淫らな行為に耽っている映像が流されている。
その中には以前自分が金を出してバニーガールを抱いた時のものもあれば、プリンセスが他のバニーガールと獣のようにレズセックスを繰り広げるものもあった。
今自分が体験している身体的な悦楽に、イメージのそれが四方から押し寄せ、ミナミバシは絶叫した。

「おおおおぉぉぉぉぉぉーーーーっ……」
ズボンも下着も下ろさないままミナミバシは射精した。
¨ [R] No.962
身体はぐったりとしたが、股間は全く弛緩を見せない。
達してしまったことに対する羞恥により、ミナミバシは何を言えばいいのか躊躇ったが、プリンセスは構わずミナミバシのズボンのベルトを外し始めた。
ブレインダメージ最高のバニーガールは笑って言った-「さぁ、まだまだいきますわ」

裸に剥かれたミナミバシの股間に顔を貼り付け、プリンセスはミナミバシの肉棒にしゃぶりついた。
気が付くと、自分たちの行為に当てられたのか、もう二人のバニーガールたちもダンスを抱擁へ切り替えていた。

マナが若葉を床に押し倒し、バニーコートの上から腹を上下に舐めていく。
胸の谷間に向かうか股間に向かうか、十分に焦らしたうえで、マナは若葉の股間へと顔を埋める。
エナメル製のバニーコートの上からだが、マナの唾液がぬめぬめとした光沢を帯びる若葉の股間に、別種の光沢を塗りたくっていく。
「あぁ……お姉さまぁ……」
若葉が上ずった声を上げながら腰をくねらせる。

その艶めかしい腰使いに我慢できなくなったのか、プリンセスもミナミバシの肉棒を愛撫するのを手に変え、横入りして若葉にキスを施す。
四人の男女が不気味なひと固まりとなって、肉の快楽によって溶け合っていこうとしていた…
ダンスをやめたバニーガールとミナミバシたちを取り囲むテレビモニターには、今度はバニーガールたちの躍動的なダンスシーンが流されていたのだが、もうミナミバシにはそんなことに気づくゆとりがない。

「うっ……ううううっ……」
先ほどよりも数段大量の精液がぶちまけられた。プリンセスの顔から胸にかけてがひどく汚される。
「まぁ……」
精液に塗れても、プリンセスは優雅な微笑みを浮かべている。
しかし、その微笑はどこか淫らなものを感じさせた。
その表情を見た瞬間にミナミバシは再び勃起し、すぐに次の射精が可能になった……
桜色のプリンセスの唇が、漏れ出た精液を舐めとってくれている。

ダンスも佳境に入り、周囲のモニターの中でバニーガールたちの動きは激しさを増したが、既に一度の絶頂を迎えた後のミナミバシにはもう限界だった。
もはや羞恥心を持つ余裕もなく裸の下半身を晒しながら、ミナミバシはプリンセスに尋ねた。
「まだ……ショーは続けるのか?」
¨ [R] No.973
その言葉に、プリンセスたち三人は一斉に邪悪な笑いを浮かべた。そして、モニターの中ではまだ他のバニーガールたちが淫らに踊っている。
「もちろんですわ」

プリンセスに代わって、ステージ下の泉美がクールにそう言って頷くと、プリンセスがまたミナミバシの肉棒に食らいついた。
瞬く間にそれは怒張し、そしてあっさりと弾丸を打ち尽くしてしまう。

そしてモニターから流れるバニーガールたちの踊りはますます激しくなっていき、それに合わせてプリンセスが激しく手か唇でミナミバシのそれを映像のダンスに合わせたスピードで苛烈に責め、無理かと思われた勃起がすぐに可能となり、すぐに達する。

すっかり興奮した若葉とマナは、バニーの衣装が崩れ、あるいはタイツが破れた状態でもみ合い、抱き合い、貪り合っている……

十数回に及ぶ射精に、ミナミバシは、これは何なのか、という疑問を抱かずにはいられなかった。
その時、まさにミナミバシの思考を読んでいるかのように、満足げに、だが邪悪に微笑むプリンセスと目が合った。

ミナミバシの背筋に、そして右手首に寒気が走った-初めてプリンセスを指名した時に、彼女に施された右手首のキスマークが、今またくっきりと浮かび上がっていた。
「そう、私はブレインダメージという魔法の国のプリンセスですのよ」

(これがブレインダメージ最高のサービス……)
終わらない射精、終わらない快楽。確かにそれは性的快楽を提供するサービスとして究極のものかもしれない。
だが、それは人の領域を超えるものでもあることを、ミナミバシは知った。
¨ [R] No.974
「ここまでだ!今日のサービスはもういい!」
ミナミバシは、もはやブレインダメージが男のメルヘンあふれる魔法の国などではないと知っていた。
そして今自分がその魔法の国で果てようとしていることも……

だがバニーガールたちは非常な宣告を言い渡した。
「いいえ、ミナミバシさまにはまだまだサービスを堪能していただかないと。だって私とまだセックスしておられないではありませんか」

ミナミバシの精液にまみれたプリンセスが、疲労困憊したミナミバシににじり寄ってくる。
ミナミバシにはもう逃げるだけの体力が残っていない。だが捕まればその体力もないのに、搾り取られることになる……

プリンセスの欲求不満を察したように、マナが何かを取り出した。
小ぶりなピンポン玉ほどの大きさの球体がいくつか連なっているーアナルビーズだった。

マナが四つん這いになったプリンセスの網タイツの鼠径部を容赦なく破り、強引にバニーコートのハイレグ部をずらして、連結した球体をプリンセスの肛門に押し込めていった。
「おぉうン!」
プリンセスが切なく声を上げ、前へ回り込んだ若葉がプリンセスの唇や耳たぶにキスを繰り返す。

二人のしもべの奉仕あるいは折檻を受けながらプリンセスは、
「ブレインダメージのプリンセスは処女を保つことが要求されます……の。ですから……本来はお客さまへのサービスも最終段階に達することはない……その分、口や手でのサービスを……あふぅん!い…一生懸命努めさせていただいております……が…
「どうしてもこのお客さまとなら、というのであれば、お客さまと致しても構わない、とオーナーの許可をいただいております。いかかですの?ミナミバシさまは私が欲しくはありません?」

今までとは桁の違う猛烈な性欲が燃え上がり、同時に足元がなくなり、底なしの地獄へ落ちていくような恐怖感も同時に襲ってくるのを、ミナミバシは感じた。
ここでこの女としたら、自分は二度とこの魔法の国から出られなくなるだろうという予感が確固としてあった。

だが、一方では、この魔法の国で快楽を貪りたい欲望も全く否定できない。むしろ一度味わったあの得も言われぬ淫らさをもう一度味わいたいという渇望が止まらないのを抑えられない……

「欲しい!俺はあんたが欲しい!」
ミナミバシは叫んだ-
(もう後戻りはできない……)
と心の中で誰かが言ったような気もしたが、十数回目、あるいは二十数回目、三十数回目の怒張を迎えた自分の股間を見て、ミナミバシは地獄へ落ちる決心を固めた…
¨ [R] No.992
プリンセスは、ミナミバシに顔を近づけるとキスしてきた。
自分の精液の味が大量に混じるそれに嫌悪感を覚えないではなかったが、これは避けては通れない。

「私の身体をミナミバシさまに捧げます、ですからミナミバシさまも全てを私に委ねてくださいますわね?」
だがキスを終えると意外なほどあっさりした態度で、プリンセスは怒張したミナミバシのものを握ると、強引にバニーコートをずらした股間へと導いた。
ここまでこれほど濃厚に技を尽くしてきたのだから、もう前戯もへったくれもなかった。

「おうッおうッおうッおうッ!」
腰の上に乗ってきたプリンセスの律動に合わせ、ミナミバシはこれが人生で最後のセックスになることを覚悟して男性器を突き上げた。そして射精を迎える……
「ーーーーー!」

もう声は出なかった。ミナミバシは男性としての全てを撃ち尽くし、卒倒した。
とっくに知覚出来る限界点を越えて快感は感じなくなっていた。
全身の感覚が失われる中、ただ右手首のキス痕だけが冷たく疼き、そしてある女の声―プリンセスでも他のバニーガールでもない―が脳内にこだましていた……
(ふふふ、後戻りは出来ないわよ……)
¨ [R] No.993
-目が覚めると、ミナミバシは、ステージ袖で、泉美、マナ、若葉、バウンサーの秋姫に囲まれていた。衣服は全て剥ぎ取られていた。

「本日のサービスは終わりです」
相変わらず冷静な泉美の言葉に、死をも覚悟していたミナミバシは、安堵を覚えかけた。
そうだ、所詮あくまでサービスじゃないか。これもプレイの一環だな…

「お会計です-」
いつも払わずに済ませてきたミナミバシは聞き流すつもりでいたが、金額を聞いた瞬間、鼻血を噴きそうになった。
「今回は当店のルールを破った罰則金も含んでおります。74231.42チップになります。これ以上の貸し付けは不可能ですので、本日は即金でお支払いください」

「ちょっと待て、なんでそんな馬鹿な額に……確か全部で六百いくらの筈じゃ……」

そこまで言って青ざめる。
自分の命、男性としての命を保ったまま魔法の国から出ていくにはそれくらいの支払いが必要になるということだ。
それはプリンセスとのセックスで自覚したことではないか。プリンセスにも自分の全てを捧げると約束したではないか。

……そもそもステージ上のパフォーマーには触れないようにと念押しされ、約束してしまったではないか。
向こうがステージ上から誘ったとはいえ、あそこで応じなかったら……

何より……魔法の国のプリンセスの処女を買ったのだ。代金は生半可なもので済むはずがない。

「お支払いいただけないようでしたら、当店流の返済をしていただくことになります。即ち働いて返済していただく、バニーガールになっていただくことになります」
楽しそうな笑いが背後から聞こえた。
振り向くと、プリンセス―汚れた顔や体はきれいに拭き清められ、バニーコートも通常の黒に戻っている―がやって来ていた。

「ブレインダメージのお仕事は楽しくてよ、怖がることはないわ」脅しや皮肉を一切含んでいない口調だったが、それ故に恐ろしい。

泉美が契約書を読み上げる-
「ひとつ、当店従業員になった者は、負債の回収が終わるまで、当店区画から出てはならない、ひとつ、当店従業員は、当店顧客と合意の上に成立したサービスには、性的なものも含め、必ず応じなければならない、ひとつ、当店従業員は、そのバニーガールとしての職分ごとに定められた研修・トレーニングを常時受けなければならない、ひとつ、当店従業員の給与は、当店区画内への居住費・諸生活費・プリンセスからのサービスという形で支払われる、ひとつ、当店従業員は、オーナー及びプリンセスへの絶対的な服従・忠誠が求められる……」

絶望的な言葉が淡々と読み上げられ、ミナミバシは叫び出しそうになった。
だが、声が上げられない。同時に、心の中から別の声が聞こえてくるー女の声が……
同時に、右手首のキスマークが痛いほどに疼く…
¨ [R] No.1000
「そうね、ステージ上でセックスはしたけど、ダンスはいっしょに出来なかったから今やってもらいましょうか、せっかくうさぎさんになるのだし」

プリンセスがその場で飛び跳ねた。するとワンテンポ遅れてミナミバシの身体も跳びあがった。
何が起きたか分からなかったミナミバシは呆気に取られたが、すぐにプリンセスがもう一回ホップした。するとミナミバシの身体もそれに続いた。ミナミバシの意思によってではなく。

「ぴょん♪」
プリンセスが無邪気に微笑みながらホップする。今度は、意識して身体を動かすまいとしたミナミバシだが、身体が独りでに飛び跳ねてしまう。
「ぴょん♪」
(ぴょん♪)
次に飛び跳ねた時、驚くべきことに、ミナミバシの脳内である女の声がプリンセスに呼応して唱和し、そのタイミングに同調してミナミバシの身体も飛び跳ねる。
「ぴょん♪」
(ぴょん♪)

「待て待てぇ!やめろぉ!俺は跳びたくなんてな……」
抵抗も空しく、身体は飛び跳ねてしまう。そして脳内の声は飛び跳ねるごとに鮮明になって来て、ミナミバシを嘲るように、楽しげにぴょんと囁く…
そして、右手首のキスマークからは不気味な震えがゆっくりと全身に広がり始めた…

うさぎを模したホップは何十回となく続く。
ぜいぜいと息をつきながらやめてくれ、とミナミバシは懇願するが、プリンセスは一切疲れた様子を見せず、跳ね続ける……

だが……右手首から全身に広がっていく不気味な感覚は、その部位の汗を冷やし、疲労を拭い去っていく。
一瞬ミナミバシは安堵し、その冷たい心地よさに身を委ねようとしたが……すぐに脳内で響く声とその冷たい感覚が一体であることに気づいた。
「ああっ……ああっ……やめ……はぁぁぁ……やめてく…れ……」

全身がミナミバシのものではない新たな感覚に包まれ切った時、ミナミバシの身体に宿っていた疲労は全て消え失せた。
いや、ミナミバシの存在そのものが消え去ったのかもしれない。
飛び跳ねるミナミバシの身体は不思議な虹色の光に包まれ、その姿を視認することが出来なくなっていく……
¨ [R] No.1013
そして光が薄れていき、ホップしていたミナミバシが着地すると……
そこにいたのはミナミバシではなく、一人の美少女だった。
「ぴょん……あれ、俺は……あたしは……」

プリンセスは満足げに微笑み、新たに生まれた美女を見下ろす。
「そう、あなたは生まれ変わったのよ……可愛いわ、それがあなたが理想とする女性の姿なのね」
「ああああ、俺、女になって……女になれたわ、やっと……いや、こんな筈じゃなかっ……もう後戻りしなくていいのね……」

ミナミバシの旧来の人格と肉体の変身に伴って誕生し浮上したもうひとつの人格が肉体の所有権を巡って争っているのが、傍目で見守っているプリンセスにも分かった。

このまま放置しておけば、肉体に適合しない方の人格が消滅するのは目に見えているが、プリンセスは、自分が作り出した少女が不要な苦しみを味わうのを見ているのは耐え難かった。
戸惑う様子の少女の顎に手を伸ばし、その唇を自分のそれで塞ぐ。

最初、少女はショックに目を丸くしたが、すぐに自分の創造主により祝福を受けていることを理解したのだろう、肩から力が抜け、目つきがとろんとしてきた。

プリンセスは彼女の肩に手を回し、優しく抱き寄せた。少女はうっとりとした表情でプリンセスのキスを受け入れている。

永遠に続くかとも思われたキスが解かれた。
深いため息をつく少女は、眼前で微笑むプリンセスを熱のこもった視線で見つめ返して呟く-

「これが私の理想とする女性の姿……なのですね……」
「そうよ、あなたはずっとこの姿になりたいと心の奥底で願っていたのよ、だから私があなたを外に出してあげたの」

プリンセスは、自分が初めて生み出した女を愛おしげに抱きしめた。
¨ [R] No.1014
「あなたには女性としての新たな名前が必要ね……そう、アリスというのはどうかしら」
「アリス……それが私の名前……」
そこでプリンセスは、見落としをしていたことに気づき、自分の額を叩く。
「いけない、あなたの着るものを用意しなくては。だめね、オーナーさまだったら、そこまで先回りしてやっていたでしょうに」
プリンセスはアリスを抱きしめて目を閉じ、その背中を撫で下ろし、尻や腕周りをつかんで、しばらく沈黙していた。そして、おもむろに命じる。

「8号Bのバニーコート、それにサイズ8インチ・ヒール6インチの靴、50デニールのタイツ、同デニールのフロントハイネック、タイは青の長ネクタイ、カフスはエナメルバンドタイプのもの。そうね、同じタイプのアームレットもつけようかしら……しっぽ飾りの代わりに、他の飾りつけをしましょう」

するとアリスの裸の下半身が透け感のあるタイツに覆われた。肌に貼りついていくように、妻先から腰回りへと、ナイロンのタイツが出現していく。
同様に、ダークブルーのワイシャツカラーと一体となった、タイツと同じ素材のハイネックの前かけが、鎖骨と背中の大半を残しつつ、首から胸にかけてを覆う。
そして、プリンセスが手を翳すと、強烈なまでに切れ込みの鋭いハイレグのバニーコートが、アリスの股間からプリンセスに負けず劣らずの大きさの乳房の下半分までを引き締めるように覆った。
ネイビーブルーの髪に覆われた頭にはうさぎの疑似耳付きのヘッドバンドが、両手首にはカフス代わりにエナメル地のゴム製の腕輪が、そして両二の腕には同じ材質のアームレットが装着された形で出現する。
ふわりと宙から落ちてくるように出現した青いネクタイをつかんだプリンセスは、自らの手でアリスのカラーにそれを通して結んでやる。
そして跪くと、いつの間にか足元に出現していたハイヒールを手に取り、そっとアリスの足を取って、愛情込めてその足首にキスを施し、靴を履かせた。
そしてこれもまた中空から取り出した楕円形の飾りふたつを、アリスのバニーコートの両腰骨の後ろから尻にかけてに取り付ける。
その一挙動ごとに、アリスは、母に初めて服を着せてもらっている子供のような無邪気な笑いを浮かべる……

「あなたはダンスの中から生まれた、だからダンスは得意な筈よ、ちょっと踊って見せて」
プリンセスの要求に、アリスは腰と膝を曲げてホップとステップを繰り返して見せた。
頭の上では疑似耳が、腰回りでは楕円形の飾りがいたずらっぽく揺れる。

「うん、これで正解」プリンセスは自分の見立てが正しかったことを確信し、同時に、自らが生み出した最初のバニーガールの可憐さ、その躍動感ある踊りに太鼓判を押す。

【最初の女性化とは思えない見事な仕事でしたわ、プリンセス】
プリンセスの疑似耳に、オーナーの声が響く。
「ありがとうございます、オーナーさま!」
【これで安心しました、さぁ、次のバニーを創る構想を練りなさい、素材が抱えるアニマ像を勘案した上で】
「ええ、素材へのアプローチは既に十分です。どんなバニーガールに仕上げるか……それに、どんなレヴューを提供するか考えるのが楽しくて……」
¨ [R] No.1028
-マネージャーの泉美の先導に従い、ニシアガリは、ブレインダメージの店内の廊下を歩いていく。

ふと気が付くと、例の《プリンセスとしもべ》の写真が架け替えられていた。

それは、プリンセスと名前の知らない新人であろうバニーガールが共にホップしながら踊っているものだった。
本物のうさぎもかくやという躍動感が、見事に捉えられている写真だった。
この新人も相当いいな、そのうち指名してみるか、とニシアガリはぼんやりと思う。

ついに、執心してきたプリンセスが店に出るということで、ニシアガリは大きな期待を抱いてレヴューが上演されるフロアに向かっていた。

座席はがらんとしていて、お客はニシアガリ一人しかいない。
この豪華な空間を、そしてこれからステージに現れるプリンセスを独り占めに出来るのかと思うと、心が躍った。

案内してきた泉美は、恒例の不払い額の確認を行う。
「先日来までの累計が758.4チップになります……清算なさいますか?」
「しないよ」いつもはこのひと言で十分な筈だったが、珍しく泉美は重ねて尋ねた。

「もう一度お尋ねいたします。本日清算なさいますか?」
「ああ、そのうちな」はなから相手にする気がないニシアガリだが、更に泉美は繰り下がる。

「これも既に何度もレヴューをご観覧いただいているニシアガリさまには無用のこととは思いますが……ステージ上のパフォーマーには手を触れないようにお願いいたします。よろしいですね?」
わかったわかった、と言ってニシアガリは泉美を追い払う。

ソファに座って待っていると、客席の灯りが消えた。そして華やかなBGMが鳴り始める。
いよいよか、と思った時、袖から押されたのだろう、キャスター付きの箱が無人のステージへと滑り出てきた。

箱はステージの中央でぴたりと止まった。そしてBGMのドラムが期待を煽るようにロールしていき……

ファンファーレと共に箱の天井が開き、その中から何かが飛び出した―一匹のうさぎだった。

思わずニシアガリは呆気に取られる。だが……

うさぎはその場で垂直に跳び始めた。その上下運動のスピードがどんどん速くなっていき、ジャンプの高さもそれに合わせて高くなっていく。うさぎは人の身長よりも高く飛び跳ね……

タンッ!
ドラムが高い音を打ち鳴らしてBGMが止まると同時に、うさぎが着地した地点には一人のバニーガールが立っていたー

プリンセスだった。
¨ [R] No.1030
一瞬、ニシアガリは己の目を疑い、言葉を失った。だが次の瞬間にはこの見事なマジックに拍手を送っていた。
気取って頭の上にかざしていたシルクハットを顔の前からどけると、プリンセスの不敵な笑みがニシアガリの視界に飛び込んでくる。

今日の彼女は、髪を頭の左サイドで編み込んで、右肩からサイドに流し、バニーコートの上からマジシャンの職分を表すジャケットを着ている。

前がぐいっと開いた紺色の細身のボレロジャケットだが、材質はバニーコートと同じ光沢感豊かなエナメルで、しかも恐ろしくタイトに、プリンセスの肩に、上腕に、下腕に貼りついている。
下腕から手首にかけてがそのまま指ぬきガントレット状態になっており、中指に引っ掛ける形で手の甲を三角形に覆っている。
その指はパープルピンクのマニキュアに彩られ、悩ましい輝きを放っている。
ジャケットの手首の上からバニーガールとしてのカフスが取り付けられているが、それは純白でありながら鈍い光を放つ金属製で、その上には、カフスを留めるというより飾りつけとしての用途だろう金のボタンが三つ光を放っている。
カラーはいつもの通りの白ワイシャツのものの流用だが、紺色の長ネクタイが巨大な乳房の谷間に吸い込まれていっており、嫌が上にも視線をそちらへと誘導する。
バニーコートは相当に鋭角的な、細身な造形で、トップではいつも以上に乳首ぎりぎりまでのみを覆い隠して乳房の巨大さを強調し、ボトムでは鼠径部の切れ込みを幾何学的な三角形に見せている。
その下、下半身を覆うのは網やナイロンのタイツではなく、黒と灰の中間色のラテックス製のタイツで、やはり彼女の腰から足にかけてにぴっしりと貼りつき、その身体の線を見事にトレースして、足元の紫のハイヒールに収まっていた。
下半身が身体の線を強調したタイツであるにも関わらず、材質が肌の色を見せないラテックスであること、上半身がジャケットであることと相まって、その姿は上下揃ったスーツを着ているように見えた。

まさにマジシャンに相応しい。
それでいて、スーツを着込んで身体の線が隠れるという不満を与えない、見事にプリンセスの柔らかな身体の線を余すことなくさらけ出している。
タイトさと豊満さが何の矛盾もなく同居する格好であり、更に考え抜かれた材質による光沢感が全身に添えられることで、プリンセスの生肌の輝きとこれもまた見事なコントラストを描いていた。
¨ [R] No.1031
ニシアガリは拍手を送りつつ、プリンセスのセクシーな装いにごくりと唾を呑みこむ。

自信ありげな笑みを浮かべ、プリンセスはシルクハットに手を突っ込む……
中から彼女がつかみだした何かを投げると、宙に火花が飛び散った。
再度シルクハットにプリンセスは手を突っ込むと、その中から今度は一本のステッキが現れた。ステッキの先にシルクハットをひっかけて掲げ上げたプリンセスは、それをくるくると回転させて玩んだ。

そして……プリンセスがステッキを一瞬手から離し、また宙でつかむと、それはステッキではなくステッキを模した棒キャンディへと変身した。
棒キャンディをまた手から離し、また宙でつかむと、それは消え去った……
プリンセスが手を開くとそこには紙包みにくるまれた球状のキャンディが乗っている。

器用に、指と指の間にキャンディを挟んだプリンセスが指の間から指の間へと移動させ続けていく……気がつくと、キャンディが二つになり、三つになる。
ピンポン玉を増やす要領の手品だ。
ステージ際まで来たプリンセスは、にっこりとニシアガリに笑いかけ、キャンディのひとつをニシアガリに差し伸べた。
「はい、どうぞ」
差し出されたキャンディを思わず受け取ってしまうニシアガリ。

後ろ姿で一歩一歩歩く姿もセクシーに、ステージ中央へと戻ったプリンセスは、次のマジックに取りかかる。
自分がうさぎとして出てきた箱にプリンセスは手を突っ込む……中から彼女がつかみ出したのはもう一匹のうさぎだった。

優しくうさぎをステージの床に置くと、プリンセスの手の中に再びステッキが出現した。
うさぎに向けてプリンセスはステッキを振る……

先ほどうさぎからプリンセスへと変身したのと同じ現象が繰り返された。
うさぎが飛び跳ねたかと思うと、それが着地した瞬間には、それは一人のバニーガールに変わっていた。
¨ [R] No.1033
優しくうさぎをステージの床に置くと、プリンセスの手の中に再びステッキが出現した。
うさぎに向けてプリンセスはステッキを振る……

先ほどうさぎからプリンセスへと変身したのと同じ現象が繰り返された。
うさぎが飛び跳ねたかと思うと、それが着地した瞬間には、それは一人のバニーガールに変わっていた。

そのバニーガールは、白のバニーコートに、下半身を白のタイツとハイヒールといういでたちで、髪は黒くて長いストレートヘアだが、前髪の一房だけが金色に染められ、それが揺れて右目を隠す。衣装の白に対して左目の色が黒なのがコントラストになっている。

「ご紹介いたします、助手を務めてくれるティナですわ」
プリンセスの紹介に合わせ、ティナは笑顔で客席に向かっておじぎする。

プリンセスは、手の中のキャンディを一つ口に入れ、ティナにキスした。
舌から舌へとキャンディが受け渡される。
二人のバニーガールは熱っぽくキャンディを介してキスを繰り返す。
愛するプリンセスに甘いキャンディを与えられている歓びに堪らなくなった様子のティナは、プリンセスに抱き着き、身体をこれでもかと密着させた。
二人の豊満なボディがこすれ合い、それを包むエナメルの衣装が淫猥な音を立てる。
ニシアガリは思わず席を立ち、ステージぎりぎりまで駆け寄って、愛し合う二人のバニーガールを凝視した。

その視線に気付いたのだろう、プリンセスはティナとのキスをやめないまま、ステージ下にもちらりと視線を向けてきた。

その瞬間、ニシアガリは自分の全てをプリンセスに呑み込まれてしまったような-プリンセスとティナの唇の中に囚われたキャンディになってしまったような-錯覚に襲われた。

ただ見られているだけで身体から力が抜け、立っていられなくなる。プリンセスから目を離せなくなってしまう。

それは……自分が女性であるという感覚。女性でありたいという感覚。

自分が女性であったら、バニーガールであったら、自分もティナと同様に、プリンセスとキス出来るのに、という妄想が思考の奥深くへと染み込んでいき、ただただうっとりとプリンセスに見惚れ続ける自分を認識していた……

そんなニシアガリをプリンセスはじっくりと眺めた後、またティナとのキスに戻っていく。

キャンディがほとんど溶けて小さくなり、プリンセスは唾液と共にそれをティナの喉奥へと押し込んだ。
¨ [R] No.1034
プリンセスは次のマジックへと移る。

ティナがステージ袖から持ってきたのは、キャスター付きの鏡台だった。
にこにことした笑いを浮かべながら、ティナが鏡台を回転させて表にも裏にも仕掛けがないことを示して見せる。
そして客席に裏側を向けた鏡に、プリンセスが意味深に笑いながら鏡に向けてステッキを振った。ティナが鏡台を表に返す……

鏡には、正対する光景が映っている筈だった……基本的には、それは間違いではない。

だがたったひとつ、鏡の中から一匹のうさぎが客席の方を見つめていることを除けば。

どういうことだ、とニシアガリは目を凝らした。ステージ上にうさぎの姿を求めるが、そんなものはいる筈もない。だが、鏡の中の世界には確かにうさぎがいる。

プリンセスがステッキを掌で叩くと、それに合わせてうさぎがぴょんと鏡の外へと跳び出てきた。

え、とニシアガリは目を見張るが、プリンセスは意に介さずうさぎに対してステッキをひと振りする……

予想通り、ティナと同様に、うさぎは新たなバニーガールに変身した。ニシアガリは良く知らないが、サトコだ。

プリンセスはその指の間に挟んだキャンディをまたも指の合間で転がし、ひとつ増やす。
そして新たなバニーガールに口移しで舐めさせた。とろんとしたまなざしで、バニーガールはプリンセスが与えてくれる甘い喜びを受け入れている。

バニーガールはステージ後方へ下がって待機し、再度ティナが鏡台をキャスターごと回転させる。
そして、それが客席を向くと、そこには一匹のうさぎが映っている……

次々と鏡の中からうさぎが跳び出てきては、バニーガールに変身し、プリンセスの唇からキャンディを与えられる、ということが繰り返された。ステージにはバニーガールが溢れかえっていく。
次から次へとハトを取り出すのはマジシャンがよくやる手品だが、次々とうさぎを呼び出し、しかもそれをバニーガールへ変えていくなどという芸当は、その離れ業っぷりでもゴージャスさでも類例がない。
ニシアガリの目はステージに釘付けになった……
¨ [R] No.1036
が、やがてニシアガリの注意はプリンセスでもバニーガールたちでもなく、鏡に惹きつけられていった。

延々と同じ手品が続いているから飽きた、というのでもない。寧ろ、次はどんなバニーガールが出てくるのかという期待感がある。

だが……何故か鏡に注意が向いてしまう……鏡の中から何かが自分に呼びかけてきているような気がする。

同時に、右手首に奇妙な疼きを感じた―初めてプリンセスを指名した晩に、彼女にキスされた箇所だ、とはその時のニシアガリは気づかなかった。

相変わらず回された鏡が客席に向け直される度にそこには一匹のうさぎが映っていたが、ニシアガリはそこに目を凝らす……
客席に立ち、ステージぎりぎりまで出てきて鏡に向き合っている自分の顔が鏡に映っている。それは分かる……

……うさぎの他に、鏡の中にぼんやりとした一人のバニーガールの姿が浮かんで見えた。
後ろを振り向いてみるが、うさぎ同様にそんなものは実際にはいない。
うさぎは鏡の中から出てくるが、このバニーガールは出てこない……いつ出てくるのだろう、などと思ってしまう。

ステージには、勢揃いといった態で、既に十数人のバニーガールが現れ、ステージ後方に横一列に並び、ポーズを取っていた。
見るからに壮観な光景だが、そこに鏡の中に幻視したバニーガールがいないことは何かが欠けているように思われた。

「その……すまない、その鏡に映っているのは……」
無粋な質問だとは思ったが、ニシアガリはステージのプリンセスに思わず質問してしまう。
プリンセスは悪戯っぽく笑い、人差し指を唇に当てて無言を保つ。
説明無用ということか、更に焦らされ、ニシアガリはたまらくなってきた。
¨ [R] No.1039
「頼む、その鏡に映っているバニーガールを見せてくれ!」
こらえきれず、ニシアガリはステージによじ登った。
だがプリンセスは手を挙げてニシアガリを制止し、例の手業で指と指の間にキャンディを出現させた。
そしてそれを自らの口に含むと、いきなりニシアガリに抱き着き、唇を重ねてきたー

思わぬサービスの開始に、ニシアガリは目を丸くし、一瞬鏡の中のバニーガールのことを忘れかけた。
プリンセスは大胆な舌使いでニシアガリの口腔に自分の下をねじ込んできて、ニシアガリの舌にキャンディを受け渡した。
ニシアガリは、キャンディとプリンセスの舌の両方を夢中になって貪る。

ぺちゅ…ぺちゅ…
キャンディを舐める音が隠微に響く。
自分の口の中の音なのだからはっきり聞こえるのは当然だと思ったが、次第に、ニシアガリはその音の大きさが異様であることに気づいた。

気がつくと、後方に整列したバニーガールたちも一様にまだキャンディを舐めていた。
ニシアガリとプリンセスの口の中でキャンディが舐められる音とシンクロするように、彼女たちの口の中の音までがニシアガリの耳の中で反響しているようだった。
その音に、ニシアガリの感覚は次第に麻痺していく…

プリンセスはニシアガリをきつく抱きしめると、またキャンディを舌でニシアガリの口腔に押し込む。
そしてキスしながら、右手で自分の胸元にニシアガリの手を導いた。掌がプリンセスの乳房に触れ、思わず揉みしだいてしまう。
プリンセスはまたも笑いながら唇を離し、ステージ後方を見つめた。釣られてニシアガリも目をやる…

ステージ後方を埋め尽くしたバニーガールたちが二人一組となって、一様に手を相手の股間へと伸ばし、それぞれを慰めていた。
耳の中で鳴っている咀嚼音に加え、その異様に美しく、淫らな光景にも、ニシアガリは心を奪われる。

バニーガール同士が相手の股間を愛撫するのと同様に、プリンセスはニシアガリの股間に手をやり、擦り上げ始めた。既に硬く張り詰めていた肉棒が当然に反応するが、そこには少し違和感があった……

「うぐっ………」
刺すような快感が背筋から脳髄にかけて走り、ニシアガリは達した。荒い息をついてぐったりとなり、プリンセスに支えられる格好になったニシアガリだが、そこで違和感の正体に気がついた。
¨ [R] No.1040
射精量が異様に少ない。

これほど興奮し、これほどの刺激を感じたというのにこれは妙だと思う間もなく、プリンセスは更にニシアガリの股間を擦り上げる。

そしてひざまずき、ニシアガリのズボンのジッパーを上げると、取り出した肉棒をその巨大な乳房の谷間で圧迫した。
脱がずとも十分に肉棒を挟み込めるバニーコートのエッジの浅さとプリンセスの乳房の巨大さに、ニシアガリは改めて息を呑む。

プリンセスがその巨乳を上下させる。
吸い付くようにきめ細かい乳房の肌とエナメル張りのバニーコートの感触のコントラストが、ニシアガリの感覚に強く訴えかけ、興奮を煽る。

「うっ……」
あっという間にニシアガリは達した。だが、射精量は少ない。

今度は目に見えて分かった。
プリンセスの乳房に精液がぶっかけられたが、それを見れば明らかに少ないのが分かる。
二度目の射精ということを割り引いても、こんなに少ないのか。
プリンセスは明らかに挑発と侮蔑の意図を込めた笑いを浮かべて、ニシアガリを見上げた。
自分の男性としての能力を見せつけられたようで、ニシアガリは落胆した……

だが、陰茎自体の怒張はいささかの衰えも見せない。射精に伴う興奮の収まりもない。まだ……続けたい。

ニシアガリの意図を汲んだかのように、プリンセスは再度乳房を上下させ始める。
あっという間にニシアガリは達してしまう。
最早精液は数滴飛び出すのが精いっぱいだった。
耳の奥では、ニシアガリをあざ笑うように、バニーガールたちがキャンディをしゃぶる音が響いている……

「ふふふ、もう手遅れよ、あなたのコレは弾切れして後は消えるだけ」
プリンセスは口から舌を突き出してみせる。そこにはキャンディが乗っていたが、あと少しで溶け落ちてしまうまでに小さくなっていた。
その意味を理解し、ニシアガリは青ざめた。
¨ [R] No.1045
プリンセスはその手をニシアガリの股間にやり、ズボンの股下の上から陰嚢を持ち上げる。
陰嚢内の睾丸の感触がすっかりなくなろうとしている……いや、なくなってしまったと言っていい。

一方で、射精するべきものがなくなってしまった肉棒は全く鎮まりを見せず、性欲はどこまでも昂っていくばかりだった。
どう振る舞えばいいのか分からなくなり、ニシアガリは戸惑わざるを得なかったが、相変わらずその耳奥ではバニーガールたちがキャンディを舐める音がこだましている。
それは男性としてのニシアガリの存在を文字通りしゃぶり尽くしてしまう恐ろしい響きの筈だった……

だが、今の興奮を極めたニシアガリの脳裏には、寧ろそれは興奮を煽るものとして響いた……

このまま自分という存在を……全て溶かしきって欲しい……彼女たちの口の中で……

今のニシアガリの感覚は、怒張しきった肉棒の脈動とそれに同期する右手首の疼き、耳の奥に直接響くキャンディを舐める音だけに支配されている……
¨ [R] No.1047
「さあ、あれをご覧なさい」
プリンセスは鏡を指し示す。

気がつくと、先ほどまでは曖昧な姿しか映っていなかったバニーガールの姿がずっと明確に映っており、ニシアガリは目を見張った。プリンセスから離れ、ニシアガリは膝立ちで鏡のところまで這っていった。

鏡に映るのは既にニシアガリの姿ではなく、ひとりの美しくバニーガールのそれだった。
欲情したバニーガール……
今までは表情がはっきり見えていなかったが、今ではその顔がはっきり見え、いかに彼女がいやらしい女であるかがはっきり分かる。

男性としての生命を終えつつある、それでいて欲情が一向に収まる気配を見せないニシアガリは、その疼いて仕方がない右手で鏡を撫でる。
鏡の中のバニーガールも、鏡のこちら側のニシアガリと同じポーズを取り、鏡のこちら側と向こう側で手と手が重なる……
”もっと近くにいらっしゃい……”鏡の中のバニーガールの口がそう囁いたような気がした……

プリンセスもまた、ニシアガリの傍へと歩み寄る。
「これがこのショー最後の楽しみ……ふふふ……」

プリンセスはそう言ってニシアガリに口づけした。プリンセスの舌が、ニシアガリの口内にキャンディを押し込む。

その意図を察したニシアガリは、それが男性としての自分の破滅を意味することを知ったが、全く躊躇せずプリンセスの唾液ごとそのキャンディを飲み込んだ。それ以外に行き場のない欲情を晴らす方法はない……

ニシアガリと同時に、ステージ場のバニーガールたちも、全員が小さくなっていたキャンディを呑み下した。
糸の切れた操り人形のように、ニシアガリは後ろへ倒れこむ―

そこには鏡があった。

ニシアガリの下敷きになって粉砕されるかと思われた鏡は、逆にニシアガリの身体を飲み込んだ。
水に落ちたように、何の抵抗もなくニシアガリの身体は鏡面に沈み込んでいき、ステージから消え去った……
¨ [R] No.1054
お客が消えてしまっても、プリンセスはステージマジシャンとしての態度を崩さずにパフォーマンスを続行する。目配せして、ティナに鏡台を回転させた……

鏡が再び正面を向くと、そこには物欲しげな表情を浮かべた一人のバニーガールが映っていた。
プリンセスがステッキを一振りしてから鏡に向けて手を差し伸べると……その手は、先ほどまでのニシアガリ同様に、鏡の中に沈み込んだ。

プリンセスの手はバニーガールの手を取る。プリンセスが引っ張ると、バニーガールは鏡の中の世界からステージへと出現した。

「はあっ!」
思わずバニーガールは大きくため息をつく。そして自分の手を取るプリンセスを、目を丸くして見つめる。そんな彼女に、プリンセスは慈悲深いとも冷酷とも取れるほほ笑みを投げかけて問いかける。

「あなたはだれ?ニシアガリさん?それとも……」
「わたし……わたし……は……」
戸惑うしかないバニーガールは返答出来ず、立ち尽くす。

「ふふふ……可哀想に、自分自身が誰かも分かっていないのね……でも、大丈夫。これからじっくりと教えてあげる……」
「あ……あっ!」
プリンセスはバニーガールを引き寄せ、その乳房を揉みしだいた。そして耳へと口を近づけて囁く。

「あなたの名前はリンよ」
「えっ?」
驚いた声を上げるバニーガールに構わず、プリンセスは更に囁きかける。

「あなたがニシアガリと呼ばれていた頃からずっと、あなたは鏡の中に、自分の中にリンとしてのあなたを見出していたの。本当は自分が女性であることは、あなたは心の奥で分かっていたこと、そうではなくて?」
「ああ……」
バニーガールの目に、妖しい光が揺らぎ、灯る。それは、己の美しさと淫らさに、バニーガールのセクシーさに酔い、揺れるものであり、プリンセスの言葉を肯定するように光るものだった……
「そうよ……わたしはリン……ずっとこうなりたかったのよ……」
バニーガールはうっとりとした表情を浮かべると、プリンセスにしなだれかかった。それを優しい胸で受けとめながら、プリンセスは問いかける。

「もうニシアガリのことはどうでもいい?」
「ええ。彼は消えたわ……いいえ、ニシアガリの望みが叶ったからこそ今ここにリンがいるの。リンとしてのわたしが」
「そう、あなたはアニマに到達したの。あなたの理想とする女性の姿に」
¨ [R] No.1059
恍惚とした表情で答えるバニーガール……いやリンの手を優しく取り、鏡の前に連れて行く。

プリンセスがステッキを振ると、鏡面にはスクリーンさながらに映像が映し出された……
それはこのレヴューのステージであり、満場のお客が見守る中、ステージでバニーガールがマジックのパフォーマンスを披露していた―
今プリンセスが着ている者に酷似したデザインの衣装で、カラフルなマジックを繰り広げているそのマジシャンはリンだった。

プリンセスは語りかける。「今あなたがいるこのステージで、あなたもパフォーマンスをしてみたくない?とてもエキサイティングでセクシーなステージを……」
リンはごくりと唾を呑みこみ、恍惚とした表情で答えた「……はい」

それを待っていたように、プリンセスは更に畳みかける。
「なら……あなたもマジシャンの衣装を着てみたくない?」

リンはまたも息を呑み、頷く。
今、目の前のプリンセスが着ているセクシーでタイトな衣装を自分も着ることが出来たら……
そう考えただけで、子宮が疼く。

「はい……着たいです……」
プリンセスは優しくリンの頭を撫でた。「素直な子ね……いいわ、あなたの新しい力を存分に引き出してあげる」

そう言うやまたしても指の間にいくつかのキャンディを出現させるとプリンセスは、それをリンに示してみて、「どれがいい?」と尋ねた。

リンは赤いキャンディを指さした。
「そう……では、これがあなたのアニマのカラーということね」
¨ [R] No.1063
プリンセスは赤いキャンディをリンの口の中に放り込み、「さあ……あなたのステージ衣装よ」と言ってステッキを振った。

と、リンはパープルピンクの光に包まれ……その光の中に、リンがまとっていたオーソドックスなバニーガールの衣装は溶けていき、一瞬彼女は一糸纏わぬ姿となっていた。

それを見届けたプリンセスは再度ステッキを振ると、今度はステージ上方から毒々しい赤いスポットライトがリンを照らし出す。
そしてその光の中で……あるいは光が固体となり、繊維となり、衣服となっていくように、リンの肌を染め上げるように、彼女の身体の線をどこまでも忠実になぞるバニーガールの衣装が、彼女の肌の上に出現していく。

それは、プリンセスが今ステージで披露しているマジシャンの衣装によく似ていた。

プリンセスとほぼ同じデザインのボレロジャケット。ほっそりとした肩や腕の線に完全に密着し、手の甲を覆って中指にまで達している。
だがその色はプリンセスと異なり、背と腕はシックな黒、前方へ折り返した襟は一転して赤で、リンを象徴するカラーリングとなっている。

疑似耳も、裏側が黒、表側が赤。
バニーコートとハイヒールは黒で、その靴底は赤。
下半身のタイツはスモークがかった黒のラテックス。脚のラインがくっきりと強調される。
首を飾るカラーは布製ではなく金属製であり、冷たい光を放つシルバー。
その中央に、赤く彩られた線が横一線に走っており、これも赤が彼女の色であることを訴えている。
布ではなく金属製のカラーに取り付けられているのは蝶ネクタイでも長ネクタイでもなく、短いチェイン。プリンセスにもほとんど負けないリンの巨乳の谷間へ垂れ下がっている。

プリンセスと同様、左右の手首に取り付けられたカフスは金属製で、カラーと同じくシルバー。プリンセスのような飾りボタンはないが、代わりに、ごく短いとはいえそこからもチェインが垂れ下がっている。
両耳たぶからもチェインのピアスが垂れ下がり、その先端にはルビーを思わせる赤い勾玉の耳飾りが揺れる。

プリンセスが優しくリンのまぶたに触れると、長く繊細に伸びたまつ毛に添うように、鮮やかにして毒々しい赤のマスカラが施され、左右に鋭く翼を広げる。

次いで、リンの艶に満ちた黒髪をプリンセスが梳き上げていく。
背中まで落ちたその髪の末端数センチが赤く染まっていき、まるで背側が黒、正面側が赤のマントのような様相を呈する。

「これで仕上げ……」
プリンセスは、自分の乳房を汚しているニシアガリが最後に放った精液を指に取り、それでリンの左乳房を撫でた。
「あんッ……」
リンが呻くと、プリンセスが精液でリンの乳房に描いた何かが、タトゥーのように肌の上に浮き上がる-それは赤いハートマークだった。
¨ [R] No.1068
鏡面は通常の鏡に戻り、生まれ変わったリンの姿を彼女自身に見せつけた。
自分の美しさにため息をつき、リンは頬に手をやる。その仕草もセクシーなら、手首を動かしたことでわずかに金属音を立てるカフスのチェインが彼女に今の立場を教える-
マジシャンにして奴隷……ショーの主役にして奴隷……

「ふふ、とってもセクシーよ」
マジシャンにして姫であるプリンセスが、リンの肩を抱き、背後から囁きかける。
そうされるだけで、リンはとろけるような官能に支配され、プリンセスの為すがままになってしまう。
プリンセスの巨乳を背中のジャケット越しに感じ、自分に極めて似た肉体と衣装の相手に支配されることにかけがえのない喜びを覚えてしまう。

「ああ……プリンセス……わたしをプリンセスのものにしてくださいませ……」
プリンセスは、言葉の代わりに、背後から伸ばした手でリンの巨乳を玩ぶことでリンに応えた。そして自分の巨乳をリンの背中に押し付ける。

たまらず、リンが身を翻す。同じデザインの衣装をまとった、同じくらいに豊満な乳房のバニーガール二人が正面から向かい合う形になった。

「「ああッ……」」プリンセスとリンが甘い喘ぎ声をユニゾンさせる。
同じく手の甲を三角に覆われた掌と掌を正面から絡み合わせ、張り詰めた柔肉と柔肉が正面から重ね合わされる。
バニーコートにぎりぎり隠された乳首の位置を互いに正確に探り当て、押し付け合わせる。
互いの太ももが互いの太ももの間に差し込まれ、上下して互いの股間を擦り上げる。

快感で脳髄が焦がされていく中、二人の疑似耳にそれぞれ受け取るべき言葉が響いていた-
【ひとつ、当店従業員になった者は、負債の回収が終わるまで、当店区画から出てはならない、ひとつ、当店従業員は、当店顧客と合意の上に成立したサービスには、性的なものも含め、必ず応じなければならない、ひとつ、当店従業員は、そのバニーガールとしての職分ごとに定められた研修・トレーニングを常時受けなければならない、ひとつ、当店従業員の給与は、当店区画内への居住費・諸生活費・プリンセスからのサービスという形で支払われる、ひとつ、当店従業員は、オーナー及びプリンセスへの絶対的な服従・忠誠が求められる……】
【素晴らしい仕事でしたわ、相手のアニマを正確にあぶり出しつつ、衣装のコーディネイトは自分と合わせるとは】

リンは、ニシアガリだった自分が残した負債が奴隷としての今の自分に乗りかかってきたことで、プリンセスからのサービスを受け、プリンセスのそばで働け、プリンセスへの服従を課せられることになった喜びに恍惚となり、プリンセスは、自分の意図を理解してくれたオーナーの称賛に感激し、その思いを目の前の相手の肉体にぶつけ合っていた……
¨ [R] No.1070
-マネージャーの泉美の先導に従い、ヒガシドは、ブレインダメージの店内の廊下を歩いていく。
ふと気が付くと、例の《プリンセスとしもべ》の写真が架け替えられていた。

それは、マジシャンらしい衣装のプリンセスと名前の知らない新人であろうバニーガールが互いに伸ばした手を携え、左右対称のポーズを取っているものだった。

既にプリンセスがレヴューに出ているということを如実に示す写真に、ヒガシドは、乗り遅れた、という思いを新たにする。
プリンセスにはだいぶ前から執心してきていたが、最近忙しくてブレインダメージに来られなかった。
プリンセスを巡るライバルである他の客が既に彼女のレヴューを堪能したのかと思うと、何とも悔しい思いを禁じ得ない。
その悔しさは、逆にこれから上演されるレヴューへの大きな期待にもなっており、ヒガシドは、ステージのあるフロアに向かっていた。

座席はがらんとしていて、お客はヒガシド一人しかいない。
この豪華な空間を、そしてこれからステージに現れるプリンセスを独り占めに出来るのかと思うと、心が躍った。

案内してきた泉美は、恒例の不払い額の確認を行う。
「先日来までの累計が819.8チップになります……清算なさいますか?」
「しないよ……いや、100くらいは返しておこうか。退店時に」ギャンブルの負けも含めると、些か使いすぎてはいるが、少しくらいは返済しておかないと気まずいという意識がヒガシドにもあった。

だが、珍しく泉美は重ねて尋ねた。
「ということは、本日の全額清算はないということでよろしいのですね?」
「……うん、そのうちにな」まあ、いい。今日のところをごまかしてしまえばなんとでもなる。
だが、泉美はなおも食い下がった。
「これも既に何度もレヴューをご観覧いただいているヒガシドさまには無用のこととは思いますが……ステージには上がらない、ステージ上のパフォーマーには手を触れないようにお願いいたします。よろしいですね?」

わかったわかった、と言ってヒガシドは泉美を追い払う。そんな無粋な真似をする訳がない……
触れるものなら触りたいが、それは他のサービスで出来ることだ。レヴューではステージ上のパフォーマンスに集中して楽しみたい……
¨ [R] No.1073
ソファに座って待っていると、ブザーが鳴り、幕が開いた。

同時に、ドラムがタンッ!と一発打ち鳴らされ、次いでエレキギターが相当の音量で派手な音を出した。
アンプとドラムセットが用意されたステージに、既に座付きのバンドが待機し、ウォーミングアップに一人ずつ音を出していく。
バンドメンバーはもちろん全員バニーガールだ。ステージ下からではあるが、泉美がメンバーを紹介していく。

「ギター、奏絵」髪を右サイドで三つ編みにしたバニーガールが上品そうにおじぎする。
「ベース、てて」ピンクの髪のバニーガールが少し恥ずかしそうに微笑む。
「ドラムス、ティナ」右目をひと房だけ金に染めた前髪で隠したバニーガールがにかっと笑う。
「キーボード、マナ」髪をポニーテールにまとめながら、浅黒い肌の美女が無表情なままで客席に流し目のみの挨拶を送る。

「本日はブレインダメージが誇る歌姫たちの歌謡レヴューをたっぷりとお届けします、まずは……」

ステージ脇から何かがステージに転がるように走り出てきた。何かと目を凝らすと、二匹のうさぎだ。
キーボードが不気味なオルガンの音を鳴らし、ドラムがロールで煽る……
再びドラムが打ち鳴らされた時、ステージから火花が上がった。火薬が仕掛けられていたらしい。

そして二匹のうさぎがいたところには、二人の若々しいバニーガールが背中合わせになって立っていた。
「本日最初の主役を務めるのは……アイとサトコ!」

ヒガシドは自然と拍手していた。
もちろん本命はプリンセスであり、彼女らは前座に過ぎないのだろうが、それでも彼女たちも十分に魅力的だ。

「ふたりの新人バニーガールがステージ上で歌と踊りをご披露いたします。どうぞごゆるりとお楽しみください」
泉美は客席後方の暗がりに下がっていく。
¨ [R] No.1076
今日のアイは、白のバニーコートに黒の長グローブとサイハイブーツ、金色の蝶ネクタイ、サトコは、黒のバニーコートに白の長グローブとサイハイブーツ、銀色の蝶ネクタイというコーディネイトで、コンビ……いや、デュオとしてのコントラストを意識した装いになっている。

バンドが演奏を始めると、二人は背中を触れ合わせたまま、左右対称にステップを踏んでいく。
アイが右へ進めばサトコが左へ……サトコが右に行けばアイは左に……ターンをすればタイミングは完全に同期し、ステップを踏めばリズムはぴたりと揃い、完璧なコンビネーションを保っている。
そして、二人が歌い始める。

「♪ああ いつになったら会えるの 恋しい貴方」
「♪ああ どこに行けば会えるの 離れ難い貴方」
アイとサトコが交互に歌い、”貴方”の箇所でユニゾンする。

このようなダンスをしながら歌うのであれば昨今はインカムマイクにしそうなものだが、ここでは敢えてなのだろうマイクスタンドに立てた一つのマイクを共有して歌っている。
二人のバニーガールが、歌詞そのままの切なげな表情の顔を寄せ合って歌う。

「♪気づかなかった 自分の思い この身引き裂かれるよう」
「♪気づかなかった あなたの存在 闇に隠れていく」
「♪捨て去ろう 自分の愚かさ この思い消えぬよう」
「♪求めよう あなたへの愛、この胸に」

一旦二人はそれぞれ左右に身体を張り出し、距離を開ける。そして収縮するようにマイクの位置へと戻り、サビに入る。
「♪あなたの愛なくして 私はない あなたはもうひとりの私」
「♪あなたへの愛なくして 私はない あなたは私の一部」

ここで初めて二人が正面から向かい合い、二人の歌声がぴったりと重なる。
「♪あなたの愛は 私の心開く鍵 どうか私の奥まで」
「♪私の胸は あなたのための鍵穴 あなたの愛を待つ」

激しく歌いながら見つめ合うアイとサトコの目はとろんとなり、二人が歌の世界に没入しているのが明らかに分かった……

いや、歌だけではない。
ステージ上のパフォーマンスだけではなく、この二人はきっと恋人同士なのだ……とヒガシドは直感した。
それほどに二人が互いへの磁力で引かれ合い、互いが醸し出すフェロモンの化学作用に酔い合っている様子は尋常でないものがあった。
¨ [R] No.1079
歌パートが終わると、今度はダンスパートだ。軽快なステップで左右に揺れながら二人は歌い踊る。
白と黒のコントラストの衣装の二人が抱き合い、ターンを繰り返す。
背の高いアイの方がサトコの手を取ってその身体を支え、身を反らしたサトコは片足立ちしてアイに全てを委ねる。
ギターが情熱的なソロを弾いて場を繋ぎつつ、主役二人の思いを見事に表現する。

「♪胸の高鳴りが止まらないの、恋しいあなた」
「♪胸の奥にあなたが棲み着いてるみたい」
アイとサトコは、時には上半身を前後にも左右にもスウェイさせ、時には折り曲げた膝を相手へと突き出し、寄り添っては離れる動作を繰り返す。
歌詞の世界のもどかしさを表現するかのような動きだが、ダイナミックな動きの度に、バニーコートに包まれた互いの乳房がぶつかり合い、突き出された膝が相方の股間に差し込まれる。
ヒートアップするパフォーマンスにバンドも熱く応える。そして二人が離れ、歌パートに入る。

「♪キスしてもいいですか? 唇にそっと」
「♪キスしてもいいですか? 唇に熱く」
今度はアイがサトコの顎を指でくいっと持ち上げ、サトコは少し屈んでその唇を上に向け、アイはそんなサトコの頬に手を当てて見つめる。
「♪あなたの愛は私のもの」
「♪私の全てもあなたのもの」
そして二人は再び抱き合う……今度は身体を預けたサトコは勢い余って後ろに倒れ込み、その身体をアイが支える。完全に二人の世界に没入している。

演奏が終わった。しんとなったステージでは、二人の身体にスポットライトが当たっている。

二人は見つめ合ったまま、立ち上がる……
アイの右脚とサトコの左脚がそれぞれ絡み合い、二人は互いに相手を引き寄せ合う。
ぴったりと重なった二人の胸と胸が弾力をもって上下に揺れ、ブーツに包まれた脚と脚が絡み合うことで、バニーコートのボトムの股間は隙間なく密着し合っている。
ステージを見上げるヒガシドの視線を全く意識していないかのように、寄り添い合う二人はついに唇と唇を重ね合った……
更に、胸がたゆんたゆんと揺れ、エナメルの衣装越しに互いに吸い付き合おうとする……

そして二人は離れた。アイがサトコの手を取って引き起こす……

客席に向けて一礼し、手を取り合ったままの二人の姿は、幕が下りてきて見えなくなっていく。
¨ [R] No.1082
休憩時間を示すBGMがかかり始めた。やってきた泉美は、ヒガシドに話しかける。
「いかがでしたか? 新人とはいえ、なかなか良い仕上がりだったと思いませんか?」
「……ああ、素晴らしいステージだった」
「お気に召されたようでしたら幸いでございます」
泉美は慇懃な笑みを浮かべてお辞儀したが、ヒガシドは上の空だった。

ここまで熱く、ここまでセクシーで、ここまで切ないショウを見せられて冷静でいられるはずもない。

バニーガール同士が演じるパフォーマンス……
バニーガール同士の愛をそのまま表現に昇華したレヴュー……
バニーガール同士だからこそ意味のあるステージ……
まさにブレインダメージのレヴューに求めるもの、自分がずっと憧れているものがそこにはあった。

自分もあの二人の間に……
挟まりたい……

今までもブレインダメージのレヴューを何度も観てきて、ステージ上でバニーガールたちが百合っぽく振る舞うシーンはほぼ毎回目にしてきた。だが、今夜の二人はホットさが違った。
本当に二人が愛し合っているのが伝わってきた。
その尊さに打たれると同時に、その二人の間に割って入り、女体の柔らかさを堪能したいという思いも抑え難く湧き起こる。
そう思わないものが、バニーガールクラブに来るだろうか?

興奮が収まってくると、今度は期待感が頭をもたげてくる。「プリンセスたちはもうステージに?」
泉美は無言で頷き、指を鳴らして合図を送った。

客席の灯りが消え、BGMがノイジーなフリージャズに変わり、何かが起こるぞ、と思わせたその時……

場内は急に静寂に包まれ、幕が上がった。

暗いステージに立つのは、二人のバニーガール。
先ほどのアイとサトコ同様、背中合わせで立っている。
身長差のあった二人に比べ、こちらはほぼ同じくらいの背丈だ。
ブレインダメージに高身長のバニーガールは少なからずいるが、シルエットから窺うに……

青いスポットライトがステージを照らし出し、ステージ後方にはスクリプターによるものだろう黄金に輝く円形が浮かぶ。満月をイメージしたものなのだろう。
そして力強いドラムの一打に導かれ、青白い灯りに照らされたバニーガールたちが歌い出した。
¨ [R] No.1085
「♪今夜も 月が見ている ひとりぼっちのわたしを」
「♪ああ、あなたはどこにいるの あなたも見ているの 同じ月を」

予想は当たった。一人はプリンセス、もう一人は紫だった。

今夜の二人は、白のバニーコートにハイヒール、タイツというお揃いのいでたちで、髪形も二人ともポニーテール。
同じ色の衣装に、同じくらいの背丈、同じ髪形をした二人が背中合わせになっている。
それだけに、黒と黄金である二人の髪の色のコントラストが際立った。

「♪あなたの 青い影が 忍び寄る わたしは 野原にただひとり」
「♪白い炎が 歌う わたしを取り巻いて 切なく焼き尽くす」
「(♪焼き尽くす…)」

ここで紫がプリンセスを追って歌い、また背中越しにプリンセスに視線を送る。
挑発するようにも、親しみを込めたようにも見える笑いが、紫の唇の端に浮かぶ。

青の照明が、白色のバニーガールを神秘的な青に染める。
背中合わせで、激しい身振りを混じえて歌うことで、二人のポニーテールが揺れ、ぶつかり合う。ステージ全体に激しい躍動感と、それと裏腹の緊張感が生まれる。
恋人に会えない女性の悲痛を歌う歌に、バンドも火を噴くような演奏で応える。
バニーガールクラブのレヴューとは思えぬ”ガチ”な歌唱と演奏で、ニシアガリは緊張気味な顔を禁じ得なかった。

「♪今夜も 月が笑っている ひとりぼっちのわたしを」
「♪あなたはどこにいるの ああ 泣いているの 笑っているの」

必死に歌う二人のバニーガールたちだが、決して正面から向かい合うことはない。
彼女たちの歌唱を聴き、先ほどのステージでのアイとサトコの睦まじさを思い出し、ヒガシドは二人の想いを感じ取ってもどかしい思いに駆られた。
彼女たちはこんなにお互いを求め合っているのに、決してその顔が向き合うことはない。
いや、曲の最後には、前座のアイとサトコがそうだったように、必ず一つに結ばれ、愛を伝え合うクライマックスがあるに違いない……

「♪moonlight dance 同じ月を見つめて」
「♪moonlight dance あなたと遠く離れて」
(moonlight dance…)とバックバンドのバニーガールたちがバックコーラスを入れる。

ヒガシドも思わずmoonliht danceの部分を口ずさみ、気がつくと決して上手い歌とは言い難いながらも声を張り上げていた。
ヒガシドも歌っている二人に劣らず切ない気持ちに支配され、二人の純粋な恋を応援する気持ちで満たされているが、一方で同時に二人の間に挟まりたい、という欲望も強くなっていく。
自分が背を向け合った二人の間に挟まれば、二人を振り向かせ、互いの存在に気づかせてやれるのに……
そうすれば、自分も二人の豊かな胸と胸に挟まることが出来るのに……
百合の恋人たちの間に割って入りたいという欲望と、彼女たちを結び付けてやりたいという願望が、半ば矛盾し合い半ば溶け合いながらヒガシドの中で膨れ上がっていく。

「♪moonlight dance ああ 月が見ている」
「♪moonlight dance ああ 月よ この気持ちを届けて」
(moonlight dance…)バックコーラスとヒガシドが叫ぶ-
¨ [R] No.1093
そしてヒガシドは気がついた。ここで歌われている「月」とは自分のことじゃないか。

「♪moonlight dance ああ 月が見ている」
「♪moonlight dance ああ 答えて お願い」

ああ……そう、俺が今、君たちを見ているんだ……さあ、こっちを見て……!
ヒガシドは心の中で呼びかけた。
彼女たちを見つめる月の役である以上、無粋な真似をするべきではないという思いもある一方、歌の世界の中に位置づけられた役であるのだから、彼女らの認知を受ける資格があるとも思えた。
どちらが本当に自分が取るべき姿勢なのだろうか…

「♪moonlight dance ああぁぁぁぁぁ」
「♪moonlight dance ああぁぁぁぁぁ」

具体的な歌詞がなくなり、moonlight dance以外の部分はハミングしているだけになる。

歌からも判断のための材料が消え、ヒガシドはますますどうすればいいか分からなくなってきた。
-これは、ここから先は自分の判断に委ねられているということではないのか…

「♪月は見ている……」
ヒガシドは拙いながらも、自分なりに考えた歌詞を歌った。
ステージ上のバンドは即座に反応して、音量を下げ、ヒガシドの歌が割って入り易くした。
「……♪moon is watching you……」

プリンセスと紫も反応し、敢えて目を閉じ、祈るような表情になった。月が恋人の声を届けてくれるのを聞き取ろうとするかのように……

「♪moon knows you two loves each other……」
歌は完全に即興だが、意外とすんなり歌詞が出てきた。
「♪Only moon knows you two loves each other……
 ♪Only I know you two loves each other……」
二人が愛し合っていることを知っているのは月だけであること、そして自分が月の立場であることを明確にする歌詞を、ヒガシドは付け加える。

二人は顔を伏せ、背中合わせで、ヒガシドの歌のバックに回りハミングしている。

「♪moon allows you two meet together……
 ♪I allow you two meet together and love each other……」
不慣れな英語で、ヒガシドは必死にその場で歌詞をひねり出す。
歌詞が出てこなくなると、心得たバックバンドは演奏を止めることなく、フレーズを繰り返して、ヒガシドが再び歌い始めるのを待つ。

「♪moon approves you two meet together……」
ええい、もっと直接的な、強い言い方はないものか。

「♪moon command you two meet toghther……」
これだ。

「♪I command you two meet toghther
♪I Command you two turn your back and meet together!」
月としてヒガシドが命令を歌った時、バンドは明確にフォルテッシモでコードを鳴らし、プリンセスと紫は踵を返して互いに向き合った。

完全な即興だったが、全員の息が完全に合致していた。

プリンセスが歌った。「♪moonlight dance ああ あなたはそこにいた」

紫が歌った。「♪moonlight dance ああ 月が教えてくれた」
¨ [R] No.1102
バンドの音が転調した。
ステージの主役二人を照らしていた照明の灯りが、青から赤に変わり、歌手二人の白のバニーコートを染め上げた。

長く離れ離れになっていた恋人たちであるプリンセスと紫は、互いに見つめ合い、抱き合った。
ステージ上のパフォーマンス中であることも忘れたかのように、客席もバックバンドも一顧だにせず、二人は瞳を潤ませて見つめ合い、唇を重ね合う。
いや、これすらもパフォーマンスのうちなのか……

二人を見守る月の役たるヒガシドとしては、これにどう対応すればよいのか迷うところだった。
お客である自分を放っておいて、二人が自分たちだけの世界に没入するのを良しとすべきか否か。
それとも、これすらパフォーマンスの一部として許容するべきか。

二人のキスは更に熱を帯びていき、愛に飢えた互いの舌が互いをしゃぶりあげ、互いの唇が互いの愛を吸い尽くそうとする。
バニーコートに包まれた乳房と乳房が、磁力を持って引きつけ合うかのように、互いに揉み合い、形を変形させ合う。
愛情が愛欲へと変貌していく過程を見せつけられ、ヒガシドの興奮も高まっていった。再びこの二人の間に挟まりたいという欲求が強くなってきた。
¨ [R] No.1115 (6 pts.)
#作者です
#限界にきて頭の方が消えていっているようですので、一旦休止します
#書き続けてはいますので、完成したら図書館に投稿出来たら、と思っております。
¨ [R] No.1120
完結お待ちしてます。
¨ [R] No.1288
#作者です。
#支援図書館θの方に完成版を投降しました。
#無駄に長い話になったので、時間がある時にお読みください。

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